MATCH試合情報
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【試合展開】
今シーズンもリーグ戦は残り2節となった。プレーオフ圏内の争いが激化する中、ヴェルディは前節、21位のレノファ山口FCにまさかの逆転負けを喫してプレーオフ圏外の7位に後退した。ただし、最終節で同勝ち点の徳島ヴォルティスとの直接対決を控えているため、残る2試合で連勝すれば自分たちでプレーオフ圏内を決められる状況。プレッシャーがかかる条件だが、選手たちは『勝てばいいだけ』というシンプルな発想を持ち、自分たちのサッカーを展開できるように準備をしてきた。乗り込むのは京都の地。前半戦、ホーム味スタで逆転負けを喫した雪辱戦となった。
スタメンは山口戦から若干の変更を加えた。右サイドバックに安在和樹を入れ、左サイドバックには怪我から復帰した平智広を起用。前線の右ウイングにはカルロスを、左ウイングには安西幸輝を配置した。
キックオフ前から強風が吹き始め、試合開始時にはホーム側ゴール裏からビジター側ゴール裏へ強い風が吹き抜ける環境の中、ヴェルディは風下に陣を敷いて臨んだ。試合後に指揮官や選手たちが口にしたように、荒れたピッチコンディションとこの強風がチームを苦しめた。足元の技術をベースに中距離のパスをつなぎながら打開していくのがヴェルディの攻撃のテンポの作り方だが、この日は芝に足をとられてボールコントロールが慎重になり
自然とタッチ数が増えてテンポの良いパスワークがつながらない。長めのボールを入れて押し込んでくる相手に対して、自陣に押し込まれる時間が続いた。7分にはコーナーキックからゴール正面でフリーでヘディングシュートを打たれ、クロスバーを直撃するピンチを迎えた。崩される場面はなかったものの、バイタルエリアで人が入り乱れてプレーが曖昧になり、クリアが中途半端でセカンドボールをことごとく相手に拾われた。耐える時間が続く中で逆襲のチャンスが19分に訪れる。自陣で相手ボールを奪った井林章が前線のドウグラスにつける。これをワンタッチで落とすと、フォローに入っていたカルロスが荒れたピッチを計算した絶妙な球足のスルーパスを通す。反転したドウグラスがフリーの状態でスペースへ飛び出すが、相手DFの寄せもあってシュートまで時間がかかり、相手GKにブロックされた。25分にもサイドを起点に押し込んであと一歩でゴールという場面を作った。その後は自陣で相手にボールを動かされる時間が続くが、守備陣は焦れずにブロックを形成し、流れの中では決定的な場面は作らせなかった。前半終了間際には、左サイドでボールを受けた安西が切り返して右足で低いクロスを入れると、ファーサイドに飛び込んでいた渡辺皓太がフリーでダイビングヘッドを放つが、枠を捉えられなかった。
風、ピッチ、そうした環境面も考慮して、攻守両面でポイントを整理して臨んだ後半。ヴェルディは、自分たちが思い描く試合の支配を徐々に進めていった。ショートパスに固執せずに、スペースにボールを入れて相手を背走させ、ピッチを広く使って押し込んでいく。55分にはコンビネーションでバイタルを攻略した後にドウグラスがペナルティエリア際で倒されてフリーキックを得る。絶好機でコースを突いた梶川諒太のシュートは、相手GKが呼んでシュートストップ。その後はボールを持つものの、なかなか攻め切れない時間帯が続く。ここで指揮官の采配が試合を動かす。65分にカルロスに代えてアランを投入。直後には風上という状況を生かして、コーナーキックから3回立て続けにチャンスを作る。インスイングでゴールに向かう梶川のキックから、ファーサイドへの直接シュート、ニアで井林のヘディング、ゴール正面と勢いを持ってゴールを強襲した。どれも相手GKの好守に阻まれたが、3回目のコーナーキックの流れが試合を動かす。クリアされたセカンドボールを回収すると、内田達也が一度柴崎貴広まで戻す。相手がラインを押し上げてボールにプレッシャーをかけにいくが、柴崎は冷静に前線の動きを見極め、相手最終ラインの中央にギャップが生まれたところに低い弾道でロングボールを入れる。アランが2列目の位置からオフサイドトラップの網をくぐり抜けてスペースへ飛び出すと、飛び出してきた相手GKとの1対1を迎える。アランがタイミングよくループシュートで頭上を抜き、ボールはゴールへと転がり込んだ。
待望の先制点の後は、守備の比重が大きくなったが、時折鋭いカウンターを繰り出してチャンスを作った。71分には右サイドから崩してバイタルエリア中央にボールを運び、ファーサイドでフリーになっていた安西がゴール前に抜け出す決定機。しかし、左足のシュートは枠を捉え切れなかった。失点後に闘莉王を投入した相手はパワープレーで押し込んでくるが、守備陣は根気強く対応して身体を張ってゴールを死守。アランの虎の子の1点を守りきり、1-0でタイムアップを迎えた。
