MATCH試合情報
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【試合展開】
シーズン最終節で直接対決の末徳島に勝利し、年間5位でリーグ戦を終えたヴェルディ。ホーム最終戦でクラブ初となるプレーオフに進出する権利を得た。自分たち次第でJ1昇格が見えてくる大会を控え、チームはいつも通りの準備をして、平常心でこの大会に臨んだ。メンバー構成は前節から若干の変更があった。体調不良で徳島戦を回避した渡辺皓太が戻り、出場停止明けの井林章がセンターバックに入った。
勝つしかない状況は、決してヴェルディの選手たちにとってはプレッシャーではなかったが、序盤の攻防で徐々に相手にペースを握られると、自陣ゴール前で守る時間帯が続く。10分にはゴール前に2度迫られるも、ともに守備陣の必死のブロックで瀬戸際で防ぐ。押し込まれた状況の中で、後方からのビルドアップにミスが起きてピンチを招く。11分には畠中槙之輔が横パスをウェリントンに奪われフリーでゴールに向かわれる。ウェリントンが狙ったシュートは柴崎貴広が好セーブで弾き出した。しかし、その後も深い位置で相手の攻撃を受け、さらに反撃に出るところでミスからボールを奪われるシーンが続くと、リズムに乗れないところで相手に勢いを与えた。14分、パスカットされたボールをつながれ、山瀬に豪快なミドルシュートをゴール右隅に叩き込まれ、早い時間帯で先制を許した。その後、反撃に出たいヴェルディだが、前線でボールが収まらずに後方からの押し上げもままならず、左サイドで安西幸輝が孤軍奮闘するも、厚みのある攻撃にはつなげられずにチャンスが作れない。守備陣は徐々に落ち着きを取り戻し、ウェリントンを封じて反撃の下準備を整えたが、攻撃にもどかしさを残したまま前半を折り返した。
決勝進出のために少なくとも2点が必要なヴェルディは、後半に入ってボールを保持。引き分けでも十分な相手が引いて守る姿勢をとったため、ポゼッションを握って試合を進めていく。54分には早くも交代カードを切る。渡辺とアランを下げて、高木善朗とカルロスを投入して攻撃の活性化を図った。ただし、交代後もボールは持つもののゴールを導くアイデアはなかなか出ず、サイドから再三再四クロスをゴール前に入れたが、割り切ってペナルティエリア内を固める相手を前に撥ね返され続けた。75分には安在和樹に代えて高木大輔を投入し、前線での圧力を強化するも、リーグ戦最少失点の相手が完全にリトリートした状態で穴を見つけることができず。7割近いボールポゼッションをしながらも、最後まで反撃の有効策を見いだせないままタイムアップを迎えた。
多くの選手にとって初めてとなるプレーオフの舞台は、あまりに苦しく、悔しい結果に終わった。プレーオフ進出の歓喜からプレーオフ敗退の悲劇までわずかに1週間。この悲喜こもごもの経験をどう生かすのか。単なる過去の経験に終わらせずに、来シーズンを戦うチームにとって糧になるように、また2018年のチームの始動から、いや今シーズンの残されたトレーニングから、この濃厚な1週間のことを胸に刻み込んで取り組みたい。
【試合後選手コメント:MF 17 内田達也選手】
――前半から継続して同じ戦い方を貫きましたが。
「あの展開の中でどこかで1点を取っていくしかないと思っていたので、やり方を大きく変えず、やり続けるだけでした」
――惜しいミドルシュートもありましたが。
「シュートがなかったから狙ったという意識はなかったですが、あそこは単に打ちやすかったです」
――試合後にサポーターから多くの声援を受け取っていましたが。
「これまで個人的にここまで応援していただいたことはなかったですし、すごくサポーターのために上がりたいという気持ちでしたし、そういう気持ちで戦った今年の1年間だったので、今は申し訳ない気持ちでいっぱいです」
――この悔しさを次のシーズンにどのように繋げていきたいですか?
「個人的には今年1年やってきた中で、今日のアビスパよりも自分たちの伸びしろが大きいと思っています。もちろん、アビスパには頑張ってJ1に行ってほしいと思っていますが、ヴェルディはもっともっと成長していけると思います。今年どれだけやれるのかという中でスタートしましたが、最終的に5位に入れました。今の段階でいえば、ヴェルディの来年の目標は自動昇格だと思うので、そういうところでやっていけるだけのチームだと思います。今日、全員が悔しい思いをし、今年初めてチームとしてプレーオフに行き、そういう思いをしてこなかった選手たちがこういう悔しさも味わったので、今から今後が楽しみです」
【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】
――投入後は攻撃にアクセントを付けようと奮闘していましたが。
「簡単に跳ね返される場面が多かったので、あえて低いボールを入れたり、ワンバウンドのボールも入れましたが、結果に繋がらず残念でした」
――終盤は割り切ったパワープレーに出ましたが。
「パワープレーになった時にこぼれ球に反応するという考えが自分の中にありました。僕自身、パワープレーでキッカーに回るのか、こぼれ球を詰めに回るのか、少し葛藤がありました。シーズンを通じてそこまでパワープレーをやっていなかったので、もう少し中から崩した方が良かった半面、福岡が堅かったと思います。彼らは日頃からウェリントンと練習の中でやっているので、そういったプレーに対して慣れているというか、強かったです。もうちょっと、工夫したボールが必要だったと思います」
【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】
――試合を振り返ってください。
「試合内容を考えれば、相手が突破に相応しかったのかなと思います。改めて良いチームだと感じました」
――相手の5-4-1の布陣への対策はいかがでしたか?
