MATCH試合情報
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【試合展開】
ホーム連戦を戦うヴェルディは、前節で水戸ホーリーホックに2-1で競り勝ち、連敗していた流れを止めてこのレノファ山口FC戦を迎えた。
スタメンの構成は前節と変わらず、Jリーグ通算300試合出場となる加藤弘堅はクラウンでキャプテンの平智広とコンビを組んだ。コンディションの問題で前節のメンバーから外れた端戸仁がサブに入り、16歳でプロ契約を締結した橋本陸斗はプロ選手として最初の一戦を迎えた。
序盤は前への圧力を強めた山口に押し込まれるが、相手ボールホルダーに対して厳しく寄せて、陣形をコンパクトに保ってラインを下げ過ぎずに対応する。5分にはカウンターでゴール前まで迫られると、左右に振られてシュートがマテウスの逆を突くが、ゴールカバーに入った加藤がギリギリのところでクリア。10分にも右サイドから高井に突破を許してゴール前まで侵入されるが、シュートは平智広が身体を張ってブロックした。守備陣が崩れずに対応していたが、11分にコーナーキックをファーサイドに流されて頭で押し込まれて先制を許す。
この失点がヴェルディの攻撃性を覚醒させた。マイボールを保持して相手を押し込み、攻め急がないように見えてここぞのタイミングでスピードアップしてゴールへと迫っていく。失点直後の13分、左サイドの深い位置で福村貴幸がボールを持ち、ルックアップしてグラウンダーの横パス。ニアに入ってきた梶川諒太が囮になってスルーすると、背後に入ってきた佐藤凌我がワンタッチで合わせて右サイドネットに流し込んで、すぐに同点に追いついた。
たたみかけるように攻め込むヴェルディ。15分には、右サイドのスペースに小池純輝を走らせ、ショートパスをつないでまたも佐藤凌がフリーでシュートを放つが、これはゴール左へと逸れてしまう。20分にはカウンターからペナルティエリア内でブレ球のシュートを打たれるが、マテウスがファインセーブでブロックする。
猛攻を仕掛けるヴェルディのタクトを振ったのは、何度となく相手ゴールに迫るラストパスを供給していた佐藤優平。決定機を作り続けたその右足から逆転弾が生まれる。24分、相手の攻撃を凌いでカウンターを発動すると、佐藤優が右サイドのスペースに向けて走り込む小池に絶妙なスピードとコースのパスを通す。ゴール前に侵入した小池が2回のターンでDFを翻弄してシュートを打つと、相手GKがなんとかブロックしたこぼれ球を山下諒也が飛び込んでプッシュしてゴールに流し込んだ。
攻撃の手を緩めないヴェルディ。28分には山下が左サイドからコースを突いたミドルシュートを放ち、30分にはコーナーキックから小池がフリーでボレーシュートを放つが、わずかに枠を捉え切れない。32分にはまたも佐藤優のスルーパスから小池が抜け出してゴール目前でフリーでシュートを放つが相手GKのファインセーブに阻まれた。35分には、またも佐藤優と小池のホットラインでゴール前に抜け出すも、小池のシュートは相手DFにブロックされた。前半終了間際にもコーナーキックから加藤がフリーでヘディングで合わせる場面があったが、これも相手GKの好セーブでネットを揺らせなかった。
猛攻を仕掛け続けて試合の主導権を握った前半の流れは、後半に入っても変わらない。立ち上がりの48分には、中央より左寄りの位置でボールを持った佐藤優が、味方の動きを囮にして右サイドのスペースへ絶妙なスルーパス。後方から飛び込んできた若狭大志がフリーの状態でワンタッチでシュートを放ったが、これはわずかにゴールの右へと逸れる。コンパクトな陣形、前線からの積極的なチェイス、ボールを奪ってからの素早い攻撃でリズムを作ると、60分に猛攻が実る。ハーフライン付近右サイドでボールを受けた若狭が、相手最終ライン手前のスペースに入ってきた佐藤優へ浮き球のパス。佐藤優は反転しながら足先で微妙にコースを変えて、相手DFの頭上を越えるループパスを通す。そのボールに小池が絶妙なタイミングで抜け出し、前に飛び出した相手GKより先にボールに触ってゴールに流し込んで相手を引き離した。リードを広げてからは攻め急ぐことなく、マイボールをしっかりと保持しながら、前に出る相手をいなしていく。攻撃を許す場面はあったものの、フィニッシュの場面を作らせずに、球際にはしっかりと寄せて対応する。この日最大のチャンスは82分に訪れる。相手が最終ラインでパスを回しているところに山下と佐藤凌が猛ラッシュ。ボールを奪うとカウンターを仕掛け、3対1の場面を作る。山下がボールを運び、佐藤凌と石浦大雅が猛然とゴール前に駆け上がる。完全に数的優位の状態だったが、フリーの味方ではなく自分で仕掛ける選択をした山下のシュートは枠を捉え切れなかった。
