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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第25節 - 水戸ホーリーホック vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

4試合勝利から遠ざかり、順位を徐々に下げているヴェルディ。夏場のアウェイ連戦で、上昇のきっかけをつかみところで、同勝ち点の水戸ホーリーホックとの一戦を迎えた。前節、試合後の記者会見でロティーナ監督は、システムや選手起用の変化について言及。その内容に注目が集まる中、大きな変化はサイドのポジションにあった。安在和樹をメンバーから外し、右サイドMFに今シーズンリーグ戦初出場となる田村直也を起用。ボランチには内田達也を戻し、中後雅喜と組ませた。

 

試合の内容という点では、自分たちの思い描くスタイルをピッチに発揮したのはヴェルディだった。劇的な幕切れに向かっているとは思えないほど、ボールを保持してビルドアップからチャンスを作り出した。前半こそ自陣でスペースを守る相手に対して、前線にボールをつけられずに攻めあぐねたが、簡単にはボールを失わずに攻め手を探り続ける。相手がビルドアップでミスを繰り返したことにも助けられ、高い位置でボールを奪ってからショートカウンターに打って出る。30分には、前でボールを奪ってから中後の横パスを高木善朗が受け、相手をかわして視界が開けたところでミドルシュート。絶好のシュートチャンスだったが、力んだのかボールはゴールから大きく逸れた。その後はやや攻め手を欠いた感があったが、ワンチャンスを生かす。43分、アランが引っ張られて得たフリーキックを中後がゴール前に入れると、ニアに走り込んだ田村が頭でボールの軌道を変えてゴールへ流し込んで先制に成功する。その後も高い位置でボールを奪いに行くヴェルディだが、前半終了間際にカウンターから最終ラインを突破されて同点ゴールを献上して前半を折り返した。

 

前半の継続を強調して臨んだ後半は、ほぼ一方的な展開が続いた。ボールを保持しながら徐々に相手を押し込んでバイタルエリアに侵入するヴェルディ。50分には井林章の浮き球のパスにアランが抜け出すが、ギリギリでDFが食らい付きシュートはミートできない。その後もサイドを起点に何度となくバイタエルエリアに入ってフィニッシュを窺うが、決定的な場面には至らない。すると78分、相手のカウンターからクロスボールを柴崎貴広が大きく弾き出せなかったこぼれ球を強振され、畠中槙之輔に当たってゴールに流れ込む不運な形で逆転を許した。ここから危機感を強めて前に出るヴェルディ。サイド突破にこだわらず、途中投入のドウグラスを生かしながら中央で細かいパスをつないでペナルティエリアの攻略を試みる。81分には中後のスルーパスを狭いエリアで受けて抜け出したカルロスがフリーでシュートを放つが枠を捉え切れず。85分にはフリーキックのこぼれ球を井林が大胆なシュートで狙うが惜しくもゴールから逸れた。直後にはサイドからのクロスボールを相手がクリアし切れないこぼれ球にカルロスが反応して豪快に合わせるが相手GKにはじきだされた。押し込みながらもゴールが決め切れなかった45分、中央の狭いエリアを打開してドウグラスが抜け出そうとしたところで倒されてPKを獲得する。これをドウグラス自身が決めて土壇場で同点に追いついた。ここからは完全にオープンな展開に。お互い体力の限りを尽くしてゴール前に迫るが決め切れない。そんな中で、アディショナルタイムも消化したタイミングで攻め込んだ水戸がコーナーキックを手に入れると、これを決めて劇的な幕切れで試合はタイムアップを迎えた。

 

後半戦に入ってから勝利がないヴェルディにとって、とてつもなくダメージの大きな敗戦となった。5試合勝利がない現状に直面し、チームはどのようにこの苦境を乗り越えるのか。ただ一つ選んではいけないのは、下を向くこと。ここから這い上がるために、自分たちの足元を見つめ直しつつも、視線を上げて次戦に向けて進んでいくしかない。

 

 

【試合後選手コメント:MF 23 田村直也選手】

――試合を振り返ってください。

「自分としても気持ちを入れて試合に入り、難しいことはせずに、チームのビルドアップに対しても、ポジショニングなどを考えてやっていました。悪くはなかったと思いますが、失点場面に関しては修正できるのかなと思います」

――ゴールシーンを振り返ってください。

「ゴールは率直に嬉しかったですし、この半年間のぶんの気持ちを込めていたので嬉しかったですが、その後に失点してしまったので、そこはチームの課題です。勝ち続けていた時期は1-0で勝てていたので、失点が悔やまれます」

――ウイングバックでのプレーの感触はいかがでしたか?

「ここ最近は非公開で皆さんは練習も見られていないですが、僕自身練習からあのポジションでプレーしていたので、あまり違和感はなかったです。自分のところで相手に突破をされないこと。最近チームに足りなかったという部分で気持ちや声で締める部分は心がけました。ただ、結果的に今日も3失点したので、まだまだ足りないです」

――前半終了間際の失点が悔いに残りますね。

「守り方に問題があったし、どのコースを切るべきか、という部分はもう一度見直すべきですね。セカンドボールの拾い合いという部分でも甘かったです」

――失点が続いている中での起用でしたが、攻守のバランスをどのように意識しましたか?

