MATCH試合情報
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【試合展開】
秋の5連戦も中日に突入し、1戦目で京都サンガF.C.に2-0で勝利し、2戦目はジュビロ磐田に敵地で2-2で引き分け。仕切り直しでホームに戻る今節は、愛媛FCと対戦した。
スタメンの大きな変更は最終ライン。若狭大志が右サイドアタッカーに入り、センターバックの一角には負傷明けの高橋祥平が入った。
序盤、前から果敢にプレスをかけてマンツーマンではめにきた愛媛に対して、ヴェルディは思うようにボールを動かせずに苦しむ。ボールを動かす先ごとにマークをはめられ、局面の競り合いではじき返されてカウンターで逆襲を食らう。17分には高い位置でボールを失うと、ワイドな展開で揺さぶられると、左サイドからフリーな状態でクロスボールを入れられ、ゴール前で豪快にボレーで合わされて先制を許す。直後の23分にはお返しとばかりに高橋からのロングフィードで右サイドのスペースに小池純輝が抜け出し、ワンタッチでゴール前ファーサイドへクロスボールを入れる。そこに大久保嘉人が抜群のタイミングで飛び込んだが、頭で合わせた強烈なシュートは相手GKに阻まれた。
反撃に出たいヴェルディはハーフタイムに森田晃樹に代えて山下諒也を投入し、打開を試みる。すると投入直後の48分、山下が佐藤優平とのワンツーでバイタルエリアまで相手を押し下げてミドルシュートを放つが、これはゴール右上へと逸れる。55分にはくさびを受けた山下が大久保とのワンツーでゴール前に抜け出し、DFを引き寄せたところでペナルティエリア左のスペースに流して福村貴幸を使う。狙いすました福村のクロスはファーサイドに飛び込んだ大久保にわずかに合わず、その奥にも小池が入ってきたが、合わせたボールは角度がなくゴールわずかに上へと外れた。74分には相手のビルドアップのミスを小池が拾い、そのままペナルティエリア内へ侵入してゴールライン際まで突破。マイナス方向へクロスを送ると、フリーの状態で井出遥也に合うが、井出のワンタッチシュートはゴールわずかに左へとそれた。直後の75分には佐藤が思い切りよく狙ったミドルシュートが惜しくも枠のすぐ上に飛ぶ。前半の猛プレスで疲弊した相手を翻弄し、後半は完全に相手陣内でプレーしたが、最後のフィニッシュだけがどうしても合わない。83分にはカウンターから井上潮音が運び、松橋優安を使って押し込むが、中に折り返したクロスは必死に追った相手にブロックされて好機を逃す。アディショナルタイムに入った90+5分には井上のパスを松橋が囮になり、左サイドで福村がフリーでクロスボールを入れる。相手GKとDFの間の絶妙なコースに飛んだボールはわずかに合わず、逆サイドで新井瑞希が折り返したボールを若狭が合わせるも、これも枠を捉え切れず万事休す。
前半の一瞬のエアポケットで奪われたゴールを守り切られて、ここ5試合負けがなかったヴェルディに黒星がついた。前半に相手のマンツーマンに苦しんだものの、後半は相手を押し込んで崩し切る場面もあり、決して何もできなかったわけではない。ただ、ほんのわずかなフィニッシュの精度の差で、この試合は涙を呑んだ。上位へ進出していく上では、決め切れる時に決め切る決定力の高さが必要になる。チャンスの数は少なくなかっただけに、中3日で臨む敵地でのファジアーノ岡山との一戦では、チャンスを確実にモノにして勝ち点3を持ち帰りたい。
試合を振り返ってください。
当然、中2日の大変厳しいコンディションの中でしたが、選手たちはまずよくやってくれたと思います。試合の入りのところで、相手チームがフルコートのマンツーマンに近い形で入ってきて、どこで数的同数になり、どこにスペースがあり、どこを攻略していくかを上手くやれなかったことが反省点です。守備のところはいつもよりラインを上げられなかったのが反省点です。その中でも、自分たちのサッカーをやれる時間もありました。
こういう試合でよくありがちな言葉になりますが、やはり最後を仕留めるところ、フィニッシュのところを、我々はもっとチーム全体で精度を上げていく努力をしていきたいと思います。選手たちはよくやってくれたので、またしっかりとまずは休んで、良い準備をして次の試合に向けて頭を切り替えていきたいです。改善すべきところは改善し、そして最後の崩し、フィニッシュの質をさらに上げていきたいと思います。ホームゲームに来てくれたファン・サポーターの皆さんに勝利という喜びを届けられなかったことは申し訳なく思いますし、大変悔しく思います。また切り替えて、次に向けて努力していきたいと思います。
愛媛がマンツーマンで来ることは戦前の予想にあったのでしょうか?
