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OFFICIAL MATCHDAY PROGRAM

2021 明治安田生命J2リーグ 第9節  東京ヴェルディ vs 京都サンガF.C.
2021.04.21(水)18:00 KICK OFF

PICKUP

加藤弘堅「サポーターも含めて“チーム”」

走るだとか、球際で負けないだとか、そういう要素が加わりつつある

──FC琉球戦は前半に退場者を出して難しい試合になってしまいました。
立ち上がりにちょっとバタついた後は、少しずつゲームのスピード感や流れをつかんで試合を進められていたので、10人になってしまったのはもったいなかったですね。ただ、何をすべきかというところはハーフタイムに永井さんから指示がありましたし、選手たちの中でも「割り切ってまずは守備をして、カウンターで1点を取れれば」と話していました。

──チーム内での意思統一はできていたわけですね。
それだけに、1点目がもったいなかったですし、2点目も自分たちのミスから最終的にPKを取られてしまった。「10人だから」ではなく、ちょっとしたズレが失点の原因だったと思います。それでも、チームとして最後までやろうとしていたのは良い傾向というか、ポジティブに捉えられる部分だと思います。「仕方ない」の一言で終わらせてしまっては自分たちに矢印が向かないので、10人になった時の戦い方を含めて、この試合を今後につなげていけるといいですね。

──ただ、数的不利を強いられるまでは互角の内容でした。連勝した水戸戦、山口戦も含めて手応えを感じているのでは?
連勝中の流れや雰囲気というのは、間違いなくプラスなものが多かったですし、琉球戦も11人で戦っている時間は良かった部分があったと思います。この3試合で上手くいっている時はどういう状況なのかという、今後戦っていくうえでのヒントを得られましたし、悪くなった時に「良い時はこうだったよね」と立ち返れるものを作り出していければと思います。

──良い時と悪い時の“違い”が、チーム内で明確に認識できるようになってきたということですね。

起こった事象に対しての結果論になってしまうので、その違いを言葉にするのは難しいんですが、新潟戦のように「何をやっても上手くいかない」という状況に陥った時、「じゃあどうしていくのか」ということは永井さんがトレーニングに落とし込んでくれましたし、選手同士でも話し合いました。上手い、綺麗なサッカーというのは理想ですが、走るだとか、球際で負けないだとか、そういう部分はサッカーで無視できない部分ですし、そこに対してみんなが真摯に向き合えたのかなと。もともとボール扱いが上手い選手たちに、プラスアルファでそういう要素が加わりつつあると思います。

自分たちで判断するということをもっと増やしていい

──対戦相手として見ていたヴェルディと、実際に中に入ってみてのヴェルディに印象の違いはありましたか?
自分たちでボールを動かしながらゴールを狙うスタイル、選手のボールを扱う技術の高さというのは、昨年対戦した時からから印象は変わっていません。ただ、チームとして提示された戦術、やり方を表現するだけではなく、プラスアルファで自分たちで判断してプレーするということをもっともっと増やしていいのかなと思います。上手くいっている時はいいですが、上手くいかない時に、ピッチの中で起きている現象を見て選手が判断する。自分たちが用意していたもの以外、イレギュラーなことが起こった時の対応力というのは、永井さんにも求められていますし、みんなで話し合いながらゲームの中でもっと出していきたいです。

──ヴェルディのサッカーのどんな部分にやりがいや面白さを感じますか?
スタイルについては外から見ていた頃から魅力を感じていましたが、実はオファーをいただいてまだサインをする前の段階で、永井さんに「プランどおりにいかない時、状況によっては選手が判断してもいいんですか?」ということを聞いたんです。自分のこれまでの経験から、どのチームに行っても、チームのやり方が上手くいかないことってあるんですよね。そういう時は選手がピッチの中で話し合いながら、いい方向に持っていく作業が必要だと思いますし、僕自身そういう作業が好きなんですよ。だから、永井さんが「それをやってほしい」と言ってくれたことにもやりがいを感じています。もちろん、言われたことをしっかりやることは大事ですが、言われたことだけやっていてはつまらないですからね。