「攻撃も守備も半々くらいでした。センターバックでは90パーセント守備ですが、今日のポジションでは半々です。攻撃に関しても良いプレーをしないといけないですが、アウェイだったのでゼロで抑えたかったです」

――今季リーグ初出場という中、ピッチ内で気づいたことに関して教えてください。

「声の部分ですね。やっぱり、少ないのかなと思います。それは今のチームというわけではなく、僕が来てからここ数年のヴェルディに関してですね。僕が来る前のうるさいというか、個性的なメンバーが居た時であれば、もう少し違うのかもしれません。声でサッカーをやるわけではないですが、大事なことだと思います。もっとプレー中の声が大事になります」

 

 

【試合後選手コメント:MF 17 内田達也選手】

――試合を振り返ってください。

「悪くても2-2か、良くて1-0以上で終わりたかったです」

――前半最後に失点するまでは良い流れでプレーできていた印象でしたが。

「先制点も取れて前半最後に失点するまではほぼ完璧だったと思います」

――前半最後の失点に関しては緩さが出てしまった印象ですが。

「もちろん、そこは声をかけてやっていたつもりでしたが…。失点したからどうこうというよりも、シンプルに守備の緩さというものがあり、失点してもしなくても、そのへんが変わっていかないと、変わらないと思います」

――前節、今季初の出場なしとなった中、チームの戦いぶりを外から見た印象はいかがでしたか?

「今日に関しては戦い方が悪かったと思いませんが、前節は戦い方自体悪かったので、そこはボールを触りながら意識的にプレーしました。後ろの人が触るよりも、前の人が触った方がビルドアップも安定するので、そのへんは後ろに落ちてでもボールに触ってリズムを作ろうと思いました」

――ボールの動かし方に関してはかなりスムーズでしたね。

「カルロスも前に比べて収まっていましたし、僕らもカルロスの良さを分かってきて、剥がしてくれ、キープもしてくれるので、戦い方的には分析通りでした」

――バイタルエリアで中央を崩し切る形はやりたい攻め方でしたか?

「あれがやりたい形ですが、最後は中盤をひし形にして4-4-2の2トップとカルロスのシャドーにダイスケとカジ君と中央に人が居たので、あの攻め方ができたと思います。3-4-3の時でも、あれぐらい攻撃に人数をかけられればいいですが、かけられないからこそ、その形ができていないので、3-4-3でもああいう形ができればと思います」

――守備面での緩さという部分に関して具体的な説明をお願いします。

「ファーストディフェンスの距離感ですかね。色んな場面で縦パスに対して、すぐに行けなく、その後にドリブルされてズルズル下がってしまうという中、必ずどこかで行けるタイミングがあると思うので、行かなければ今日のようなパスの通され方はまずいです」

――これまでであれば、追いついてから最後に失点という形はなかったですが、その意味で今日の負けは流れの悪さを示していますか?

「悪い流れですね。悪くても2-2で終わりたかったです。セットプレーでの失点が増えていることに関しては、結局人が居ても相手に行けていない、というところになるので、本当に個人個人が頑張るしかないと思います。チームとしてのやり方自体に間違いはないと思いますし、今更やり方が分からないというわけでもないので、あとは個人個人がそのやり方に対して、どれだけできるか。個の力に尽きると思います。今日に関してはそこが水戸よりも弱かったと思います」

 

 

【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】

――前回の試合からこの試合に向けてどのような気持ちの整理をしましたか?

「3失点して早く次の試合をしたいと思っていましたし、しっかりとした準備はできていました。プレー自体や闘う部分はできていたと思いますが、まだ足りない部分はあるし、それが何なのかという部分でセットプレーの対応とかもあると思うので、それは一人だけの問題ではないので、しっかりと話し合っていきたいです」

――チームとして概ねやりたい形ができていながら、簡単な失点などで結果が出ない現状についてどう考えていますか?

「前半最後のプレーで失点したり、今日も前後半のラストで失点してしまっているので、あのへんの締め方をしっかりとやらないといけないです」

――個人的に仕掛けの部分など攻撃面の良さは出ていた印象ですが。

「ただ、結果的に点には繋がっていないので。イメージは良いのでそこは継続して、あとは質の高いボールを上げていきたいです。サイドをえぐってのマイナスのクロスに関しても相手に引っかかってしまったので、あれを通せるように練習していきたいです」

 

 

【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「今年よくある形の試合でした。ボールを持って試合を支配することができましたが、簡単にゴールを奪われ過ぎてしまい、負けてしまう。ディフェンス面に関しては以前にあった安定感というものがなくなっています。すぐに改善していく必要があります」

――スピードに優れる前田大然選手に対しての対応の仕方をどのように指示していましたか?

「38番(前田)と17番(湯澤)の選手がスピードがあることはよく理解していました。スピードがあり、スペースをアタックしてくるプレーが得意なこともです。ただ、彼らにそう簡単に突破を許していなかったので、しっかりと対応できていたと思います。それよりもコーナーキックであったり、セットプレーから簡単に失点しており、それが一番の問題です」

――ここまで主力でプレーした安在選手をベンチからも外し、田村選手を抜擢した理由を教えてください。

「アンカズに関してはここ最近、彼が本来持っているレベルでプレーできていないという評価でした。彼がチームから外れるということを通じて、チーム全体で考え直すことに繋げ、それが良い方向にチームを向かわせることを期待しています。ナオヤに関しては良いトレーニングを続けており、それは他の選手に関しても同じですが、ナオヤは強いパーソナリティを持っており、その強いパーソナリティがチームに必要だと思い、起用しました」

――前回の試合後に「何かを変える時期」と話していましたが、それが今回のメンバー変更だったのでしょうか?

「選手個人というよりも、システムです。新しいシステムをオプションとして組み入れるという意図の発言でした。ただ、試合に向けてプランを練る中で今日の試合に関しては、3バックで臨みましたが、今度の試合では4-4-2というか、4バックのシステムも考えています」

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