終盤に入っても集中力を欠かなったヴェルディはリードをキープしたままタイムアップを迎えた。次節は開幕以来好調を維持するFC琉球と敵地で対戦する。昨シーズン終盤、同カードで喫した大敗の借りを返し、その先に続く連戦に向けて弾みをつける。
試合を振り返ってください。
山口さんは非常にボールを大事にして、保持しながらという、自分が考える正しいサッカーと言いますか、良いサッカーをやられているチーム。監督さんが代わられても、同じ方向性に進んでいる素晴らしいチームだと思います。非常に難しい山口さんを相手に我々が90分間を通してゲームを支配できるかが、カギだと考えていました。我々のバージョンアップ、進化したいところで、もちろんボール保持へのこだわりは捨てることはないですが、いわゆるゲーム支配、ゲーム全体を支配するというもの、攻撃、マイボール、相手ボールのときも我々主導でできるように、もう一度守備から再攻撃する、マイボールにする。それも合わせて、90分を通してのゲーム支配を目指している中で、今日のゲームについては選手たちがよくやってくれたなと思います。
さらに日常のトレーニングの中から、プレー強度など、ここ2週間、非常に選手たちも意識が変わったと言いますか、もともと潜在意識の中にあったものだと考えていますが、そういうところもトレーニングから出してくれています。それをゲームの中でも出してくれていることは非常にありがたいですし、そういうところが良いゲームに、勝ち点3に繋がっていると考えています。我々は一戦一戦を大事にしながら結果を出していくことにこだわって、また次の琉球戦に向けて選手たちと共に最大限の努力をしていきたいと思います。
ファン・サポーターの皆様には本当に毎試合のように力になっていただき、背中を押してもらい、勇気をもらっています。そのことに対して勝利という形で少しではありますが、恩返しできたことを嬉しく思います。また、次の試合でも感動と勝利というものを届けられるように、選手たちと全力を尽くして戦いたいと思います。
右の小池選手をワイドに張らせて、逆の山下選手を内寄りに置いてセンターバックの背後を狙わせる形の攻めが目立っていましたが、前線の配置の意図に関して聞かせてください。
山口さんの守備のやり方を分析している中で、山下、小池両選手の配置を含め、誰がどのように背後を取っていくという部分はかなり考えていたところです。選手たちがその意図をよく理解してやってくれました。
端戸選手の右ワイドでの起用、佐藤凌我選手を最後まで残して部分も含め選手起用の意図を聞かせてください。
凌我に関しては90分間、攻守両面の部分で本当によくやってくれたと思います。さらに、毎試合成長してくれているので、これからも楽しみですし、チームにとっても彼の貢献度は高いです。(端戸)仁に関してスタートは右のワイド気味でしたが、少しボールを持ちたい時間帯でもあったので、右の彼のところでタメを作りたいという狙いもありました。そこからまた、仁に中へ入ってきてもらい、形を表すのは難しいですが、凌我と少し2トップ気味にプレーさせるという狙いもありました。彼も攻守によくやってくれました。
同点直後に若狭選手と山本選手を呼んで指示を出していましたが、その中身を教えてください。
リスク管理のところです。ちょっとリヒト(山本)の立ち位置、ポジションが我々の求めるリスク管理のポジションを取れていなかったので、そこを伝えて修正しました。前がかりになるところで、少しリスク管理が疎かになりがちなので、そこをもう一度伝えました。良い守備というか、リスクを管理した上で我々の攻撃サッカーをさらに出していきたいという部分でした。
相手のカウンターを潰すという部分は今日の試合で山本選手に求めていたタスクだったのでしょうか?