──加藤選手が最終ラインから入れる縦パスや、左右への大きな展開が攻撃のアクセントになっている印象もあります。あれも自分で判断した中でのプレーですか?
今はチームとして「相手の背後を狙う」ということを意識的にやっているので、特別なプレーをしているという感覚はないですね。永井さんからも、ボールを動かしながら「逆サイドや相手の背後は常に見ろ」と言われていますから。
僕は今、センターバックをやっていますが、北九州がJ3に落ちてしまった2017年にもシーズンを通してセンターバックをやったことがあって、その時にサッカー感が変わるような経験をしました。J3にもボールをつなぐチームはあるんですが、大抵はパスを回しているだけで、裏を狙ったり、仕掛けのパスを出したりということが少なく、ボールは持っていてもシュートは1試合で5本くらいだったりする。そういうチームを相手にセンターバックをやっていても全然怖くないんです。逆にまず裏に蹴って、敵陣に押し込んで、セカンドボールを拾って、というようなサッカーをするチームはすごく嫌でした。当時は僕自身も、ボールをちゃんと動かしたい、簡単にボールを失いたくないという考えが強かったんですが、センターバックを経験して、本当に相手が嫌なことは何か、勝つために必要なことは何か、を考えるようになりました。そして、ボールを動かしているだけで終わってはダメだなと。
だから、今の自分のプレーも特別という意識はないんです。ヴェルディの選手はボールを綺麗につなごうとする意識が高いですし、見ている皆さんもヴェルディに対して「ショートパスをつないで、しっかりとボールを動かす」というイメージを持っていると思います。だから結果的に僕のプレーがアクセントに見えているのかもしれません。

──4月3日で32歳になりました。年齢的にチームを引っ張っていく立場だと思いますが、チーム内の振る舞いで意識していることはありますか?
僕自身もそうでしたが、若い頃は何かと一喜一憂したり、試合に出る、出られないでメンタルの浮き沈みがあったり、ということがあったので、若い選手たちには「そういう時期の過ごし方が大事だぞ」という話はするようにしています。みんなにどう映っているかは分からないですけど、できるだけ行動で示すように努力していますし、気づいた時にはなるべく声をかけるようにしています。

いかにズル賢くやれるか。それが自分の武器

──先日の山口戦でJリーグ通算300試合出場を達成しましたが、今節はそのキャリアの第一歩となった古巣・京都との対戦です。京都に対して特別な思いはありますか?
千葉で育った自分が、高校を卒業して初めて地元を出た先が京都でした。プロとして最初にプレーしたクラブでもありますし、クラブには知っている人も残っていて、今でも付き合いがある人がいます。“第二の故郷”じゃないですけど、感謝の気持ち、懐かしい気持ちはありますね。

──相手は現在3連勝中、前節ハットトリックを達成したピーター ウタカ選手は脅威になりそうです。
J2では間違いなくトップクラスのストライカーです。ただ、上手くいかないとイライラしてくることもあると思うので、そういう状況に追い込んで優位に立てるようにしたいです。単純に体をぶつけ合ったら勝てないですし、1対1で勝負しろと言われたら難しいので、いかにズル賢くやれるか。それができれば決して抑えられない相手ではないと思いますし、それが自分の武器でもあるので、GKや味方の選手と連係しながら上手くやりたいです。

──今節の会場はヴェルディが長らく負けていない味の素フィールド西が丘です。
対戦相手として西が丘で2回戦ったことがあるんですけど、2回とも負けているんですよね。昨年も(小池)純輝くんに1点取られて、その後は北九州が押し込んだんですが、結局0−1で負けました。その時の西が丘はすごくやりづらかったイメージがあります。スタンドも近いですし、コロナ禍で声援はないのに威圧感みたいなものを感じました。それが味方になるのは心強いですね。チームのみんなも「西が丘では負けない!」と言っていますし、そういう強みがあるなら最大限に生かしたいです。

──最後にファン・サポーターへメッセージをお願いします。
自分たちには目指すサッカーがあって、そのサッカーで上位を狙いたいという気持ちがありますが、僕はサポーターも含めて“チーム”だと思っているので、皆さんと一緒に戦っていきたいです。良い時には拍手を、悪い時には選手たちに危機感を抱かせるような雰囲気を作っていただければと思います。スタジアムに足を運んでいただいている方々には日頃から背中を押してもらっていますし、その感謝を結果で、まずは京都戦に勝つことで示したいです。