他会場の結果により、再び6位に浮上したヴェルディ。次節は同勝ち点で5位の徳島との直接対決。勝てば文句なしでプレーオフ出場が決まる。一戦必勝の積み重ねは、大きな山場を迎える。2015シーズン以来となる最終節でのプレーオフ争い。しびれる状況で迎える一戦だが、ひるむ必要はまったくない。ホーム味スタで戦えることが、どれほど心強いか。
緑のハートを持つ仲間たちの声が、振られるフラッグが、掲げられるマフラーが、
ピッチで戦う男たちの力になる。
味スタを緑に染めて、一緒に約束の地へ駆け上がろう。
イクゾJ1。
【試合後選手コメント:GK 1 柴崎貴広選手】
――1アシストにクリーンシートと個人的に素晴らしい試合になりましたね。
「まずは失点しなかったことが嬉しかったです。アシストはオマケみたいなものですが、一応狙っていたので良かったと思います」
――アシスト場面を振り返ってください。
「蹴る寸前まで違うところに蹴ろうと思っていました。あまり中央に蹴りたくなかったので、クロスで左サイドに蹴ろうと思っていました。ただ、蹴る寸前にアランの動き出しが見えて、目が合った気がしたのでそこを狙って蹴りました」
――今日は風の影響で長いキックは難しかったと思いますが。
「蹴りにくいというか、ピッチコンディションも悪かったので、そこは割り切ってサッカーをやった部分もあります。後半から水を撒くという話だったのですが、結局撒かなかったので、そこはこっちにとってラッキーでした。正直、撒いていたらボールが伸びてキーパーに行ったと思うので、そこは運が味方したと思います」
――後半風上を取ったのは狙いですか?
「最初は逆を取るつもりでしたが、キャプテンがコイントスで負けたので…。ただ、試合中も風向きが結構変わっていたので、最初以外はあまり気にしていませんでした。結果オーライですが、勝つ時はこんなもんです」
――シーズン序盤戦を彷彿とさせる粘り強い勝利でしたが。
「トーナメントが始まっている意識でいますし、どんな内容でも勝てばいいと思うので、とにかく勝てて良かったです」
――後半終盤には大黒選手、闘莉王選手という特徴的な選手の投入で苦戦しましたね。
「誰が出てきても嫌ですが、その中で耐えられたことはチームにとって自信になります」
――前回対戦でやられた相手のストロングポイントを抑え込みましたね。
「あの時は大人のサッカーができませんでしたが、今日は耐えて耐えて勝ちを拾うことができ、そこはチームとしての成長です」
――前節の山口戦は1-0からの試合運びに課題が出ましたが、今日はいかがでしたか?
「カウンターで何本か良い場面を作るなど、攻められてもどこかで狙うとか、そういう部分が大事なので、トーナメントのつもりでやれていたと思います。今日勝てたからこそこうやって話すことができているので、とにかく勝てて良かったです」
――次節はプレーオフを懸けた徳島との大一番ですが。
「すごく興奮するシチュエーションですし、幸せなことだと思います。本当はもっと上の順位に居られたと思いますが、今の力がこの順位だとも思っています。少しでも長くこのメンバーでサッカーがしたいですし、自分たちも良いところにいきたいので、トーナメントのつもりで次も戦っていきたいです。とにかく、勝ち点3だけを考えて戦います」
――その最終節に向けてはキャプテンの井林選手が累積警告で出場停止となりますが。
「誰が入っても守備に関してはしっかりと叩き込まれているので、問題ないと思います。彼は決してキャプテンらしくチームを引っ張るタイプでもなく、そのぶんプレーで引っ張ってくれていました。そういう意味では井林の分までみんなでカバーして頑張っていきたいです」
【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】
――試合を振り返ってください。
「前半は風も悪かったので前半耐えれば、何か良いことがあるかなという気持ちでした。相手が押し込めなくなってきて、自分たちは風上でロングボールで相手陣内深くまで持って行くことができていたので、それでうまく押し込めたと思います」
――1-0で勝ち切るというプランでしたが。
「今日は1-0という気はしていました。京都も守りに関しては堅かったので、そんなに点を獲れる感覚もなかったです」
――試合終盤は持ち味の空中戦が生きましたね。
「闘莉王選手が入ってくると、何か自分の中で燃える部分がありました。久々にやりがいを感じました。やっぱり、ああいう特長がハッキリした選手はやっていて戦いがいがあります」
――今季累積4枚目となるカードをもらった場面では笛が聞こえなかったということでしたが。
「全然、聞こえなくて、蹴った瞬間にプレーが止まっていることに気が付き、やってしまいました。これまで3枚でずっと耐えてきましたが、もらってしまいました。ただ、しょうがない部分もあるので、みんなに頑張ってもらいます」
――次節出場停止でプレーオフ行きを味方に託すことになりますが。
「メンバーが変わってもやることは変わりませんし、みんなも自分の不在に関して気にしていないと思います。本当に、大丈夫だと思います」
――シーズン終盤に入って再びクリーンシートが増えていますがその要因は?