愛媛さんだけでなく、どのチームも我々を分析した上で、マンツーマンで戦う可能性は想定に入れていますが、そのあたりの対応をもっと上手くやることが次の扉を開けていくうえ、進化していくうえで重要なところだと考えています。まずは上手くスペースを見つけられなかったです。そこは単純な話になりますが、相手のキーパーがあれだけ高い位置を取る中ではまずミドルシュート、ロングシュートに近い形でもいいですが、当然ゴールに一度ボールを運ぶ、そしてキーパーの位置を下げさせる。その次に相手コートに広大なスペースがあるハイラインに対して、数的同数という中でそこにボールを送ることを狙う。ラインが下がったら、いつも通りに我々のサッカーをやるという部分で見るべきところが少し上手く見られなかったところが反省点です。
広げる作業、相手を引き出すというベースの戦い方の中で、今日は相手がそのプランにのってこなかったという印象ですか?
考え方を変えるというか、今日に関しては我々が引き出す必要がないぐらいに我々のフロントボランチのところに食い付いてきていたので、逆に引き出す必要がないほどスペースがあるということを上手く認知できていなかったという感覚です。普段であれば、まずは引き出す作業から始めますが、引き出す必要がないのに引き出す作業をしてしまったことが、反省点です。
中2日の過密日程の中でスタメンの変更を2名に留めましたが、今日の試合に関して全体的なチームのコンディション面をどのように捉えていますか?
色々とできなかったことに関して言い訳を探すのは簡単ですが、単純にコンディションのせいにして片付けてしまうのは難しい部分でもあります。こういうレギュレーションの中でなかなか正解を見つけることは難しい。あるいは正解自体がないかもしれない難しいチャレンジになっているので、次に向けてはコンディションを考慮しながら、選手の状態をメディカルと相談しながら考えていきたいです。なかなかコンディションを想定しながらプランを考えていくのは難しいことだと捉えています。ただ、変わらずに選手たちはよくやってくれています。
MF20井上 潮音
試合を振り返ってください。
愛媛がマンツーマンという形を取ってきて、その中で自分たちが真っ向から受け過ぎてしまった面がありました。特に、前半はそういう展開になりました。そこに対する攻略の糸口を自分たちで見つけることができず、苦しんだ感じです。後半は上手く押し込めましたが、前半の戦いがもったいなかったです。
前半の飲水タイムにも多くの指示がありましたが、チームとして打開していくどのようなイメージを持っていましたか?
まずワイドの選手が裏を狙っていくことが大事だったと思いますし、マンツーマンで来た相手に対して、自分たちがもっと定位置を崩すというか、そういう動きも少し必要だったのかなと思います。
愛媛がマンツーマンで来ることへの準備はできていましたか?
特にはやっていなかったです。ただ、これからこういうチームがもしかしたら増えてくるかもしれないので、そうなった時のための良い経験として今日の試合を捉えたいです。
相手のハードチャージに対してボールを失う場面も散見されましたが、連戦による疲労の影響もあったという感覚でしょうか?
