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MATCH試合情報

2021 明治安田生命J2リーグ 第32節 - レノファ山口FC vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

ホームで連敗を喫し、上位追撃のために勝利が求められるヴェルディは、およそ1か月ぶりのアウェイゲームを迎えた。相手は、今節の直前に監督が交代したレノファ山口FC。心機一転でホームゲームに臨んでくる相手の勢いを削いで、自分たちのペースで試合を運べるか。ヴェルディの底力が問われる一戦に臨んだ。

 

メンバーは前節からやや変更があった。GKは前節に続いて柴崎貴広がゴールを預かり、山下諒也が出場停止のワイドストライカーには杉本竜士がスタメンで起用された。サブでは、佐藤久弥がプロ初の試合メンバー入り。明日に30歳の誕生日を迎える戸島章が久々にサブに入った。

 

序盤はヴェルディが球際の厳しい競り合いで押し込み、何度か山口ゴールに迫った。13分、左サイドの福村貴幸が高い位置をとり、アーリークロスを相手の背後に入れる。逆サイドからペナルティエリアに入ってきた小池純輝がコントロールすると、ゴール前に飛び込んできた深澤大輝がボレーシュートを狙ったが、これはネットを揺らせず、こぼれ球を詰めていた端戸仁がプッシュしてゴールに流し込んだが、これはオフサイドの判定。16分にも小池が背後をとってペナルティエリアに侵入する。相手がコースを消してシュートはかなわなかったが、マイナスに入れたボールを最終的には端戸がボレーで合わせたが、これは枠を捉え切れなかった。この後から、徐々にヴェルディのライン間で相手がボールを受けて前向きに仕掛けていく場面が目立ってくる。最終ラインと中盤の距離がやや間延びした状態になり、プレスがはまらず自陣深くまで侵入されてしまう。すると19分、ズルズルと下がりながら対応する中で、ペナルティエリア右角からゴール前にグラウンダーのボールを入れられると、ニアで大槻に合わされて先制ゴールを許す。直近2試合も先制を許して攻めあぐねる展開だっただけに嫌なイメージが出てくるが、この日は、それ以上に反撃のスイッチが入らない。先制された後も相手のパスワークに対して守備がはまらず、自陣に押し込まれる時間帯が続く。42分にようやくカウンターから反撃に出る。梶川諒太がボールを持ち出して、相手を引き付けてからサポートに入った福村を使う。福村がゴール前に絶妙なクロスボールを入れると、端戸が飛び込んで頭で合わせるがゴールのわずか左へと逸れた。

 

前半の苦しい状況を受けて、堀孝史監督は的確な指示で修正に入る。最終ラインと中盤との距離感を指摘。ギャップを使われないようにコンパクトな陣形で戦うことを求めた。そして、後半の頭から福村に代えて山本理仁を送り込む。この交代策がいきなりはまった。

 

後半開始直後の48分、立ち上がりから勢いを持って前に出てきた山口に対して自陣に押し込まれるが、左サイドアタッカーで起用された山本が相手のプレスを1枚、2枚とはがしていきゴールライン付近からハーフライン手前までボールを運んでいく。相手が帰陣する前に右サイドに大きく展開すると、小池を中心にショートパスをつないで深い位置へと押し返していく。ペナルティエリアの右外で小池がマイナス方向にパスを送ると、ゴール正面やや右寄りの位置で受けた梶川が、思い切りよく右足を振り抜いて、相手GKの手前でバウンドする絶妙なシュートを流し込んで同点に追いついた。反撃に出たい相手が前へと圧力を強めて来るのに対して、ヴェルディは絶妙な距離感を保ちながらボールを動かしてプレスをいなし、ワイドにボールを動かしながら少しずつ相手を押し込んでいく。バイタルエリアでボールを動かし、相手をゴール前に貼りつけると、これまでのように狭いエリアを打開しようとするのではなく、思い切りの良さを見せる。62分、若狭からペナルティエリア手前でボールを受けた佐藤優平が梶川に預けると、梶川から戻ってきたボールをワンタッチでコントロール。相手がゴール前を固めて前に出てこないと見るや、体重を乗せたミドルシュートを放つ。これがゴール左隅に豪快に吸い込まれて、ヴェルディが劇的なゴールでスコアをひっくり返した。

 

