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MATCH試合情報

第98回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦 - 東京ヴェルディ vs カターレ富山

マッチレポート

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【試合展開】

リーグ戦でここ6試合勝利から遠ざかっているヴェルディ。前節、横浜FCとの敵地での一戦は、アディショナルタイムに李栄直が決めたゴールで劇的に追いついた。調子を上向けるきっかけを作り、中2日で迎えたのは天皇杯の初戦。別の大会とはいえ、プロチームと対戦する一戦で上昇の機運をつかみたい一戦となった。週半ばの連戦となるため、チームはメンバー構成を大きく変えた。GKに柴崎貴広を配置し、最終ラインは若狭大志、今季公式戦出場の永田充、平智広で構成した。橋本英郎と李のダブルボランチに、サイドMFには右に林昇吾、左に澤井直人と逆足の選手を起用。右ウイングにカルロス、左ウイングに高井和馬を据えて、中央に林陵平を置いた。

メンバーを大幅に入れ替えた影響からか、試合開始からしばらくはチームメイト同士が様子を見ながら試合を進めるような展開。マイボールになった後のビルドアップの形が慎重なところを突かれて、カウンターからバイタルエリアへの侵入を許し、6分にはゴール目前まで迫られる。シュートはわずかにゴール上へと逸れたが、いきなり下部カテゴリーの相手に主導権を握られてしまう。ともにボールが落ち着かない中、先手を取ったのはヴェルディだった。16分、林昇がスペースへ流したボールに若狭が飛び込み、ゴール前へ低いクロスを入れる。ニアで李が触ってコースが変わったボールを林陵が飛び込んで押し込み、サイドアタックからゴールをこじ開けた。これを契機に一気に相手を押し込むと、20分、左サイドで得たフリーキックから橋本がファーサイドへとクロスを入れる。相手守備陣がお見合いをしてすり抜けたボールに李が反応してゴールに流し込み、あっさりと追加点を奪った。しかし、ここから流れは相手へと流れていく。きっかけを作ったのは自分たちだった。流動性を意識するあまりプレーエリアを離れる選手が多く、中央のパスコースを潰し切れずにゴールへと迫られる。柴崎の好セーブなどで瀬戸際で耐えてきたが、36分にマイボールを奪われて逆襲を食らい、速攻を止められずに豪快なシュートでネットを揺らされる。ここで、リーグ戦でも見受けられる失点直後に崩れる悪癖が顔を出した。前半終了間際の45+1分、右からのコーナーキックでニアに選手を密集させられると、そのゴールニアに絶妙なボールを入れられ、頭でコースを変えられてゴールに流し込まれる。幸先良くリードを奪いながら、追いつかれて試合を折り返した。

選手がポジションを離れる展開を修正するため、システムを変えて今一度自分たちのプレーモデルを整理して臨んだ後半は、前半とは一転してヴェルディが試合の主導権を奪い返す。選手が絶妙な距離を保ってボールが動き始めると、チーム全体を押し上げながら相手陣内で試合を進めていく。途中投入された森俊介、菅嶋弘希がボールを触りながらサイドを起点にバイタルエリアに侵入する回数を増やしていく。しかし、フィニッシュにつなげるプレーの精度を欠き、ゴール目前に迫りながらネットを揺らすには至らない。試合終盤に入ってもなかなかギアが上がらず、慎重にボールを動かす場面が続き、そのままアディショナルタイムに突入する。提示されたアディショナルタイムの3分も過ぎて、いつ延長に突入してもおかしくない時間帯。ラストワンプレーで試合を動かした。菅嶋と林昇が粘ってボールをつなぎ、林昇が相手のプレッシャーを外して鋭いクロスボールをゴール前に供給。そこに李が飛び込んで追いすがるマーカーを振り切り、ワンタッチボレーで合わせて豪快にネットを揺らした。

2試合連続の劇的なアディショナルタイムのゴール。その両方をマークした殊勲者は、「俺たちはまだ終わってない!ここからガンガン行くぞ!」と、チーム、そしてスタンドで支える仲間たちを鼓舞した男だった。大人しいチームに一味違ったアクセントを加える李のポジティブな姿勢。それが結果につながり、チームは上向きになる雰囲気を内側から生み出しつつある。もちろん、下部カテゴリーの相手に主導権を握られて2失点を喫したことは、分析して早急に改善しなければいけない。しかし、決して理屈では説明できない要素でゴールが生まれたことは、戦術や戦略に支えられたチームにとって大きな収穫だ。プロサッカーチームなのに気持ちが大事だなんて…と侮ることなかれ。立派な戦術も戦略も、熱く戦う気持ちがなければ生かすことができない。この勝利をきっかけに、その好循環に入っていきたい。

