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MATCH試合情報

第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦 - ジェフユナイテッド千葉 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

リーグ戦は前半戦の折り返しが近付き、僅差に複数のチームがひしめき、毎試合緊張感溢れる展開が続いている。その中、週の半ばに天皇杯の2回戦を迎えた。相手はジェフユナイテッド千葉。リーグ戦で3-0と勝利した相手と、敵地のフクダ電子アリーナで戦った。「これまでチャンスの少なかった選手を見たい」とロティーナ監督が語っていたとおり、今日のメンバー構成はリーグ戦から大きく変更。GKには移籍後初の公式戦出場となる内藤圭佑を起用した。また、トップ昇格2年目の林昇吾がプロデビューを飾り、最終ラインの右には田村直也が入った。怪我から復帰した中後雅喜をアンカーに置き、トップ下の位置に橋本英郎と井上潮音を並べる新システム。右ワイドには高木純平を起用し、高木大輔と中野雅臣の2トップでスタートした。

 

序盤からペースを握ったのは千葉だった。前からのプレスでヴェルディを押し込み、マイボールをテンポよく動かしながらバイタルエリアに侵入していく。10分には町田がドリブルでスペースへ抜け出してミドルシュート。これは辛くもポストに助けられた。その後もボールを持たれる展開は変えられず、ヴェルディ側もプレスをかけていくが、連動性を欠いて体力を消耗していく。ギリギリゴール前では身体を張ってブロックを続けていたが、迎えた26分に一瞬のエアポケット。中盤のなにげないファウルで与えたフリーキックを清武に直接沈められてリードを許す。その後もマイボールを効果的に攻撃につなげられない中、31分に高い位置でボールを奪い、高木純、高木大とつなぎ、最後は中野がコースを突いたミドルシュートを放つが、わずかにゴール左へとそれた。

 

後半は相手がややリトリートしてきたこともあって、ボールを持つ時間が徐々に増えていく。それでもミスから逆襲を食らい、46分、51分と立て続けにバイタエルエリアを攻略されてシュートまで持ち込まれるが、内藤の好セーブでピンチをしのぐ。反撃の一手はセットプレーから。56分、右サイドからの中後のフリーキックがゴール中央に入ると、永田充がダイビングヘッドで合わせるが、シュートはわずかにゴール右へと逸れた。62分にはまたもやカウンターから清武にきわどいシュートを放たれるが、内藤が鋭い反応ではじき出した。チャンスの芽が生えつつある中、ロティーナ監督が動く。72分、ドウグラスと二川孝広を同時にピッチへと送り出す。ここからヴェルディのギアが上がった。74分、相手のボール奪うと、井上が右サイドのスペースへ絶妙なスルーパス。前半からオフサイド続きだった裏へのボールだが、2列目の林がタイミングよく飛び出し、フリーの状態でボールを受ける。相手DFの戻り際を切り返してかわすと、後方からサポートに入ったドウグラスへ。ワントラップしてゴール方向に持ち出したが、シュートを打つ寸前に相手DFが後方から身体を投げ出すようにブロックしてボールはGKの懐に収まった。このプレーで林が足をつってピッチを後にした。代わりに入ったのは内田達也。選手の配置の都合から右ストッパーに入り、田村を右ワイドMFに押し出した。終盤に入ると、中央突破でバイタルエリアに何度となく侵入する。橋本&二川コンビで崩し切る場面など、着実にフィニッシュまで持ち込んでゴールの可能性を感じさせる展開になってきた。そして、90+2分にこの日最後のチャンスが訪れる。前半から相手の背後をとろうとトライし続けた高木大が、ポジションを代えて左ワイドMFに入っていた位置から抜け出し、二川の絶妙なスルーパスを受けてゴールへと迫る。飛び出したGKとの駆け引きになった場面だが、抜くのではなくシュートを選択したが、一気に間合いを詰めたGKにブロックされてボールは撥ね返された。これでタイムアップを迎え。終盤の猛攻撃も実らず、フリーキックの1点に泣く形となった。

 

試合後、ロティーナ監督は記者会見で「負けて悔しくない人間はいないが、我々にとっては収穫の多い試合となった」と語った。日頃は試合に絡む機会が少ない選手たちがしっかりとしたパフォーマンスを見せ、怪我から戻ってきた選手たちが要所で光るプレーを見せた。トーナメントでの敗戦は大会から姿を消すことを意味するが、それと引き換えに得た収穫をリーグ戦での上位サバイバルで活かしていくことで、この敗戦を価値あるものに変えていくしかない。

 

 

【試合後選手コメント:DF 24 林昇吾選手】

――プロデビュー戦でしたが、試合を振り返ってください。

「硬くならずにはプレーできました。ここまでチームに申し訳ない気持ちがあったので、とりあえず出られて良かったです」

――試合前に監督や周囲から特別な声掛けはありましたか?

