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MATCH試合情報

2020 明治安田生命J2リーグ 第11節 - アビスパ福岡 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート


【試合展開】

前節、いよいよ火蓋が切って落とされた真夏の過酷な5連戦。その初戦は、後味の悪い消化不良な0-1での敗戦で幕を開けた。腑に落ちないモヤモヤした気持ちを払拭すべく、ヴェルディは敵地でアビスパ福岡との一戦に臨んだ。

 

連戦を考慮してか、または怪我人の温存か、ヴェルディはメンバー構成を変えてきた。高橋祥平を帯同させず、センターバックは若狭大志と平智広がコンビを組み、右サイドアタッカーに奈良輪雄太を、左には福村貴幸を置いた。小池純輝をスタメンで右ワイドストライカーで起用し、サブには近藤直也が今季初のメンバー入りを果たし、澤井直人がリーグ戦再開後初のメンバー入りとなった。

 

序盤からパスワークで福岡を翻弄し、高い位置で仕掛けていくヴェルディ。5分には井上潮音がペナルティエリア手前で倒されて左サイドでフリーキックを得る。佐藤優平がニアに鋭いボールを入れると、若狭が頭ですらすが、ゴール右隅を捉えたシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。8分にはまたもセットプレーを契機に相手をボックスの中に釘付けにするが、最後は井出遥也のシュートが枠のわずか左に外れた。9分に逆襲を食らってゴール前のアーリークロスをワンタッチで合わされるが、これはゴールわずか左に外れて事なきを得た。その直後、試合が動く。11分、一度は攻撃が噛み合わず相手にボールを奪われるが、高い位置で組織的にコースを消すと、藤田譲瑠チマがインターセプトしてカウンターを発動。スペースへ藤田がドリブルで持ち出すと、ゴール正面の位置に入ってきた小池へつける。小池は相手DFをひきつけ囮になってヒールでさらに後方にボールを流す。そこに飛び込んできた佐藤がゴール左に流し込んで、ヴェルディが先制に成功した。その後は、ホームチームの勢いに押し込まれる時間帯もあったが、30分を過ぎた頃からボールを保持して相手を丁寧に剥がしていくと、陣地を取り戻して相手のコートでボールを動かす時間が続く。ポスト、背後、ライン間のギャップ、レーン間のギャップを面白いように突いていき、連動して動くヴェルディの思うような展開で試合が進み、そして前半終了間際にビッグチャンスが訪れる。44分、ペナルティエリア右角でフリーキックのチャンスを得ると、キッカーの福村が鋭くゴールに向かうカーブでボールを蹴り込むと、マーカーの背後から入ってきた小池が頭で合わせて追加点を挙げて試合を折り返す。

 

さすがに後半の立ち上がりは、2点のリードを追うホームチームの勢いに押され、自陣ゴール前を固める時間が続く。ポストに直撃するシュートなどピンチも迎えるが、凌ぎ切った直後にチャンスが訪れる。57分、ペナルティエリア左角で井上がボールを受けると、タメを作ってクロスオーバーしてスペースへ飛び出す福村に預ける。ボールを追いながら一度ルックアップした福村はワンタッチでマイナス方向にグラウンダーのクロスを供給。ゴール前に入り過ぎずに足を止めて待っていた佐藤にピンポイントで届くと、ワンタッチでゴールに流し込んであっという間にリードを広げた。64分には端戸仁がポストワークでボールを収め、左サイドのスペースに井上を走らせると、ゴール前で数的同数のチャンスを作るが、井上のシュートはわずかにゴール上へ外れた。74分にはミスからカウンターを食らって1点を返されたものの、次々と交代カードを切って、守備を固めるのではなくボールを保持して攻め続けることで相手の反撃を抑えにかかる。88分には、阿野真拓を16歳でプロデビューさせると、どんどん仕掛けさせて相手を押し下げていく。終盤は陣形を間延びさせることなくコンパクトな態勢で相手の反撃を撥ね返し、3-1で5試合ぶりの勝利を挙げた。