このゲームに限らず、リスク管理に関してはクラウン(センターバック)とリヒトのポジションが大事なところなので、そこに対する要求は毎試合していますし、彼に対してかなり高い要求をしています。試合ごとに良くなっていますし、リヒト自身の成長も窺えます。
監督の就任した初陣の愛媛戦以来の逆転勝利になりましたが、その要因をどのように捉えていますか?
やはり選手たちの勝利への執念やメンタルのところが非常に大きいかなと思います。
守備に関するチームメネジメントが非常に上手くいったと感じますが?
チームメネジメントに関してはまだまだ自分に足りないところ、力のなさを感じる部分ではあります。何よりも選手たちが日ごろから意識も変えていく、すべてにおいて変えてくれたことが一番大きいと思います。守備に関しては自分たちの共通認識、前からボールを奪いに行くことがコンセプトなので、ラインをコントロールしながらコンパクトに戦う中でファーストディフェンス、セカンド、サードというところの共通認識が非常にうまくいっていると感じています。彼らの成長が素晴らしいと思っています。
佐藤凌我選手に関してフリーマンとして中盤に下りて起点を作るプレー、背後に動き出してラインを下げさせるプレー、その使い分けのバランスを含めて今日のパフォーマンスに関する評価を聞かせてください。
下りてきて中盤に数的優位を作る、そして、前線に飛び出してラインを下げさせる、そして最終的に点を取る。フリーマンストライカーというポジションは一番運動量が要求されますし、90分間を通して一番スプリントが要求されるポジションだと考えています。凌我に関してはスプリントもチームを通して一番多いですし、ラインを下げること、中盤に下りてくるところ、そして守備の貢献度、ファーストディフェンダーとして守備のスイッチを入れるところなど、本当に毎試合よくやってくれていると思います。さらに、彼の成長が楽しみですし、彼の成長が我々チームにとってもプラスになると考えています。
凌我は試合を通してよくやってくれましたが、あえて今日の試合で反省点を挙げるとすれば、後半の3-1の状況で山下がボールを運んでいき、(石浦)大雅、凌我がフリーという場面で最終的に山下がシュートまで持っていくシーンがありました。ここに関して我々はもう一度真剣に考えていかないといけないと思っています。やはり我々の攻撃というのは崩すのが目的ではないですし、ゴールを取ることが我々の最大の目標なので、そこからの逆算という部分で山下選手がシュートを打つことが最善だったのか、よりフリーな状況の石浦選手に渡した方が良かったのか、そこは確率の問題ではありますが、仲間のためにプレーするという部分はサッカーというゲームにおいてよくある展開ですが、もう一度真剣に考えたい問題提議です。そして、勝ったからこそ反省できる、今後に向けても重要な部分です。
素晴らしいチャンスメイクを見せた佐藤優平選手の評価を聞かせてください。
今日に関してはラインを下げさせる選手が誰なのか、ラインが下がったときの我々のスクエアゾーンを誰が使うのか、ボール状況がフリーのときに誰がフィニッシュゾーンを狙う、そこに誰がパスを通すのか、我々の今日のゲームプランにおいて(佐藤)優平の仕事ぶりは素晴らしかったですし、我々の今日の勝利に貢献してくれたと思います。
MF9佐藤 優平
試合を振り返ってください。
立ち上がりに失点したので、追いかける形になりましたが、すぐ追いつけたことが、逆転への推進力に繋がったと思います。
ボールを奪ってから裏を突いて多くの決定機を作りましたが、今日の攻撃の狙いを聞かせてください。
チームのミーティングの中で攻撃のパターンについて、永井さんから色々と提供してもらっていました。それを頭の中で考えていて、上手く具現化できたと思います。
3点目のアシストを振り返ってください。
本当はワカ(若狭)から間のポジションでもらおうとしていて、エーコ君(小池)も裏に抜けていました。ただ、ワカのミスキックが自分と相手の間に浮いたパスになったので、ワンタッチしかないところでの選択でした。エーコ君は常に裏を狙っているので、そのまま走っているかなと思って出しました。