マンツーマンで来た相手に対して判断が悪かったと思いますし、あそこは背負うのではなくワンタッチで流したり、フリックで剥がすことができていれば、相手も捕まえ切れない状況になっていたと思います。マンツーマンの相手に対してもっとワンタッチやフリックを多く使うべきだったと思いますし、そこの判断が必要だったと思います。
ご自身や森田選手が相手の付いてこない位置まで下がって前向きな形で打開を図る場面もありましたが、あそこは個々の判断でしょうか?
ピッチにいる選手の判断でした。定位置にいるだけでは相手も掴みやすいと思ったので、特に(森田)晃樹と何か話したわけではなかったですが、晃樹もそういうふうに感じていたんだと思います。入れ替わりながら多少は定位置を崩しながらやっていくことが必要だと感じての判断でした。
試合終盤に5トップの形で攻めていましたが、その形で点を取るためにどんなイメージを持っていましたか?
5トップに対してどこからボールを入れてくるかが重要で、内側のジョエル(藤田)のところからは入りづらいと思ったので、一回外に広げてワカ君(若狭)、フクさん(福村)のところから斜めに入れていく方が効果的だったと思っています。最後の崩しのところまでは行けている部分は多かったので、最後のところで決め切ることが大事でした。1点取れていればコッチのゲームだったという感触はあります。
DF16福村 貴幸
試合を振り返ってください。
前半は特に前からプレッシャーをかけられていて、裏が大きく空いていた中で上手く剥がせなかったというのが難しくなった原因でした。
愛媛がマンツーマンで来ることは戦前の予想にあったのでしょうか?
スカウティングではなかったです。
決定機までには至っていましたが、最後の点を取り切るという部分はいかがでしたか?
前半から後半みたいなプレーができていれば、もっと相手の守備に大きな穴が開いたのかなと思いますが、前半にそこまで攻撃に絡めず、相手にとって恐いプレーも見せられていなかったです。前半に一本でも二本でもそういう恐いプレーがあれば、後半より大きな決定機に繋がったのかなと考えています。
前半に関して相手のマンツーマンを打ち破るため、背後の崩しという部分で必要だったと考えている点を聞かせてください。
タイミング良く裏に抜け出す動きも必要だったと思いますし、前に付けてもっと早く潜るというのが、僕のポジションなんかでは必要かなと思いました。
ハーフタイムにはどんな指示がありましたか?
もう一度、自分たちのサッカーをやろうという指示がありましたが、後半に愛媛さんが逆に前から来なくなったので、いつも通りにやれる形になりました。
ゴールを奪う上ではフィニッシュの精度の向上が必要なのか、それ以前の崩しのところを改善すべきなのかどちらの考えでしょうか?