 

綺麗な形でのゴール、自分たちが思い描くビルドアップ、ポゼッション、チャンスメイクを実現し、自分たちの戦い方に手応えを掴んだ勝利となった。試合を支配した先、勝ち切る勝負強さが求められてきたが、この日はゴールへの積極性を存分に発揮。崩しのイメージを全体が共有し、面白いようにバイタルエリアで相手を翻弄した。ただ、連戦はまだ序盤。中3日、中2日、中3日であと3試合が続く。まずはアウェイ連戦となる次節、水戸の地で魅せて勝つサッカーに磨きをかけたい。

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監督コメント

永井 秀樹 監督

試合を振り返ってください。
個人的には慣れ親しんだと言いますか、九州という場所。また、1年間ですがプレーさせていただいたアビスパ福岡というチーム。そして、我々よりも上の順位で非常に安定した良いサッカーをしているアビスパさんに対して、短い準備期間でしたが、しっかりと準備できた中、今日に関しては選手たちが本当にプラン通り、トレーニング通りにやってくれたことが、改めて素晴らしいと思いますし、今日の勝因だと感じています。そうは言いましても、我々はまだまだ成長しないといけませんし、彼らのポテンシャルを考えれば、これに満足することなく、さらにゲームをもっと高いレベルで試合をできるように、また明日から選手たちと努力していきたいと思っています。スコアもそうですし、前節の琉球戦で少し消化不良気味だったところで、そのストレスを今日の試合にすべてぶつけようというところで始まった試合でしたが、入りのところからすごく上手くやってくれたと思います。

先制点に繋がった藤田選手の縦への仕掛けを含め、全体的に個々で前に運んでいくプレーが印象的でしたが、そこは意識付けしたところでしょうか。
そこはかなり伝えて、特に我々は“45年組”と呼んでいますが、永井、藤吉、保坂という3人は、当時日本で一番ドリブルが好きな3人だったと思います。その3人が指導者としてやらせてもらっているチームにも関わらず、なんでここまでドリブルが少ないのか、という話のくだりから、なぜか選手たちは非常に真面目で、我々の要求に応えようとしてくれています。そういう中で形通りにやろうとするところで、ある意味ドリブルや自分の判断で仕掛けていく、型破りなところをかなり伝えました。選手たちは早速、今日の試合からスクエア・ゾーン、最後のフィニッシュ・ゾーンでも自分で仕掛けていく姿が見えました。そこは素晴らしいと感じています。

今日の試合で佐藤選手にゲームキャプテンを任せた意図を聞かせてください。
やっぱり、こういう(藤本)寛也が抜けて、今日は守備の要である高橋祥平もいないという中、前節の琉球戦では少し消化不良気味なところで、この試合はスタートから飛ばしていってほしいという気持ちもありました。そういう状況において一番先頭を切って引っ張って切り込んでくれるのが、(佐藤)優平なのではないかと思い、今日に関しては彼にキャプテンマークを託しました。その期待通りの仕事をしてくれたと思いますし、あらためて素晴らしい選手だと思います。

高橋選手の欠場に関してはケガなのか、別の判断なのか教えてください。
そこは色々です。とにかく、企業秘密です(笑)。

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選手コメント

MF9佐藤 優平

試合を振り返ってください。
前回の試合は(藤本)寛也のためで、今回の試合はちょっとコンディション不良でここに来られなかった(高橋)祥平のためというか、ここまでずっと貢献してくれた祥平のためにチームとして戦うことが大事でした。特に、祥平は連戦中にずっと出続けていた選手であり、前回はああいう形でPKを与えてしまいましたが、何も背負うことなく次に帰ってきてくれれば、チームとしてすごくパワーアップした試合ができると思うので、今日は勝ってそれができたことが一番良かったです。