監督コメント

ミゲル アンヘル ロティーナ 監督

試合を振り返ってください。
ファーストハーフは富山がすごく良いサッカーをしていたと思います。チャンスも作っていましたし、我々のズレを彼らは突いてきました。そういう前半でした。良いサッカーができていない中で我々は2点を決めました。1点目はショウゴとワカの素晴らしいプレーから、2点目はセットプレーから点が入りました。そこからはより拮抗した試合になったと思います。我々は落ち着いてプレーすることができましたが、拮抗した展開の中で相手は2点を決めてハーフタイムに入るまでに2-2となりました。後半はよりボールを持って我々がゲームを支配することができました。相手は疲れていたのか、カウンターが唯一の攻撃の形だったと思います。ただ、カウンターの鋭さに関しても疲れからか、失われたように見えました。その後、ヨンジがゴールを決めて延長戦を免れることができました。延長戦に入ってあと30分間を戦うよりも良かったと思います。今日は全体的に満足しています。というのは出場時間の少ない選手がプレーできましたし、彼らのプレーを見ることができました。

後半に4-3-3にシステム変更した狙いを聞かせてください。
今回のシステムチェンジは攻撃面、守備面で改善したい部分があったので行いました。前半は相手がとても良いプレーをし、我々自身にも問題があったのでチェンジしたい意図でした。特に、守備面での問題が大きかったと思います。ひとつはプレス、システムとは関係ありませんが、組織が崩れていた。組織として動けていない部分がありました。それをシステム変更によって整理することが狙いでした。守備でも攻撃でも組織が崩れていて、特に守備面では組織だった守備をすることはゲームを運ぶうえで私にとってはカギになる部分なので修正しました。

組織が崩れたという部分が相手のプレスにハマってしまった原因でしょうか?
より守備のところで組織が崩れていました。プレスに行くべきではないところで行ってしまったり、逆に行かなければならない場面で行かない、というように組織の崩れがありました。

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選手コメント

DF 17李 栄直

自身の1点目を振り返ってください。
あれは僕が最後触ってキーパーに当たってから入りました。(橋本選手のゴールという会場のアナウンスを聞いて)俺、俺とアピールしました(笑)

決勝点の場面を振り返ってください。
ショウゴのボールはリーグ戦の時から結構良い感じで入ってきていて、やっぱり左利きの選手のクロスというのは信じて入りやすいというか、ショウゴの特徴は普段の練習から分かっていました。クロスに入っていく中で相手がボールウォッチャーになっていたので、その瞬間にリョウヘイさんがニアに入ってくれましたが、ボールの軌道的に被ると思ったので、最後は自分が当てるだけでした。ただ、本当にボールが良かったです。

公式戦2試合連続で最後の最後に劇的なゴールを決めていますが。
本当はもっと早い時間帯に決められればチームも楽なので、そこは課題だと思います。ただ、皆にまだまだ一緒に戦ってほしいと発信しているので、個人的には結果を残さないといけない気持ちは強かったです。今日みたいな試合は他会場の結果を見ても難しい状況だったと思います。その中でこういう普段出られていない選手と団結して勝つことができたのは大きかったと思います。ただ、あのゴールは良かったのですが、その前のプレーに関してはハーフタイムにかなり言われてしまったので、そこの方が自分の中では消化していかないとダメですね。点を取ることと同時にその前のプレーも大事にしているので、そこは自分の中で落とし込む必要があります。

リーグ戦から大幅にメンバーが入れ替わりましたが、失点後の反応などメンタル面で引きずる場面が出た印象ですが。
それは今のチームの流れという部分もあります。ただ、個人的には少し楽観的に捉えている部分もあります。1失点目は自分が止められなかったこと。2失点目はセットプレーからのもので、セットプレーに関してカテゴリーは関係ないと監督も言っていたので、そこは割り切りも必要かもしれません。攻撃の部分では個の質の差は少しあると思っていたので、最終的に自分たちがゴールを取れれば、というふうに考えていました。