「特別なものはなかったです。単純な指示が多かったです」

――左ウイングバックでのプレーでしたが、前半はボールを要求してもなかなか来なかったですね。

「相手が前から来ていて、相手のウイングバックとマンツーマンの形だったので、なかなか自分がもらっても仕掛けられず、しょうがないという部分もありました」

――守備に関しては粘り強くやれていましたね。

「抜かれそうな場面では相手のミスがあったので、何とかカバーできました」

――後半は井上選手との連係で高い位置を取る場面もありましたが。

「潮音とはユースでずっと一緒にやっていましたし、他の人に比べてうまく連係できました」

――交代前にはその井上選手からのパスで決定機にも絡みましたね。

「正直、潮音のパスが短かったので、ワンタッチで前に持ち出そうとしましたが、ボールが中に入ってしまい、一度切り返しましたが、そこで右足が攣ってしまい、ドウグラスに左足でパスを出したら、今度は左足も攣ってしまいました。理想としてはワンタッチで相手の前に入りたかったのですが、結果的に切り返す形になりました」

――短い時間でしたが、右ウイングバックでもプレーしましたが。

「練習では全くやっていませんでしたが、左足でカットインしてクロスという形を求められていました」

――前半バタ付いた時間の中でどんなコミュニケーションを取っていましたか?

「僕が求めていたのは自分が裏へ抜けることで、前でタメを作れるので、そういう形を狙いたかったです。ただ、相手のラインの上げ下げが速かったので、ボールが来なかったです」

――後半に入ってボールを受けられる場面が多かったですが、ハーフタイムに指示がありましたか?

「ハーフタイムに、センターバックはまず初めに僕のところを見ろという指示がありました」

――後半はリトリートした相手にあと一押しが足りなかったですね。

「縦パスを効果的に入れられなかったですね」

 

 

【試合後選手コメント:GK 34 内藤圭佑選手】

――移籍後初出場でしたが、試合を振り返ってください。

「チャンスが来てこの試合に全てを懸けていたのですが、負けて残念でした」

――前半は相手のハイプレスに苦戦し、バタ付いた印象でしたね。

「試合から遠ざかって試合勘もない中で、そこで自分が一番後ろでしたが、もう少し落ち着いてやれたら良かったです」

――後半はラリベイ選手との1対1など、ビッグセーブ連発でしたね。

「2点目を取られたらキツい状況だったので、そこは僕だけではないですが、みんな失点しないように頑張りました」

――悪い失い方からカウンターを浴びる場面も多かった印象ですが。

「ウチも点を取らないといけない展開だったので、少しリスクを冒しながら最後自分が止められればいいという感覚でした」

――前半は中後選手や永田選手とボール出しの部分で意見貢献していましたが。

「やっぱり、試合に出ていた選手はボールを出してほしい場所があると思いますが、そこを出すのか、出さないかということを話し合っていました」

――練習では経験できない難しい試合の際という場面でよく対応できたと思いますが。

「普段のシュート練習から同じような場面もあり、それはカウンターという形ではないですが、向こうから攻めてくるという似た形はあるので、そこを止められて良かったです」

――清武選手との1対1でうまくニアを消した好セーブもありましたね。

「あそこは1人味方が対応していたので、ポジショニングだけ意識して良い対応ができたと思います」

――ヴェルディの選手として初めて公式戦のピッチに立った印象はいかがでしたか?

「入ってくる前から憧れのクラブと言っていて、そのエンブレムが付いたユニフォームを着て公式戦に出られたことは嬉しいですが、やっぱり自分が良くても悪くてもチームが勝った方が嬉しいので、残念という気持ちの方が大きかったです。とにかく、悔しいです」

――今日の試合で手応えを感じた部分、課題を感じた部分はどこでしょうか?