その後は、ロングボールを多用して押し込んでくる相手に対して、腰が引けた戦いをすることなく、陣形を高く保って攻撃姿勢を貫き、リードを広げようとする。ややオープンな展開になり始めた試合終盤には、ボールサイドへのスライドが遅れたりミスからきわどい場面を迎えるが、柴崎貴広を中心に陣形を押し上げて積極的にスペースをカバーしてきた守備陣が耐え切る。試合終盤には戸島章を投入して長いボールで陣地を回復して高い位置でボールを保持するなど、したたかさも見せて1点のリードを守り切った。

 

攻撃の鍵を握りながら、今季ここまでゴールがなかった佐藤優と梶川のふたりに初ゴールが生まれたことは、残るシーズンの戦いに期待が持てる。パスでの崩しを担う彼らがペナルティエリアの外から思い切りよく足を振ったこと、それがゴールにつながったこと。これは今後の対戦相手に的を絞らせにくくするのに効果が見込める。引くなら打つ、前に出るなら崩す。次節、アグレッシブな戦いをするファジアーノ岡山に対して、多彩な攻撃で攻め勝ちたい。

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監督コメント

堀 孝史 監督

試合を振り返ってください。
前半は少し勇気を持てないようなプレーがあったせいで、なかなか上手く試合を進めることができませんでしたが、後半は選手たちがしっかりと勇気を持って立ち向かってくれて、最終的に勝ち点を取れたことに感謝しています。暑さの影響もあったと思いますが、そこのところでしっかりと走り抜くこと、そういうところを選手たちがしっかりと出してくれたと思います。また、ホームに戻ってファン・サポーターの方々の前で勝ち点をプレゼントできるように次の試合でも頑張りたいと思います。

苦戦した前半に関して守備面の強度を含め物足りないパフォーマンスになりましたが、その辺りの要因をどのように捉えていますか?
攻撃面でも長いボールが増えていた部分があり、そこまで相手のプレッシャーがないにも関わらず、そういった長いボールを入れることが多かった部分があります。それに伴ってラインをしっかりと上げることができれば、問題はなかったですが、そこのラインがなかなか上がらずに、ちょっと広がった状態になってしまったと考えています。

ハーフタイム明けに投入した山本選手に関して主に求めた仕事について聞かせてください。
当然、攻守に渡ってこういうことをやってほしいというものはありますが、彼に関しては自分たちのボールにしていくという部分を非常にできる選手なので、その部分やボールを引き出す部分をやってくれと伝えていました。

今日の2ゴールに関してはいずれもサイドを使ってからバイタルエリアでのミドルシュートという形になりましたが、その2つの得点をどのように評価されていますか?
今日得点を決めた2人に関しては普段からあの位置からのシュート練習を何度も重ねていたので、それが実ったという形で嬉しく思っています。

守勢が続いた試合終盤の締め方に関してはいかがでしたか?
当然、山口さんも監督交代があった中で、最後まで勝利を目指して戦ってくるというところで、しっかりと粘り強く戦い、あとは自分たちのボールになった時に、もう少しボールを持つ時間がほしかったですが、ただ選手たちは必死にゴール前で我慢強くやってくれたと思います。

3試合ぶりとなる今日の勝利をどのように今後に繋げていきたいですか?
次はホームで戦えるので、しっかりともっとファン・サポーターの方々にヴェルディらしいサッカーをして勝利を届けられればと思っています。

直前に監督交代を行った山口に対して、当初のゲームプランから想定外の部分はありましたか?
予想外ということよりも、事前に相手がどういうことをやってくるかという情報自体が少なかったので、予想外と感じる部分はあまりなかったです。

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選手コメント

MF9佐藤 優平

試合を振り返ってください。
本当に今日は暑くて、気温が30度以上の感覚を久しぶりに体感していました。ちょっと入りは悪かったですが、その暑さにだんだんと慣れてきて少しずつチーム全体が改善できたと思います。

前半から後半にかけて改善された部分についてどのように捉えていますか?
テンポと質というところが、少しずつ精度が上がっていったと思います。あとは前半も悪いなりにボールを繋げていたところもあったので、少し相手が消耗してきたところも、自分たちの精度が上がった要因のひとつかと思います。