新潟戦での大敗後、ホーム2連勝を飾ったことに対する率直な感想を聞かせてください。
本当に上手く切り替えられたかなと思います。簡単ではなかったと思いますが、みんながどれだけ勝ちたいかという気持ちが、この2戦の結果に繋げる上で大事だったと思います。守備もそうですし、攻撃もそうです。すべての局面で勝たないと良い結果を得られないということは、0-7の敗戦で分かったことです。それを謙虚に受け止めて、まだまだ自分たちは成長しないといけないという気持ちでピッチに立っていることが良い結果に繋がっていると思います。
守備のところで相手のカウンターを上手く自分たちの中盤で止められる場面が多かった印象ですが?
ボールを取られた後の切り替えの部分は監督やコーチ陣から要求されている部分ですし、チームとしてその部分がだんだんと身体に染みついて良い反応に繋がっていると思います。自分と(佐藤)凌我のところは前から追う仕事がありますし、そこでやり切っていかないと、ボランチの選手にその負荷がかかってしまうので、自分と凌我、ヤマ(山下)、エーコ君、カジ(梶川)と攻撃に関わった選手たちがいかに早く切り替えできるかは常に意識していますし、それが少しずつ後ろに伝わっていると思います。
再三の決定的なラストパスを通していましたが、前線3枚の動き出しの多さがご自身のプレーをラクにしている部分もありますか?
ヤマと凌我、エーコ君という裏に出ていく選手がいるので、自分はパサーとして非常に選択肢が多い中でパスを出せたので、相手は常に局面で苦しい対応が多かったと思います。ただ、点に繋がらなかった場面もあったので、そこは自分の精度を上げていきたいです。特に話をすることはないですが、周りも自分のプレースタイルを理解してくれていますし、自分も受け手のプレースタイルを理解しているので、そこはチームメイトとしての阿吽の呼吸といった感じです。
守備では相手のボランチを上手く消せていたと思いますが?
前節から凌我と自分のところで、どれだけチームに守備で貢献できるかというところで、運動量も求められていますし、凌我もすごく自分の分まで走ってくれているので、自分も凌我の分まで走ろうという気持ちでやっています。2人とも前からの守備がどれだけ重要かを分かっているので、それが今日と前節の試合でチームの守備にスイッチを入れる役割に繋がったのかなと思います。まだまだ反省点もありますし、足りない部分も多いので、そこは監督と守備を見ている(コーチの)堀さんと話しながら、毎試合毎試合クリアしていきたいと思います。(相手ボランチの佐藤謙介選手は)中盤で一番ボールを捌く選手なので、凌我と自分で話し合いながら対応しつつ、自分たちは運動量で勝負していました。幾度か組み立てに使われてしまいましたが、もう少し守備でも貢献できるように頑張っていきたいです。
新潟戦からの切り替えていく上で最も難しかったところを聞かせてください。
自分たちはあの試合で点を取れていなかったですし、良い形が前半の立ち上がりしかなかったです。0-7という試合の中で、自分たちは攻撃的なチームにも関わらず、ゼロで終わったという部分で、立て直しを図る上で守備と攻撃どちらを優先していくのか、失点を抑えるのか、点を取りに行くのかという部分で、選手たちは1週間悩みながら取り組んでいました。その中で永井さんがハッキリと攻撃にフォーカスしてくれたので、自分たちは立ち戻る場所があって良かったなと感じています。 やっぱり、チームスタイルというか、今までやってきた原点に戻るというか、立ち位置など、これまでやれていたことに立ち戻るというふうにやったので、ベースがあることは非常に自分たちの良いサッカーをする上で非常に重要なことなので、そのベースがあったからこそ今の結果があると思っています。立ち返る場所があって良かったと思います。一方で、それをバージョンアップに繋げていくという部分で元に戻すことに関して色々な受け止め方がありますが、まずは一人一人がチームのためにやっていくことがどんな形でピッチでのパフォーマンスに繋がっていくかはやってみないとわからない部分もありましたが、最終的にそこが良い形に繋がって良かったと思います。
ご自身としては新潟戦の敗戦をどのように受け止めましたか?