「今日も入れられておかしくない場面が幾つかありました。クロスバーに当たった場面もありましたし、運が良かったという部分もあります。少し、何とも言えないですね。一人ひとりの責任がハッキリしていて、プレーがより明確になってきているとは思いますし、それが良い方向に向かっていると思います」
――最終ラインは試合を通して集中力を保ちましたね。
「ちょっと重い部分はありました。平に関しては4バックの場面でもっとサイドに出しても良かったと思いますが、守備時も3バックのような形になっていました。攻撃時は自分と平がサイドに出てハタが真ん中という形でやるつもりでしたが、全体的に後ろが重くなり、幸輝が全然高い位置を取れず、石櫃さんに押し込まれてしまいました。前半に関して幸輝は攻撃でなかなか仕事ができなかったです」
――前半に関しては石櫃選手の右サイドからかなり攻められましたが。
「クロスやパスの精度が高いので、監督もハーフタイムにあそこからの縦のボールに関して、ハタと平が2人で被ってしまわないようにと指示していました。そこは手こずってしまいました」
【試合後選手コメント:DF 4 畠中槙之輔選手】
――個人としての反省点はいかがでしたか?
「うまく耐えられたところは良かったと思いますが、もっとボールを奪い切るという部分、奪った後のプレーがまだまだだと思います」
――ゴール前の混戦など難しい対応の中で意識する点はどこでしょうか?
「できれば、ファウルやハンドを取られないことは意識していますが、ある意味しょうがない部分もあるので、そこは割り切って対応しています」
――クリーンシートでの勝利でしたが。
「ここに来てまたゼロで勝てることは大きいです」
――シーズン序盤を彷彿とさせる形の勝利でしたね。
「自分たちが頑張って戦い、あの得点も相手にとっては事故のようなものかもしれませんが、1点は1点なので、それをチーム全体で認識して守り切れたことは大きかったと思います」
――前回対戦でやられた相手のストロングポイントを抑え込みましたね。
「前半は特に蹴るというよりもフォワードに当てて繋ぐサッカーをしてきましたが、そこで自分たちがうまく対応し、後半は闘莉王選手の投入などで放り込んできた中でイバ君や他の選手が競り勝てていたので、それほど恐いという感覚はなかったです。ただ、前後半に1本ずつ危ない場面もありました」
――次節運命の徳島との大一番ですが、キャプテンの井林選手が出場停止となります。最終ラインとして責任が高まりますが。
「今まで41試合ずっとイバ君が守備を支えてきてくれたので、そこが抜けるという影響は分かりません。ただ、居ないからやられるわけにはいかないですし、勝てれば100パーセントプレーオフ決定なので、きっちり戦いたいです」
――試合後、出場停止に関して井林選手と何か話しましたか?
「さっきはみんなで1週間早くプレーオフに備えられるな、とみんなでイジりました。イバ君の話では笛が聞こえていなかったらしく、あの距離で聞こえないのはヤバいとイジりました。ただ、そういったことも含めてみんなプラス思考でいます」
――大黒選手や闘莉王選手の投入を受けて、最終ラインのラインコントロールはどのように行っていましたか?