「前半は何度か1対1を作れる場面がありましたが、後半はずっと2対1の状況を作られてしまい、自分がケアされている感覚はありました。それでも、突破して良いクロスを上げられないと、もっと上にはいけないと思いました。相手は中を固めて全員で集中して守っていましたし、ああいうチームは強いですね」
――高木善朗選手の投入以降、攻撃にリズムが出ていましたが。
「間でボールを受けてくれて、僕自身良い形でボールをもらうことができていました。ただ、そこでもっと精度の高いボールを入れられれば、もっとチームとして効果的だったと思います。それが今の僕の実力なので、実力を上げていかないと上では通用しないので、これからもっと練習していきたいです」
――相手の空中戦の強さもあり、ピンポイントのクロスを入れない限り攻略は難しい状況でしたね。
「本当にピンポイントで入れないと決まらないというのが、上のレベルなので、今日は何本か合いましたが、もっと良いボールを入れないとダメです。今日は自分の理想的なボールを入れられなかったので、悔しいです」
――試合の入りに関してはいかがでしたか?
「浮足立っている人もいたし、もっと全員が経験を積んでいくべきですね。最初にああやって相手に食われてしまい、すぐ失点してしまったのは本当にもったいないです。どうやって盛り返すか考えている中、相手が守りに入って攻略は難しかったです。1人、2人剥がしてどうかというところで、あの時間帯の失点はもったいなかったです」
――相手の3バックに対して、ドウグラス選手とアラン選手がかなり苦戦を強いられましたが。
「相手の冨安選手がすごく良い選手だったので、そこで抑え込まれた時に僕やサイドの選手がもっと仕掛けてマークを剥がして良いクロスを入れられれば、ドゥももっと生きたと思います。試合を通して悔しい気持ちもありますが、相手の方が強かったと思います」
――今シーズンは個人的に多くのポジションでプレーし、飛躍の1年になりましたね。
「本当に色んなポジションをやらせてもらい、色んな景色があることを実感しました。その中で自分の良さを出して行くという部分で、すごく良いシーズンになったと思います。ただ、ここで満足してしまうと上には行けないので、もっと数字にこだわってやっていきたいです」
――J1昇格に向けて足りなかった部分について聞かせてください。
「もっと戦っていかないとダメですし、もっとギリギリの状況で気持ちがブレずに我慢の時間帯でもっと辛抱強くやらないとダメです。それを個人が深く理解していかないとダメですね。若いとかは言い訳になりませんし、今日に関しては相手の方がそういう部分を感じました」
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】
――試合を振り返ってください。
「点を獲れなかったですね」
――相手の5-4-1の布陣への対策はいかがでしたか?
「3バックと4バックのどちらで来るかはメンバーと試合が始まってから見る感じでしたが、どちらにも対応でできるようにしていました」
――前半の内容を受けて、ハーフタイムにどの部分を一番修正しようとしていましたか?
「点を獲るしかなかったので、より前からボールを奪いに行くことを意識し、攻める方向に関してもより縦を意識して攻めるようにということを共有しました」
――前半は特にクロスや前線へのボールがうまく通らなかったですが。
「こちらの精度が低かったこともありますが、相手は個がそれなりに強く、そこで自分たちが上回れなかったことが大きいです。前線が抑えられたこともそうですが、前半はビルドアップの場面でのバタバタ感がかなりあったので、そこを早く落ち着かせられなかったです。ビルドップに関しては相手が点を獲った後、あまり来なかった中で回すことはできましたが、あまり恐い位置を突けなかったですね。前回対戦の方がチャンスの数やカウンターがハマることも多かったのですが、今日はマンツーマン気味にうまく潰されてしまったり、あんまり良い距離感でやれなかったです」
――高木善朗選手たちの投入後はリズムも出てきていましたが。
「ゴールの近くまで行けていましたが、チャンスらしいチャンスを作り出せず、そこは福岡のディフェンスの方が集中して上回っていたと思います。相手は隙を与えてくれず、キーパーが一度ミスしたぐらいだったと思います。本当にミスの少ない相手に対しては、そういうチャンスで決め切るか、セットプレーで決め切ることが大事でした。とにかく難しかったです」
――初のプレーオフでしたが、チーム全体のメンタル面はいかがでしたか?