対策を敷かれた中で相手のプレスをかいくぐる場面も多かったですが、上手くいった点を聞かせてください。
今回は祥平がいなかったこともあり、後ろを3枚ではなく2枚で回していましたが、4枚で回したり、変則的に3枚で回すところもあったので、相手は自分たちの右サイドのところを上手く捕まえ切れないという感覚がありました。そこは監督も試合前から言っていて、その通りになったので、そこがチームとして前への推進力に繋がりました。また、自分はパサーとしてエーコ君(小池)と奈良輪君が前にいるだけで、パスコースが2つあるので、そこもやっていて大きかったです。

先制点の場面を振り返ってください。
(藤田)ジョエルがボールを奪って、そこからの運び方は監督からも言われていた部分ですが、その運び方が非常に良く、エーコ君も常に走ることを求められていた中、ああいう良い走りをしてくれると、ディフェンスラインは崩れるので、自分がフリーになることができました。

2点目を振り返ってください。
逆サイドからの入り方という部分で常に監督が要求しているところなので、そこに入っていくことが重要という中であの時は自分がフリーになっていて、あそこに入っていきやすい状況でしたが、そこにフク(福村)が落ち着いてグラウンダーのボールをくれたので、非常に打ちやすかったです。

16歳でプロデビューの阿野選手にゲームキャプテンとして何か声をかけましたか?
何もかけていないです。暑くて自分自身が一杯一杯でした(笑)。 マヒ(阿野)に関してはずっとベンチに入っていたので、途中交代で入って来る感じもあると思っていたので、自分はデビュー戦だったという意識はあまりしていなかったです。意識すれば良かったですかね(笑)。 16歳の若さで素晴らしいことですし、色んな経験のある選手との競争に勝ってベンチに入っているので。ただ、もう少し意識してあげれば良かったです。自分のことに集中していました。

3-1になってからの展開で意識していた部分を聞かせてください。
あの失点によって少し難しくなった部分がありました。もう少し、3-0で勝っていてももうひとつギアを上げる必要があったのかなと思います。特に、サポートのスピードをもっと上げる必要がありました。そうすれば、もう少しテンポ良くボールが回ると思います。ポジショナルを意識し過ぎると、ポジションを取ることに気が行ってしまい、テンポが出る時と出ない時があるので、流れが悪い時こそもっと距離感を縮めてやっていく必要がありました。

課題のシュートへの意識という部分で徐々に改善は感じていますか?
この試合に限らず、ずっと言われ続けていることですが、シュートとラストパスは常にセットと言われています。ただ、みんながラストパスを意識し過ぎてシュートの大胆さを欠いているので、そこを言われてきました。なので、徐々にシュートをまず意識して、その後にラストパスという形に変化しつつあると思います。

キャプテンマークに対するこだわりを聞かせてください。
ないですね(笑)。 副キャプテンが7人ぐらいいるので、個人的には誰がやってもいいと思っています。キャプテンマークがどうこうというよりも、自分は常に試合に勝ちたいと思っています。去年は(渡辺)皓太、今年は寛也がいなくなったので、キャプテンは決めなくてもいいと思っています。ただ、正式に次のキャプテンは決まっていないので。基本的にゲームごとというか、寛也がいない時は監督からの指名でやっていましたし、ヨシトさん(大久保)が戻ってくれば、ヨシトさんがやると思います。

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MF19小池 純輝

試合を振り返ってください。
前節、不完全燃焼というか、良い形で試合を終えられなかったので、今節はその気持ちをぶつけようというところで、みんなでやってきました。前半に関しては、ほぼほぼ自分たちがやりたいことができたと思いますし、苦しい時間帯もありましたが、勝って終われたことは良かったです。

琉球戦に比べて良かった部分を聞かせてください。
相手のどの選手がボールを奪いに来ているとか、そこを誰が走っていくのかなど、全体的に整理できていた感覚です。上手く相手を見ながらプレーできたと思います。前節は個人的に最後のロスタイムしか出ていなかったですが、今日の前半に関してはそういうふうに感じていました。