自分たちはボールを持たないと結果を出せないチームだと思いました。どれだけボールを持つか、いかに良い形でボールを持つかが大事だと思いましたし、守備も含めてサッカーにすべて大事な要素だと思うので、チームメイトを助けてあげるためのサポートを前の試合からより意識してやってきたからこそ、今の結果があり、うまく立て直すことができたと思います。
今日の試合ではパススピードが非常に上がっているように見受けられましたが、その要因をどのように捉えていますか?
ボールの取り方次第だと思います。良い形でボールを奪って前にスペースがあれば、裏に走るというコンセプトがあるので、取り方が良かったと思います。あとは取った後に近くで距離感良くサポートすることは心掛けていますし、常にコンパクトに守備をしなければいけないことはわかっているので、そのコンパクトな守備がテンポの良さにも繋がっていると思います。
MF17加藤 弘堅
試合を振り返ってください。
ゲーム自体はチャンスも多かったです。欲を言えば、もっと得点を重ねられたかなというところと、失点のところのセットプレーでは、今日に限って言えば、マンツーマンで対応したので、その選手の責任ももちろんありますが、そういう失点はできるだけ減らしていきたいです。セットプレーは上位に行く上ですごく大事なことだと思っています。しっかりと守れて、なおかつセットプレーで点を取れるのがベストなので、そこはまた映像を見て修正して次に繋げていきたいです。0-7の新潟戦の敗戦があった中、前節は勝てたので、それを継続して勝てたことはすごく大きかったと思います。
チャンスを多く作れた要因について聞かせてください。
前節の水戸戦で勝った後、みんなで話をしましたが、守備時のチームのポジションが非常にコンパクトで連動している時にボールを奪えると、そのままの流れを攻撃にも持っていけたり、攻撃時に攻め急がずに、カウンターという考えを持ちながらも、ボールを保持しながらゴールへ向かうという部分。特に水戸戦の後半に、選手自身、僕も含めて大きなヒントがあって、できるだけコンパクトにしながら、チームで連動して、攻守ともにできたらいいのかなと話していました。その意味では連動できました。まだ上手くいかないところもありますが、我慢しながらできたかなと思います。
周囲の選手への声掛けの部分で意識しているところを聞かせてください。
今日に限って言えば、前節から大きくメンバーが変わらずにゲームに入れたので、みんな手応えを得て試合に臨めたと思います。そういう意味で特別な声掛けはしていません。ただ、(佐藤)凌我に対しては「チームに気を遣って、チームの型にはまりながら自分の良さを出すというよりも、とにかく自分の良さをどんどん出して行け」と伝えたのは、自分が若い時にベテラン選手から「ミスを怖れずにやっていいぞ。ミスはコッチで取り返すから」と、上の選手から言ってもらえると、ひとつ荷が下りてプレーに思い切りが出たりするので、実際点を取ったのは凌我の能力というか、彼の結果なので、自分の助言云々ではないですが、そういう意味での声掛けでした。ゲームの中では経験のある選手が流れを読みながらプレーし、若い選手は戦術はありながらも思い切りプレーしてくれた方が、チームとして上手く回るものです。その辺はその都度気づいたときに声をかけています。
ご自身のプレーと呼応するようにチーム全体の守備強度が上がっているように見受けられますが?