「無理にラインを上げても相手が放り込んで来ることは分かっていましたが、それでずっと下がってしまうと、相手の思う壺なので、上げられる時は1メートルでも2メートルでも上げて、局面で素早く下げようと話していました。うまくできた部分も課題もありました。そこは全体でもっとコミュニケーションを取るべきでした」
――風やピッチコンディションという不確定要素に対して、どんな準備をしていましたか?
「グラウンド状態を考えると、自分たちの志向するポゼッションサッカーは難しかったですが、その中で割り切って裏を取る時は取るなど、臨機応変にできていたことは良かったと思います」
【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】
――試合を振り返ってください。
「風とピッチの状態が悪く、前半は風下ということもあって押し込まれるシーンが多かったです。ただ、後半は風上になってギアチェンジして、個人的にも後半の方が自分にボールが入るシーンも多く、うまく仕掛けられたと思います」
――前半は予想以上に相手の右サイドが攻勢を仕掛けてきましたが。
「たぶん、僕を前に出さないようにという狙いがあったと思いますし、ああいう展開の中で前半しっかりと我慢できて後半は我慢してボールを出してもらい、良い形も何本かあったと思います。最後というか、まだ自分たちは何も決まっていないので、来週しっかりと勝てるようにやっていきたいです」
――チーム全体を通して高い集中力が窺えましたが。
「今日負けていたら本当に終わりだったので、そういうゲームを落とさずに勝てたという意味で、今日は全員集中していたと思いますし、気持ちの入り方も相手と違うと思いますし、そういう部分で勝ったと思います」
――1点リード後のゲームプランに関してはいかがでしたか?
「2点目を狙うというよりかは、このまま1-0で終わろうという気持ちが強かったと思います。チャンスがあればという感じでしたが、プレーオフに出たとしてもこういう勝ち方になると思うので、そういう勝ち方を覚えていくことも必要です」
――前節の山口戦は1-0からの試合運びに課題が出ましたが、今日はいかがでしたか?
「絶対に同じことを繰り返さないということはみんな意識していたと思いますし、今週は良いトレーニングもできて気持ちも入っていて良いゲームもできたので、来週に勢いを持って入れると思います」
――試合後の雰囲気はいかがでしたか?
「嬉しいというよりも来週が勝負なので、ここは勝って当たり前という気持ちでいないとダメですし、そういう気持ちがないと相手に食われてしまうと思うので、42節を終えた時点というかプレーオフの前に一度落ち着きたいという感覚です」
――球際での戦いという部分で戦えていましたね。
「今日はグラウンドが悪かっただけに球際や競り合いの部分で負けないようにと、みんな意識していたと思います」
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】
――サイドバックとウイングバックの2つのポジションでのプレーでしたが。
「これまで何度もやってきたので、バランスのところとかそういう部分はうまくやれたと思います」
――前半は逆サイドでの攻防が目立っていましたが。
「石櫃選手がビルドアップの起点で巧い選手なので、そちら側に寄っていくという意識はありました。同時にこちら側に蹴らせなかったということに関しては、カルロスと自分のところでうまく相手に蹴らせないディフェンスができていたと思います。そこは良かったです」
――攻撃時は並びを変えていましたが、ピッチ状態もあって前半はなかなか繋げませんでしたね。
「風とピッチの悪さもあり、悪いところで獲られるよりかは、ドウグラスが裏への抜け出しで勝っている部分が多かったので、そこをシンプルに使う意識でした。風に関しては前半苦しみましたが、風上の後半は助かりました」
――次節はホームでの最終節で徳島との大一番ですが。
「もう勝ち点3を獲るしかない。それに尽きます」
【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「拮抗した試合だったと思います。グラウンドの状態も良くなかったですし、風も強かったので難しい試合になりました。ディフェンス面で非常に良い働きをしたと思います。自分たちにチャンスはあまり多くなかったですが、数少ないチャンスのうちの1つを決めることができて勝つことができました」
――京都の攻撃を抑えるうえで強調した部分はどこだったのでしょうか?
「京都はセカンドボールやこぼれ球に強いチームで、そこから危険なプレーを生み出すチームです。その点を強調しました。アラートな状態になり、そこからチャンスを作らせないことを強調しました。もう1つは裏へのボールです。裏へのボールも危険なので、そこも注意してディフェンスしました」
――後半に入ってからの勝利に向けたゲームプランに関して聞かせてください。
「基本的には変わりませんが、アランを入れて背後を突くことを強調しました。ゴールもその形から生まれました。風上だったのと相手が背後への対応に問題を抱えていると思っていたので、アランを入れました」