得点場面を振り返ってください。
フリーキックの流れでしたが、恐らく今年でプロ15年目ですが、初めてセットプレーからヘディングでゴールを決められました。日ごろから良いボールを蹴ってくれているので、そこにうまくタイミングが合った感じです。ヘディングでのゴール自体ほぼないですし、今まで3点ぐらいあったと思いますが、今日ここで出て良かったです。

目の腫れはどのタイミングでしたか?
最初の方でヘディングの接触があった時ですね。だんだんと腫れてきました。ゴールの場面では先に目にぶつかっていたぶん、逆に良い形でヘディングを合わせることができたのかなと思います(笑)。

先制点のアシスト場面を振り返ってください。佐藤選手に対してオトリとなる動きを意識しているようにも見えましたが。
あそこの間のスペースに入っていく意識は持っていましたし、トレーニングから3対2の局面でのトレーニングもやっていたので、佐藤選手が走ってきていることを感じながら、あそこに走って行き、ボールによってはあのまま自分で打ちにいくことも考えていましたが、ディフェンスが寄せて来ていたので、フリックという選択をしました。

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DF16福村 貴幸

試合を振り返ってください。
1点目のところはジョエル(藤田)がボールを奪って前の(小池)純輝君のところに付けて、純輝君の素晴らしい落としから点が入りました。そこで結構、自分たちとしても早い時間帯の得点だったので、ラクになった部分はありました。

個人として守備から攻撃への切り替えが非常に効いていた印象でしたが。
自分の中での目標は90分間、試合に関わっていくことですが、まだまだ走り切れていないところやもっとやらなければいけない部分があります。勝てたことは良かったですが、これに納得せずにやっていきたいです。

チーム2点目のアシストは最高のプレースキックでしたね。
狙い通りでした。変に力まずにボールだけを見て、足の角度とボールを蹴る位置を合わせて、蹴るところは決まっていたので、ボールだけ見て蹴ったら良いところに飛んで、直接入るかなという感じもありました。結局、純輝君が触りましたが、他にも触れそうな選手もいましたし、中に入っていった選手たちが信じて入ってくれたことが肝になったと思います。試合で結果が出るのが一番嬉しいです。

チーム3点目のアシストも振り返ってください。
最低限、味方に合わせることを意識してやっています。自分が味方にボールをしっかりと合わせないと点は入りませんし、合わせた人が決めてくれるのでアシストになります。できるだけ最低限のことをやろうとした中、合ってくれて良かったです。

後半には密集地帯での相手のプレッシャーをかいくぐる真骨頂のパスワークもありました。
他にも巧い選手がいますし、あそこで繋ぐことは僕らがボールを大事にすることに繋がるので、相手を見ながら上手くやれました。

中3日で戦う水戸ホーリーホック戦では良い流れを継続していきたいところですね。
誰が出ても同じパフォーマンスができるようにしていかなければダメですし、今日は5人交代を行える中で、途中から出た選手もしっかりとチームのためにやってくれました。出た選手は与えられた役割をしっかりとこなして、中3日ですが全員で力を合わせて戦っていきたいです。

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MF30阿野 真拓

Jリーグデビューを振り返ってください。
楽しかったです。楽しかったですが、ちょっと悔しかったです。

交代の指示があったときの心境を聞かせてください。
準備はしていたので、頑張ろうという気持ちでした。

ボールタッチの場面もあった中、自分の持ち味は出せましたか。
永井さんからは『ボールを持ったら全部仕掛けろ』と言われていたので、全部仕掛けようと思っていました。最初にいきなりボールを取られてしまいましたが、ビビッてドリブルしないよりかは良かったと思います。

プロとして良いスタートを切れましたね。
はい。次も頑張ります。

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