個人的にはどちらか一方というよりかは、両方上手くできればと思っています。ただ、クロスを上げた際の数センチの精度などをもっとこだわっていき、最低でも味方に合うようにしていきたいです。
DF6高橋 祥平
試合を振り返ってください。
試合の全体を通してミスがちょっと多かったなと思います。
前半は相手のハードなマンツーマンディフェンスに手を焼く場面が目立ちました。
相手が自分たちを分析してきたマンツーマン気味にやっていたので、後ろのビルドアップでもそうですが、どこかで一人外すことをもっと全体的に意識してやれていれば、もっと良いゲームになったと思います。それでも、綺麗にというか、ヴェルディは個の能力が高いと思うので個で相手を剥がしたり、一人ではダメでも後ろからのビルドアップ、ひとつのパスで崩せることもあるので、状況を読みながらやっていきたいです。
相手の出方や連戦の影響もあり、序盤は少し淡白な印象もありました。
僕たちは相手に関係なく自分たちのサッカーを入りからやるつもりでしたが、疲れもあったと思いますし、内容的にはあまり良くなかったです。そういう中でも勝負強さを出していきたかったです。
失点場面では守備をセットし切れていない中でフリーで上げさせたクロスが痛かったように見えました。
簡単にクロスを上げさせてしまう状況を作ってしまうと、良いボールを入れられてしまいます。相手もクオリティが高いので、そこで後ろの選手ももっと身体を張ってセカンドボールをかっさらうというような気持ちでやっていけるといいです。ああいう場面でもっと後ろ全体で撥ね返していきたいです。そこは誰が出たとしてももっと撥ね返していくことは必要です。
前半20分ぐらいを過ぎてからご自身のロングフィードに小池選手が抜け出すなど、背後を突くプレーで決定機も作れていた印象ですが。
相手がマンツーマンで来るぶん、裏であろうが、足下であろうが、質の高いパスが通せれば、自分たちは足元に自信を持ってやっているので、得点機会は増えていくと思います。先ほども言ったように誰かが一人外すということだけでも、裏に出た段階で(小池)純輝君も(井上)潮音もタメを作れますし、足も速いというところで、裏に良い形で出せれば、相手のラインも高かったので、そこでパス出せたことは良かったと思います。ただ、僕らは最終的に結果を出すことが求められているので、良い守備、良いパスだけではなく結果を残すことが重要です。
後半は完全に相手がブロックを敷いてきた中、崩し切るための改善点を教えてください。
攻撃の部分は誰が出ても点を取れますし、良いパスを出せる選手がいます。チームとしてバリエーションは持っているので、もう少しだけ工夫が必要な部分も感じています。これから先もああいったブロックを敷いてくるチームはいますし、前から全然来ないチームもあると思うので、崩し方をもっと工夫してやっていきたい。
ハーフタイムの修正に関してチームとしてもっとも重視された部分を教えてください。
裏が空いてくるというか、相手がマンツーマン気味に来ているので、(大久保)嘉人さんが中盤に下りた際の裏、(佐藤)優平君、(森田)晃樹が出た裏を意識しようという話でした。ただ、相手は後半に入ってまったく前から来なくなったので、あとはいつも通りに工夫しながらやっていました。
失点以外では押し込んでいく中でリスク管理は徹底されていました。
後半に関して恐い攻撃はほぼなかったです。ただ、引いてくるチームが増えてくると思うので、カウンターへの対応に関しては平君、ワカ君(若狭)、フクちゃん(福村)と声を掛け合いながらリスク管理をやっていました。自分が出なくても誰が出ていてもそれが共有できている点は良かったです。
個人としては負傷明けで7試合ぶりの出場でしたが、コンディション的な感触はいかがでしたか。
80分過ぎになって足が止まってしまった部分があったので、そこは自分自身で何とかしないといけなかったです。あとは自分が十分に動けなくても味方を動かすことはできるので、もっと頭を使って良いポジションを取れれば、コンディション的にも問題はなかったです。
ここまでしばらく離れていた期間を通じてチームの進化、成長をどのように感じていますか?
上から見ていても良いサッカーができていると感じていましたし、チーム内の競争も激しいです。練習からみんなが戦えていると思いますし、誰が出ても良いサッカーができています。個人的にはスタンドから今のチームのサッカーを見ていて良い意味で悔しい部分もありました。
誰が出ても同じサッカーができるところまで来ていますが、もう一段階上に行くにはプラスアルファで個々の強みを出していくことも重要だと思います。
個々の能力が高く、誰が出ても同じサッカーができることは強みだと思いますが、良いサッカーをしても結果が付いてこないと意味がないです。僕らは結果を出すために良いサッカーを追求しているので、そこはもっと個々が追求していく必要がある部分です。
今日は悔しい結果に終わりましたが、連戦の残りの試合に向けて意気込みを聞かせてください。
今日の試合の結果を次の試合に向けて切り替えていくために個人個人がリフレッシュしていくことが大事です。次はまた新たな試合になるので、初めから結果にこだわってやっていきたいです。