自分のプレースタイルどうこうというよりも、チームとして狙いを持ってカジ(梶川)やリヒト(山本)が決断して前に出てくれることはありがたいです。平とも話していますが、前の選手たちを上手く動かしてコースを限定して、そこにしかボールが出てこない状態にしてあげると、思い切りよく前に出てボールを取れる場面も増えていきます。そこは自分のプレーどうこうというよりも、カジやリヒトの判断の良さだと思います。
前半立ち上がりの見事なゴールカバーのシーンを振り返ってください。
相手が裏を狙って平の裏に走り込む選手が見えていましたが、僕はカバーに行く時に右側のスペースを若狭に埋めてもらうために声をかけていましたが、それで平へのコーチングが遅れてしまいました。あとは僕自身カバーに入るタイミングが遅れてしまったので、そこは自分自身のリスク管理や声掛けのタイミングなどのところでピンチを招いてしまったので、平の裏に走り込んだ選手に直接シュートを打たせないことだけを考えていました。横パスをしてくれてパス自体もズレていたので、あまりシュートを強く打てないと考えていてマテ(マテウス)が止めてくれることを考えつつ、ファーにカバーに行きました。
ご自身から縦パスやミドルパスが良い形で通る場面が目立っていましたが?
まずは味方の選手の立ち位置、一番前の凌我から(小池)純輝君、ヤマ(山下)に対しての視野の確保もしていますし、そこから逆算してパスの出しどころを受けた時、受けた後に判断しています。近い選手がフリーな場合、早めに出す選択肢もありますが、左からボールが来ると右サイドに展開する際に右足でボールを持つことが多く、若狭や純輝君のところに一発飛ばすことで展開が大きく変わり、相手の幅を広げることができますし、その際に相手選手が予測して若狭や純輝君のところに動き出すことが多いので、それを見た上で真ん中の間を通しているだけです。真ん中に味方の選手が立ち位置を取っていることが多いですし、結果的に自分の縦パスが通って展開が変わることもありますが、味方の選手の立ち位置の良さも関係しているので、そこはある意味必然だと考えています。僕としては2つの選択肢を持っている中、外に開くか、真ん中に通すかというところを相手を見ながら判断してプレーしているだけです。
Jリーグ通算300試合出場達成について率直な思いを聞かせてください。
今まで一緒にやってきたチームメイトやスタッフの存在もあって残せた300試合だと個人的に思っています。今日は勝ちでゲームを終えられましたが、正直、これまでの300試合の中には負けている試合、苦しい試合が大半を占めています。その失敗から学んだり、先輩からの助言を受けてここまで来られたと思います。ひとつは感謝の気持ちが大きいというのと、あくまで300という数字が通過点になるように、400、500の数字に持っていければと思います。
FW27佐藤 凌我
試合を振り返ってください。
同点弾を早い時間帯に決められたことも良かったですし、個人としても良かったです。他にもチャンスは前後半にいくつもあったので、そういう部分でもっと質を上げることができれば、もっとラクな試合にできると思うので個人としての課題でもあります。
貴重な同点ゴールはフリーマンストライカーとして最高の形のゴールでしたね。
あそこで自分はなかなか平さんからのボールを収めることができず、課題としていましたが、日ごろの練習が実ったというか、今日の試合ではあの場面ぐらいでしたが、それが点に繋がって良かったと思います。
2試合連続ゴールとストライカーとして良い感触を得られていますね。
本当に周りからどんどん良いボールが出てきますし、自分は個人で打開して点を決められるタイプの選手ではないので、周りの選手に感謝しつつ、絶対に決めるという意識を強く持ってやっていきたいです。
水戸戦の後半の戦いに続き、今日は試合を通して守備面でのアグレッシブさも光りました。
監督も話していたことですが、あれをベースにしていくと言いますか、あれをやらなければ、絶対に勝ちを掴みとれないと思うので、今後も継続していきたいです。
前線の3選手の関係性も向上している印象ですが?
