MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、FC町田ゼルビアとの『TOKYO CLASSIC』に4-2で勝利し、3位へと順位を上げたヴェルディ。序盤の5連勝以来となる連勝を懸けて、今節も敵地に乗り込み、ロアッソ熊本と対戦した。スタメンの顔ぶれは前節と変わらず。入れ替わることが多い両ワイドMFの安在和樹と安西幸輝は、お互いに利き足のサイドでのスタートとなった。
序盤から前節とは一転した試合展開になる。相手が持つボールを追っていくが、前線からのプレスがはまらず、後方からも押し上げも乏しく、そのギャップに入られてボールを高い位置まで運ばれてしまう。ボールを持たれ、走らされる展開の中でも、序盤は焦れずにスライドしながら対応していた。マイボールを奪ってからは素早く反撃に転じる。19分には左サイドに開いた高木善朗のクロスをファーサイドでドウグラスが頭で合わせるが、力はなく相手GK元へ。その後も相手が試合の主導権を握ってボールを保持する中、均衡をあっさりと破られてしまう。26分、最終ラインのギャップに入り込まれてフリーで光永に単独突破を許し、柴崎貴広も止められずに無人のゴールに流し込まれて失点。堅守を誇っていたチームが、やけにあっさりと喫した失点に、ピッチ上でも戸惑いの色が見えた。それを払しょくするように、攻勢を強める。33分には、右サイドの深い位置から安西がワンツーを挟みながらバイタルエリアに侵入して強烈なシュートをゴールの隅へと打ち込む。これは相手GKのスーパーセーブに防がれる。39分には安西の強烈なシュートをまたも相手GKにはじかれると、こぼれ球に安在がダイレクトボレーで押し込むが、シュートはゴールのわずか上へとそれた。40分にはドウグラスのパスに高木善が抜け出し、相手のギャップを突いてフリーでシュートを打つチャンスを作る。しかし、思い切りよく左足を振り抜いたシュートは、クロスバーに弾き返された。ここまでの猛攻がこの試合の潮目だった。前半も終盤に入った44分、安にドリブルでスペースへの侵入を許し、マークが緩くなったところで豪華にミドルレンジで足を振り抜かれ、ゴール左に叩き込まれた。守備での動揺は簡単には立て直せず、アディショナルタイムに突入した45+2分には、左サイドから最終ラインを強引に割られると、球際で相手の迫力に負けて弾き返せず、上村に豪快にゴールを射抜かれて0-3で試合を折り返した。
「顔を下げずに、最後まで自分たちを信じてプレーしよう。まず1点だ!」。そう鼓舞されてピッチに再び送り出された選手たちは、立ち上がりこそ相手の勢いを正面から受けたが、徐々にボールを保持して攻め込んでいく。50分に渡辺皓太に代えて梶川諒太を投入すると、その直後には梶川の突破から高木善がペナルティエリア内に侵入してゴール目前でシュートチャンスを得る。しかし、振り抜いたシュートはゴールの上へとそれていった。その後もサイドを起点に何度も何度もゴールへと迫っていく。途中交代に入った橋本英郎が攻撃のキーマンとなり、相手を自陣へと押し込んでいった。しかし、逆にゴール前を固めた相手を前に苦しむ形に。崩しきったと思えた場面でも、3枚目、4枚目の壁が立ちはだかってゴールへ向かう目前でブロックされてしまう。72分には、またもカウンターから豪快に足を振り抜いたミドルシュートを叩き込まれて4失点目。その後も押し込んでいくが、ゴールは遠い。78分にドウグラスがペナルティエリアで起点を作り、落とされたボールを橋本がワンタッチで狙い澄ましてゴールを捉えたが、守備網を突破したものの相手GKのファインセーブの前に泣いた。84分には高木善がドウグラスとのワンツーでペナルティエリアに侵入するも、フリーで抜け出したと思われたシュートは、身体を投げ出した相手DFにブロックされた。
打ち込んだシュートの数は、相手の倍を数え、バイタルエリアに侵入して迎えた決定機の数も相手を上回った試合だった。しかし、先に相手にゴールを許したことで失った流れを、最後まで取り戻せず、リーグ戦では5月27日のV・ファーレン長崎戦以来5試合ぶりの黒星を喫した。またも逃した連勝のチャンス。順位も5位と一歩後退して前半戦を終えた。ここから突入する後半戦に向けて、大きな課題を残す一戦。この手痛い敗戦を教訓にできるか、それとも克服できずに後退するか。前者になって上位との差を詰めていくために、まずは次の一戦に全力を懸ける。
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹】
――試合を振り返ってください。
「前節勝利したんですが、2失点したということで、守備のところでゼロを目指してしっかり入ろうと皆で声を掛けていたんですが、ミス絡みで失点してしまって、そのままズルズルいってしまいました。チャンスは作れていたんですが、なかなか入らなくて悔しい試合になってしまいました」
――次節に向けた修正は?
「守備ですね。これだけ失点が続いているので、もう一度引き締めて、来週しっかりと練習して、次の試合に向けて準備をしたいと思います」
【試合後選手コメント:DF 5 平智広】
――ここ3試合、複数失点が目立つ理由は?
「前から取りにいこうとして、ディフェンスラインと中盤とのギャップができて、そこを使われて前を向かれてピンチというシーンが今までに比べると増えたので。最近、前からプレッシャーにいきたがって、自分たちのボールにしようとしているんですが、それがなかなか上手くいってないし、そこでズルズルとディフェンスラインだけが引いて、ギャップを使われて、寄せれ切れなくてシュートを打たれているシーンが多いです。前からいく以上は、もっとディフェンスラインはコンパクトにしないといけないですね。今度は背後のスペースが狙われやすくなるので、そこでの相手との駆け引きがある中で、バランスを失っているかなと思います」
――結果が出ていた時との違いは? どう修正しますか?
「上手くいっている時は、今よりも割り切って引いてから、前半を0-0で折り返して1点をとって逃げ切るということができていました。選手間のコミュニケーションで調整しながら、距離感も詰めていきたいですね」
【試合後監督コメント:ミゲル アンヘル ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「相手の1ゴール目までは良いプレーができていたと思います。少しなぜ入ったのか分からないようなゴールが入って、その後少し組織が崩れました。立て直して良い攻撃ができていたんですが、とてもダメージのある2失点目を受けました。その後、ポジションを少し見失っていて、その間を彼らが活用して得点を重ねました。後半はまず1点目を獲りにいきましたが、ボールを支配してゴールに迫ることができましたが、相手のGKが当たっていたのと、僕たちのシュートが正確性を欠いたので、シュートを決めることができませんでした。そこで彼らにカウンターから素晴らしいゴールを決められました。その後は、逆転するのは難しい状況でしたので、早く試合が終わってくれと願っていました。今日は自分たちの試合ではなかった、自分たちには扉が閉じられていたという印象を抱いています」
――組織的な堅牢な守備が持ち味だったチームが、ここ3試合で9失点。その原因と、今後の修正方法は?
「今日のゴールというのは少し奇妙というか、少ないチャンスでスーパーゴールを決められたという印象です。これはあまり普通のことではないと思います。確かにディフェンス面は心配しています。少し問題があるのは事実です。今日おかしたエラーを修正していく。そして、できるだけ早くディフェンスの安定性を取り戻したいと考えています」