MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、ホームにロアッソ熊本を迎えた一戦に勝利し、6試合勝利なしという嫌な流れを断ち切ったヴェルディ。上位陣を追走すべく、序盤に挙げた5連勝以来となる連勝を狙い、大分の地に乗り込んだ。前節から若干のメンバー変更を加えた。まず4バックの左に安在和樹を4試合ぶりにスタメンで起用。安西幸輝を3トップの右に据え、1トップには前節決勝ゴールを決めたドウグラスを置いた。
立ち上がりからペースを握ったのはヴェルディ。3トップと2シャドーが絶妙な距離でプレーし、攻撃では密集の中でボールを動かして局面を打開していく。守備では、失ったボールを高い位置からカウンタープレスでつぶして奪い返し、攻守の素早い切り替えしから攻撃に長い時間を割く好循環を生み出した。大きな役割を果たしたのは、2シャドーの梶川諒太と渡辺皓太、そしてアンカーの内田達也。前線で失ったボールに対して、鋭い反応で相手に寄せてパスコースを限定し、内田のところで回収する組織的な守備を機能させた。ひとたびボールを持てば、ピッチを縦横無尽に動き回り、ボールを広範囲に動かして自分たちのリズムを生み出した。最初のチャンスは9分。カウンタープレスで奪ったボールを素早く右サイドにつけると、安西のクロスをファーサイドでフリーになっていたアランが頭で合わせる。これは惜しくも相手GKの好セーブに阻まれた。14分には、コーナーキックのチャンスで、ブロックしてスペースを作り、井林章がフリーでゴール正面のスペースに飛び出したが、ボールは頭をかすめてシュートに持ち込めなかった。好機を逃しても、リズムはまったく狂わない。攻守の歯車は敵地で噛み合ったまま、ハイプレスが相手のミスを誘ってことごとくボールを支配する。そして、その成果は16分に結びつく。またもやカウンタープレスで奪ったボールをサイドにつけると、クロスボールをアランがダイレクトで豪快に合わせるもドウグラスに当たってしまうが、こぼれ球が右サイドの安西の元へ。狙い澄ました安西のクロスをニアで梶川が頭ですらすと、相手DFよりも早くコースが変わったボールを左足でコントロールしたドウグラスが、飛び出した相手GKの出端で右足で押し込んでゴールに流し込んだ。10分後には圧巻のプレーが飛び出す。右サイドのやや浅い位置で田村直也がボールを持つと、ペナルティエリアに向けてアーリークロスを供給する。これに飛び込んだドウグラスが、クロスの軌道を変えるように、斜め後方から飛んでくるボールを足先で軌道を変え、ゴール右隅へと華麗に流し込んだ。一瞬、何が起きたのか理解できずに静まり返るスタジアム。それを尻目に、コーナーフラッグに向けて歓喜のランニングをするドウグラス。圧巻の一撃に、一瞬遅れて沸いた緑のスタンドが、一気にボルテージを上げた。
「一番危険な点差だ。1点でも返されたら、相手は息を吹き返す。気を締めて、3点目を狙いに行け!」と発破をかけられたチーム。ただ、リードを許したホームチームが当然のように前への意欲を強く見せると、徐々に自陣に押し込まれていく。しかし、スペースを作らずに相手の攻撃をロングボールの単調な流れに追い込むと、最終ラインが粘り強く対応して撥ね返し続けて瀬戸際で踏みとどまる。77分にコーナーキックからファーサイドのゴール前で頭で押し込まれるが、ゴールを襲う危険なボールも柴崎貴広が鋭い反応でかきだし、最後の防波堤となってファインセーブで切り抜けた。前半の勢いでややガス欠気味になったのか、攻撃はややトーンダウンしたものの、サイドを起点に高い位置までボールを運び、追加点を狙ってバイタルエリアに侵入する場面を何度か作り出した。渡辺が華麗に抜き去ってペナルティエリアに侵入するなど、決して防戦一方だったわけではなく、身体を張った守備をベースに3点目を狙ってカウンター気味に反撃。そのままゴールを割らせることなく、2試合連続完封で春以来の連勝を達成した。
厳しい暑さなの中での連戦はハードで、体力的にも厳しい状態での戦いを余儀なくされる。それでも、連勝で取り戻した勢いと自信は小さくない。連戦の締め括りとなる中3日でのV・ファーレン長崎戦。勝ち点4差で追う相手との一戦は、上位にとどまるためにチームの状況を大きく左右する分水嶺となる。少ない準備期間ではあるが、連戦のダメージを少しでも回復させて、勝負のホームゲームに臨む。
【試合後選手コメント:FW 9 ドウグラス ヴィエイラ】
――2ゴールでチームに連勝をもたらしました。
「ゴールを決めることができて、とても嬉しいです。そのゴールが勝利につながったことが、さらに嬉しく思います。勝つことがチームの目標ですし、それを叶えられて良かったです。」
――2点ともにすごく難しい形でした。特に素晴らしかった2点目を含めて、振り返ってください。
「1点目はクロスボールから難しい競り合いの中でコントロールができて、自分にこぼれてきたボールを決めることができました。2点目は、ポルトガル語で“ゴラッソ”と呼ばれるとても美しいゴールでした。背後からのボールをそのままワンタッチで打つイメージができていました」
――次の長崎戦に向けて、意気込みをお願いします。
「残りの試合も少なくなってきました。すべての試合でサポーターの力強い応援が必要です。この連勝の勢いに乗って、次の長崎戦も勝てるように頑張ります。J1昇格に向けて、チームとサポーターが一丸となって戦っていきましょう」
【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太】
――連勝となりました。試合を振り返ってください。
「チームは先週久しぶりに勝って、勢いに乗っていて、その勢いのまま試合に入ることができたのが良かったと思います」
――システム変更はひとつのキーポイントでは?