そこの共通認識、自分が中盤に下がった時にヤマ君(山下)や(小池)純輝君が裏を狙ってくれたりというのは、どんどん質が上がっていると思います。そこを今後も突き詰めていき、より多くの得点に繋げていきたいです。
ここ2試合で強調するハードワークに加え、チームコンセプトの相手を見てサッカーをするという部分も今日は上手くいった印象ですが?
コンセプトの部分は全員が意識してやれています。相手が前から来れば背後が空くというのは、トレーニングの中から指示されていますし、相手を見ながらどこが空くかという部分は共通認識を持ってやれています。
欲を言えば、4点、5点と取れる試合展開でしたが、攻撃面でのご自身の課題を聞かせてください。
もっともっと点を取れる試合だったと思いますし、ずっと主導権を握れていたので、自分のラストのプレーの質は高めていきたいです。前半に3点、4点目を取れていれば、もっとラクな展開にできたので、そこら辺の質は高めていきたいです。
攻守に最後までスプリントを繰り返すなど、かなりアグレッシブにプレーしていましたが、コンディションや疲労はいかがですか?
毎試合、自分の全部を出し切るだけだと思っていますし、そのための試合に向けた準備もできています。自分がどんな状況でも最後まで力を出し切る。その中で監督が無理だと判断した場合、代えるという選択肢を選ぶと思いますし、今日に関しては最後までできると判断してもらえたと考えています。とにかく、自分の持っている力を全部出していきたいです。
決して押し込まれる展開ではなかったですが、ボール支配率が50%を切ったところに関してはどのように捉えていますか?
相手が前から来ているぶん、簡単に背後を取ることができますし、全体的に相手ボールの時間は増えていきます。それでも、選手全員がブレずに守備して前半の失点以降、ゼロで抑えることができた点は良かったです。また、前からの守備でカウンターを繰り出し、シュートで終えられるシーンも多かったです。攻撃が速過ぎて自分たちが持つ時間が減る部分もありますが、決め切ることができれば、どんどん点差は開いていきます。そこの質を上げていく必要がありますが、最終的に保持率よりも勝つことが大事なので、チームとして意識を共通してやっていきたいです。
2連勝で次節は上位に位置する琉球との対戦になりますが?
上位のチームとの対戦は単なる勝ち点3ではなく、もっと価値のある試合になるので、勝つことを強く意識して3連勝して波に乗っていけるように頑張っていきたいです。
MF19小池 純輝
試合を振り返ってください。
アウェイで0-7で負けてしまってから、もう一度巧いヴェルディという部分だけでなく力強さや泥臭さを出していくという部分で、この2週間はハードワークしてきました。その部分を試合を通して出せたのかなと思います。
ゴールシーンを振り返ってください。
最初は若狭選手のフリックを自分が直接もらうイメージでしたが、それが少し手前になってしまい、ちょうど(佐藤)優平のところに行きました。優平は僕が背後を狙っているところを逃さずにボールを出してくれました。前半から良いボールをくれていたので、ひとつ決めることができました。背後に出た瞬間にキーパーが前目にいることはわかっていたので、相手の不意を突ければいいと思って打ちました。前半に3つ、4つチャンスがあった中で自分自身でもゴールを取りたいというところで少し力が入り過ぎた面もありました。そういう形で前半を終えた中、どうにか1個取りたいという部分が実って良かったです。
チームとしては永井監督の就任した愛媛戦以来、だいぶ久々の逆転勝利になりましたが?
昨年も先に点を取られてしまうと、それを撥ね返していく力が僕らに足りておらず、やられてしまう試合が多かったです。ただ、今日に関してはやっていても自分たちがゴールを取れる、引っくり返せるという空気がありました。また、変わらずにハードワークできていたので、すごく自信になると思います。
相手サイドバックの選手とのマッチアップも含めてご自身のところで局面を打開できる感触があったと思いますが?