今季初ゴールを振り返ってください。
シュート練習を以前から手伝ってくれていたカジ(梶川)だったり、保坂さんだったり、キーパーの人たちが付き合ってくれていた結果が、こうやって良い勝利に繋がるゴールになったことを嬉しく思います。やっぱり練習は嘘をつかないということを実感しています。

チームエンブレムを叩いたゴールセレブレーションに関しての想いを聞かせてください。
自分ももうヴェルディに在籍して長いので、ヴェルディに対する愛があります。ああいうパフォーマンスは初めてでしたが、自分なりのヴェルディに対する表現や感謝の気持ちの表れでした。

ゴール直前のパスは梶川選手ではなく左サイドの山本選手へのパスが当初の意図でしたか?
そうですね。最初はリヒト(山本)に出しました。リヒトがフリーなのは見えていたので、みんなが良い立ち位置を取っていることで、ああいうことも起こるもので、あそこでカジが受けて自分に戻してゴールになったので良かったです。

前半に苦戦した右サイドの守備に関して聞かせてください。
右に関しては相手が数的優位を作る形で流れてきていたので、数的不利な状態でのディフェンスになりました。人数が足りていない感覚はありましたが、中でしっかりと守るという風に言われていて、サイドで崩されても最後は必ず中に来るという部分で、少し自分のところの間を通ってゴールが入ってしまったので、そういうシーンはここ何試合かあるので、もう一回反省して修正してきたいと思います。

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MF4梶川 諒太

試合を振り返ってください。
見てもらった通り、入りは良くなかったですし、少し緩いというか、全体に守備も甘く、暑さにもろにやられてしまっている印象でした。その中でも失点をしないようにしようと話していた中、先に失点してしまいました。ただ、後半に逆転して勝つことができたのは本当に良かったと思いますが、内容的な部分をトータルで見れば、逆転してからのボールの運びなど、かなり課題が残る試合だったと思います。

今季初ゴールの場面を振り返ってください。
かなりあそこのポケットというか、相手のラインが下がったところのスペースが非常に空いていたので、(小池)純輝君が見えているか分からない感じでしたが、かなり呼んで、そこに対してすごくトラップしやすいボールを出してくれたので、あの場面はシュートしか考えていませんでした。シュートに関してはすごくきれいに入ったわけではないですが、ある意味ラッキーな形でした。ただ、シュートを打てば何かが起こるということをあらためて感じました。(キーパーの前であえてバウンドさせる意図がありましたか?)全然、自分の意図通りのシュートではなかったです。本当に入って良かったという感じです。

ゴールシーンではあのスペースをあえて空ける意図があったように見受けられましたが?
相手がガッと下がったのが分かったので、少し後ろ目から出れば、逆につかまりにくいと思っていました。そこに対して純輝君が本当に上手くボールを出してくれました。それが良かったと思います。

後半序盤の巻き返しに繋がった部分に関してはどのように感じていますか?
入りのところでボニ(ンドカボニフェイス)から縦パスをもらってチャンスになりかけたところもありましたが、あそこのボランチ脇が空いてくることは分かっていたので、僕と(石浦)大雅の立ち位置がかなり重要になってくると思っていました。ちょっと相手もハイプレス気味に来ていたので、そこでかわすことができれば、ああいう風にスペースが空いて前向きでチャンスになるシーンがあったので、もらう位置にこだわってあそこでターンをするなど、そういう部分が良かったと思います。ただ、その時間を長く保てていたわけではなかったので、やはり課題が多い試合だったと思います。

前半に関して暑さに苦戦したという話でしたが、ピッチでの体感ではかなり厳しいコンディションでしたか?
最近涼しくなってきたこともありましたし、暑くなるという予報は聞いていてちょっと覚悟はしていましたが、試合に入ってみると、かなり暑いという印象がありました。ただ、それは両チーム同じですし、同じ環境の中での戦いなので、言い訳にはならないです。それでも、自分を含め全体的に前半は重いという感覚がありました。

前半の守備に関してはかなりアジャストに苦戦した印象でしたが?
チグハグというか、相手も繋いでくるのか、蹴ってくるのかが明確な感じではなかったので、こういうタイミングで蹴ってくるのか、こういう風に揺さぶってくるのかといったように、上手く前にも声掛けできなかったです。僕と(佐藤)優平のラインとディフェンスラインの間が空いてしまったり、ライン自体のまとまりが欠けていたのかなと思います。

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