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FW 11林 陵平

ゴールシーンを振り返ってください。
あそこはあの場所にボールが来るという嗅覚でした。とにかく、感覚であそこに入って合わせた感じです。仮に、あそこで感じて動いていなかったら点は取れていなかったと思います。あの場面ではあのポジションにいたことがすごく大事で、あそこにいたという時点で勝負ありだったと思います。

2点目もセットプレーからすぐに取れましたが。
あそこで自分はニアにいましたが、ファーでヨンジが合わせましたが、一瞬入ったのかなという感じでした。審判もちゃんと入ったのか確認していました。あそこまでは良かったですが、その後の戦い方が問題でした。

2-0からの戦い方に関して聞かせてください。
やっぱり、前半2-0からああいう展開はまずいです。今日はシュート3本で3点ということをあとで知りましたが、ああいうふうに決めるべきところで決めて、その後は2-0の状況をキープする試合巧者の戦いが必要です。前半のうちに2-2に追いつかれるような戦い方ではダメだと思います。

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DF 19永田 充

試合を振り返ってください。
結果に関してはとりあえず勝ち上がることができて良かったというところです。内容に関しては僕を含めて普段あまり出ていない選手が多かったので連係の部分はある程度仕方ないという感覚です。ただ、戦う姿勢に関してはまだまだ足りないです。2-0でリードした中、ああいう展開になるというのは中の人間でどうにかできるものですし、僕やハシさんがいる中でメンタル面のところになりますが、少しふわふわしてしまうところもあり、そこは締めないとダメでした。後半に関してはカジが入ったあたりからボールも人も動くようになりましたし、そこからは問題なくやれていたと思います。

前半に関しては攻守に組織的にプレーするという部分で苦労していた印象でしたが。
イージーミスも絡みましたし、後ろの3枚で回している時に相手の前線の3枚にがっちりとハメられてしまった感覚がありました。そこは自分たちで4枚で回すなど、解決策はあったと思います。それを瞬時に判断できなかった点が痛かったです。

前半途中から橋本選手が下りてきたのは自分たちの判断でしたか?
もちろん、ベンチからの指示もありましたが、そちらの方がやり易いと思いました。後半は平と僕の距離感、ハシさんとの距離よりも平と僕との距離の方が良かったので、そこで相手を走らせるような回し方もできました。ああいうのを前半からやりたかったです。

個人として今季初の公式戦を戦った感触はいかがですか?
試合はやっぱり楽しいですし、これからどんどん絡んでいきたいという思いもあります。ただ、今日は2失点してしまったので反省すべき点はあります。練習からしっかりとやっていきたいです。

リーグ戦から大幅にメンバーが入れ替わりましたが、失点後の反応などメンタル面で引きずる場面が出た印象ですが。
リーグでもそういう感じはあります。ただ、外からどうこういうよりもピッチの中にいる人間が個々で気づいてやるべきことだと思います。中にいる選手が誰でもいいですが軸になって意見を声に出して行くことが大事です。

ここまでのチームの戦いぶりをどのように捉えていますか?
序盤に負けなかったことは良かったですが、ただ勝っていたわけでもなかったですね。そこで内容がどうだったかというと、堅く行った試合で失点が増えたりしていました。やっぱり、堅く戦った中で失点してしまうと、何もないという状況になってしまいます。そこはみんなでもっと前向きに戦うとか、守る時はきっちり守るというようにメリハリを出していきたいです。

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MF 29森 俊介

投入時にどんな指示を受けましたか?
自分が仕掛ける位置は前なので、そこではしっかりと仕掛けてそれ以外ではボールを奪われないようにするように言われました。

ヴェルディデビュー戦の感触を聞かせてください。
本当に久々の公式戦だったので、身体的に練習とは全然違うことを実感しましたし、自分がやろうと思っていたプレーは少ししか出せず、そこはまだまだだと感じました。

立ち上がりはボールが足に付かない場面もありましたが。
雨のピッチだったので慣れるまで時間がかかりました。

試合終盤は仕掛ける場面も増えましたが。
ベンチからも開いて仕掛けるように言われていたので、自分の得意な形までは持って行けたと思います。

比較的縦に仕掛けていく場面が多かった印象です。
もっと中に行っても良かったのですが、そこは状況次第という感じでした。

お互いの呼吸が合わない場面が目立ちました。
試合をしないとそういうコミュニケーションも取れないと思うので、そこは試合を重ねていく必要があります。

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