今日の配置的にも左はビルドアップ時に人数をかけていて右は一人足りない状況でしたが、左で作って右で仕留めるという部分で、特に優平にボールが入った際にはチャンスになる感覚があったので、チームとして左に寄せて自分のところで背後を狙っていくチームとしての形が上手く出せていました。その中でヤマ(山下)のゴールもありましたし、その数を増やしたり、あとは決め切るなど課題はありますが、全体的に良かったです。
山下選手の逆転ゴールに繋がるシュートは初めから股抜きを狙っていましたか?
股を狙っていました。もう少しファーを狙いたかったですが、股抜きを狙ったという部分で少しシュートが内側にいきました。ただ、良いところにこぼれて、ヤマがしっかりと詰めてくれたので良かったです。
シュートに持ち込むプレーに加え、マイナスのパスで味方にシュートシーンを作るなど、効果的な使い分けができていた印象ですが?
後ろに落としたシーンではヤマと凌我がゴール前に走り込んでくれていましたが、後ろの選手がすごくフリーだったので、そこを上手く使っていく意識でした。僕があそこの深い位置を取れるとマイナスが空くので、そこを使った感じです。
試合を通して前線の選手が複数の選択肢を持ってプレーできる場面が多かったと思いますが?
それはみんながポジショニングの優位や数的優位に立っていたり、共通認識の部分でこれまでやってきたことが形になって表れていると思います。後ろのビルドアップやラインの越え方も上手くやってくれていましたし、チームとして上手くやれていると思います。
前節のハードワークをベースに今日の試合ではチームとしてバージョンアップできた試合だと思いますが?
後ろがラインコントロールを上手くやって押し上げてくれていましたし、後ろが上げてくれると自分たちも狙いやすいというか、迷わずマッチアップしている選手に対してボールを奪いに行くことができます。チームとしての意思統一や取り組んでいることをピッチ上で表現できていると思います。
昨シーズンに比べて、ご自身だけでなく山下選手や佐藤凌我選手が背後を狙っていくことで相乗効果も出てきている印象ですが?
もちろん、やみくもに裏を狙うわけではなく相手を見ながら味方がフリーで前を向いている場合、優先すべき選択肢は背後ですし、シュートだと思います。そこで相手のラインが下がった間を優平やカジ(梶川)、(山本)理仁が使っていくというやり方なので、僕らが先手を取って動き出してスペースを作ったり、そこでボールを受けてチーム全体を押し上げられるように意識してやっています。
シーズン序盤の上手くいっていない時期に比べて、ミドルレンジのパスやサイドチェンジが繋がる場面が増えていますが、立ち位置や出し手、受け手の連携の向上が要因でしょうか?
ちょっと前までは奪ったボールをすぐに失っていたり、縦に速く攻撃することを意識し過ぎていた部分があったので、そこの判断の改善が大きいです。一気に攻め切るという場合と、一回ボールを保持して失わないようにする、使い分けができてきたのかなと思います。そこは良いと思います。
盟友の梶川選手がここに来て調子を上げて今日も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
彼に関して心配していることはありませんし、よくあそこで攻守に顔を出して縁の下の力持ちではないですが、チームのために走れる選手です。あとはコイカジのホットラインで点を取れるようにしていきたいです。まだ、それが出てないので、そこもひとつ楽しみにしてみなさんに見せられればいいなと思っています。
新潟戦から立て直しての連勝という良い形で、昨年大敗した琉球とのアウェイゲームに臨むことになります。
新潟戦は自分たちにとって良い教訓になったと思っています。ただ、これからも相手どうこうではなく、自分たちに目を向けて練習からハードワークし、それを試合で出せたからの勝利だと思っています。今後も手を抜くことなくみんなで同じ方向を向いて高め合いながらやっていきたいと思います。