「個人的にはいつも通り落ち着いて臨めました。ただ、試合を振り返ると、失点するまでのバタつき具合をみると、あんまりうまく入れなかったです。そこで耐えられれば違ったと思いますが、そこで仕留められる福岡の力強さといった違いは感じました」
――J1昇格に向けて足りなかった部分について聞かせてください。
「上位と言われるチームに対して、勝てる試合が少なかったと思います」
――個人的に今シーズンを振り返ってください。
「個人的には成長できたシーズンだったと感じています。去年よりは自分でも伸びたと実感できるシーズンでした。守備の面が特に成長させてもらえたと思います」
【試合後選手コメント:MF 38 梶川諒太選手】
――試合を振り返ってください。
「失点が早かったのと、福岡の守備はやっぱり堅いなと思いました。チャンスを窺いながらやりましたが、最後までこじ開けられなかったです」
――ミスのない相手に対しては、より崩しの局面で精度を突き詰めたいところでしたが。
「ただ、クロスに行くまでの過程は悪くなかったですし、中で合うかは難しいところですが、今日は合わなかったです。とはいえ、すべての精度が悪かったとは思っていません。ただ、こういう展開に福岡は本当に強いです」
――こちらのインサイドハーフに対して、相手のマンマーク気味の守備がかなり徹底されていましたが。
「マンツーで来ているぶん、そこを一つ飛ばしてできれば、もっとチャンスも広がったと思いますが、近いところでテンポが上がらなかった部分もあるので、そこは一つ飛ばすとか、個人の判断を含めて改善していきたいです」
――初のプレーオフでしたが、チーム全体のメンタル面はいかがでしたか?
「相手のアグレッシブなプレスに対して、少し受けてしまった部分はありますが、これまでの試合でもそこからうまく持ち直していた部分もありました。ただ、今日はそれが失点に繋がってしまったことがもったいなかったです。そこからでも慌てずある程度やれたことは成長だと思います」
――前回対戦と異なる相手の5-4-1に対して攻撃の部分で意識した点はどこでしょうか?
「ウッチーのところが結構空いていたので、前を向いてから僕や皓太が受けるという形やサイドで幸輝がほとんど1対1に勝てていたので、早めに預けることで勝機があるかなと思います」
――初のプレーオフでしたが、チーム全体のメンタル面はいかがでしたか?
「上に上がるチームは失点が少ないと思います。すごく得点したチームが自分たちの下にもいますが、J2を勝ち抜くうえでは失点の少なさが重要だと思います。僕たちのやり方は変わらず、シーズンを経るごとに整理された印象もありますし、特に夏場以降は大崩れしなかったので、シーズンを通じての練習から毎週のように成長している実感があります。自分たちと彼らの間にどれだけの差があるか分かりませんが、正直に悔しいです」
――ヴェルディ復帰1年目で異なるアプローチの監督の下でプレーしましたが、この1年を振り返ってください。
「本当に初めての外国人監督ということで、考え方や細かい部分で自分として成長できる1年でした。そういう意味で何一つ悔いはないですし、もっと成長していきたいと思いますし、結果さえ付いてくれば、本当に良い1年になりました」
――経験を積んでの復帰になりましたが、役割に変化はありましたか?
「声をかける必要があると感じていますし、長崎時代も上の人が鼓舞しながらやっているのを見てきたので、そういう選手たちがJ1に行ったとも感じているので、もっとそういう役割を担っていきたいです」
【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「まず初めに東京ヴェルディの選手たちを祝福したいです。選手たちはシーズンを通じてとても素晴らしい仕事をしてくれました。試合後に泣いている選手や下を向いている選手たちも居ましたが、シーズンを通して考えれば、顔を上げるべきだと思います。決勝戦に進出した福岡のことも祝福したいです。同じように今日のような難しいゲームを裁いたレフェリーは素晴らしい仕事をしたと思いますし、彼らも祝福したいです。試合については彼らのゴールによって試合の方向が決定付けられたと思います。ヴェルディのスタートは決して悪くなかったですが、彼らのゴールが決まった後は、彼らが引き分けでもいい状況だったので、より自信を持ってプレーしていたと思います。彼らはリトリートした状態でとても良い守備をするチームで、チャンスを相手に与えないチームであることも分かっていました。ゲームを支配して彼らの陣内でプレーできましたが、チャンスを多く作り出すことはできませんでした」
――相手のリトリートした際の堅い守備の攻略法に関してどのように考えていましたか?
「ライン間にボールを入れたり、サイドで1対1の状況を作る。たくさんの攻撃のオプションを考えていました。ただ、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるものです。彼らの長所に関して先ほども話しましたが、0-0で試合終盤までいけば、よりナーバスになっていたと思います。ただ、1-0になったことでより自信を持ってプレーできていました。彼らは引き分けでも進むことができるので、そういう印象を受けました」
――J1昇格に向けて足りなかった部分に関して聞かせてください。
「すべての面で向上しなければならないと思っています。自分たちの来年に向けたアドバンテージに関しては、自分たちが求めているもの、プレーを選手たちがすでに理解していること。それは大きなアドバンテージになります。それと同時に来年はより強いプレッシャーの中でプレーすることになります。去年を18位で終えたため、今年はプレッシャーを感じずにプレーできていましたが、今シーズンはプレーオフに進出したことで、来シーズンはより強い要求、プレッシャーの中でプレーすることになると思います。若い選手が多いので、個人個人が成長していくことがチームを強くすると思っています」