「中盤を3枚にして、自分の本来の力が発揮できていると感じていて、一番やりやすいポジションでプレーできています。そこが上手くいったところだと思います」
――前半のうちに主導権を握って点をとれた要因は何でしょうか?
「監督やコーチングスタッフが、試合前に本当に立ち上がりが大事だと強く言っていたので、そこはチーム全体で共通意識を持って入れたところが大きかったです」
――連戦が続きます。次節に向けて意気込みをお願いします。
「まずは次も勝って3連勝するために、試合までの時間を上手く使いたいと思います」
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹】
――前半、グラウンダーのシュートを狙った場面がありましたね。
「でも、全然ダメでした。枠からはだいぶ外れていました」
――久しぶりのスタメンでした。
「3試合出なかったので、4試合ぶりですね。無難にプレーできていたと思います。パフォーマンスとしては平均的ではありました」
――クロスの場面というのは?
「今日はそこまでありませんでしたね。開いてサイドでほしかったんですが、結構中にいくことが多かったので。こっちまでボールが来なくて、使われなかったですね」
――後半はリスクマネジメントがメイン?
「相手も負けているので出てくるので、ある程度は押し込まれる展開になりますよね。ただ、そこまで恐いという場面はありませんでした」
【試合後選手コメント:DF 24 林昇吾】
――リーグデビューを果たしました。名前を呼ばれた時の心境は?
「一番最初にきた感情は、嬉しかったということです」
――ピッチに立つ瞬間はどのような気持ちでしたか?
「すごくワクワクした気持ちで入りました」
――投入されるにあたってどのような指示がありましたか?
「インサイドハーフに入って、前からプレスに行けと言われました」
――トレーニングでは最終ラインに入ることが多かったですが、いきなりの中央での起用について戸惑いはありませんでしたか?
「まず、なかったと言ったら嘘になります(笑)。ただ、ユースの時にもやったことはありましたし、そんなに難しい仕事ではありませんでした」
――難しい時間帯の投入ですが、実際のプレーの感触はいかがですか?
「相手も時間がなくてつなぐというよりも長いボールで押し込まれていました。疲れていたと思うので、少ない人数で攻めようと考えていて、自分がドリブルで運ぼうと考えていました。もうちょっと運びたかったのですが、良かったかなと思います」
――今後に向けて抱負と意気込みをお願いします。
「これからチームの力になれるように、もっと頑張りたいと思います」
【試合後監督コメント:ミゲル アンヘル ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「前半はとても良いプレーができたと思います。ゲームを支配できたし、何回も彼らのゴールに迫ることができました。そして2点決めることができて、ディフェンス面でも苦しむことはなかったです。後半は試合が変わりました。大分より強いプレスをかけてきて、ゲームを支配しました。チャンスは2つ、3つしか作れませんでしたが、とても良いディフェンスができて、彼らにも大きなチャンスを作らせないことができました」
――前半支配することになったキーポイントのプレスについては?
「中盤の選手がより働く必要があります。そして、彼らはとてもよくやってくれたと思います。それによって後半は疲れてしまいましたが、とてもいいパフォーマンスでした」
――前節から4-3-3のシステムでやっていて結果が出ているが、手応えはありますか?
「各システムには長所と短所があります。サッカーで一番重要なのは選手です。そのシステムを機能させるための選手がいるかどうかというのがとても重要です。プレシーズンは3-4-3でいくという決断をしました。というのは、持っていた選手たちが一番力を発揮できるのがそれだと思ったからです。もうひとつオプションとして4-3-3を持つことができたというのはとても大きいです。試合によって3-4-3と4-3-3を使い分けることができるからです。システムは変わっても、フィロソフィーは変わりません。我々のフィロソフィーはどういったものかというのは、観ている方々に感じてほしいです」
――林選手をリーグデビューさせるにあたり、どこに成長を感じたか?
「昇吾は最初はセンターバックとして考えていて、センターバックとしては苦しんでいました。その後、彼を長いこと招集することをしていましたが、その間も顔を下げずにとてもいいトレーニングを積んでいました。彼は信頼できる選手だと感じているので、彼を今後は計算に入れることができると思います」