「課題というか、試合に出続ければ、みんなともっと合っていくと思います。それでも、ピンチを幾つか防げたことは自分にとってプラスだと思います」

 

 

【試合後選手コメント:DF 4 畠中槙之輔選手】

――試合を振り返ってください。

「前半は特に自分たちの時間がほとんどなかったので、終わった後にみんなで話し合ったのですが、前半をやり直したいという後悔があります」

――前半はボール回しの部分でコミュニケーションがうまく取れなかった印象ですが。

「相手のプレスに対して後手の対応になってしまい、自分たちで前半のうちにやり方を変えるチャンスもありましたが、結局それができなかったです。それが相手の思惑通りというか、もったいなかったです」

――後半からマイボール時に中後選手が最終ラインに落ちてボール回しがスムーズになりましたね。

「チュウさんが下りてきて4枚で回すようになって、相手もプレスがかからず引いてくれました。結果的に間でパスを受けられるようになり、それを前半からやれれば良かったです」

――ご自身としては守備の局面でかなり良いプレーができていたのではないでしょうか?

「今日はフリーキックからの失点でしたが、それ以外にも危ない場面が多かったです。それに自分が絡んだ場面もあったので、そこは反省点です」

――悪い失い方から町田選手や清武選手にバイタルエリアで自由にやらせてしまう場面もありましたね。

「後半は特にあそこで何処にでもパスの選択肢があるという状況を作ってしまったのは反省点です。それでも、最後の場面で身体を張ることはできました。後半に関して自分たちが最低限やるべき仕事はやれました」

――攻撃では引いた相手に対して崩し切るという部分で課題も出ましたね。

「全体として相手の裏を狙う意識が強すぎてもったいない失い方も多かったです。逆に、後半は裏を狙わなすぎて相手がラインを上げてきていたので、その状況でピッチ内で修正できなかったことが残念です」

――前半に関しては前線で収まらない状況がキツかったですね。

「2人とも裏を狙うスタイルなので、どっちかが下りて起点になってくれるとやり易かったと思いますが、それをできなかったのも反省点です。ウイングバックに関しては僕の前にいた林がデビュー戦だったこともあり、もっと自分がうまく動かせられれば、良いプレーができたと思います」

――ここ最近、ピッチ上での修正という部分が課題の1つだと思いますが。

「そこは足りない部分というか、やらなければいけない部分というか、それをチーム全体の統一意識として変えていかないと、こういったもったいない負け方も増えてしまうので、それだけは防がないといけないですし、こういう負け方をリーグ戦でしてしまうと順位もすぐに落ちるので、気を付けたいです」

――中3日で昨季期限付き移籍でプレーした町田との対戦ですが。

「まだ誰が出るのか分かりませんし、僕がプレーできるか分かりませんが、町田は自分の中でプロとしてスタートラインに立たせてもらったクラブだと思っているので、恩返しという意味でもしっかりと完封勝利したいと思います」

 

 

【試合後選手コメント:DF 30 高木純平選手】

――今季初先発でしたが、試合を振り返ってください。

「個人的には普通です。個人的に高揚感を持って試合に入ると、あまり上手くいかないので、いつも通りに入ろうという気持ちでやっていました」

――前半は相手のハイプレスに対して、混乱も見えましたが。

「それにしても慌て過ぎでした。もっと回すこともできたと思います。ちょっと、久しぶりに試合に出るメンバーが多かったので、気持ちの高鳴りを抑え切れなかった印象です。そうなれば、こういう展開になってしまいます」

――ビルドアップのやり方に関してピッチ内で盛んに意見交換もありましたね。

「相手のラインが高いことは分かっていたので、誰がどのタイミングで裏を取ってという中、ちょっとオフサイドに引っかかり過ぎたと思います。あれだけ早い段階でそういった面が出ていたのであれば、前半の早い時間帯に修正していかないとダメです。最初に1、2回引っかかった段階で修正しないと、そのへんの考えが足りなかったです」

――ウイングバックを効果的に使えなかった場面も多かったですね。

「僕ももっとボールを受けないとダメでした。僕のところでボールを落ち着けたかったですし、もっと僕が引いて一度受けて、そこで受け直す形のプレーを出せば、前半に関してはもっとボールが落ち着いたと思います」

――後半に関してはハーフタイムの修正でボールの周りがスムーズになりましたね。

「相手が高い位置から引いてくれたので、こっちも高い位置を取れました。ただ、タムとかがボールを受けた際に、僕と完全に縦のラインになってしまうので、その時に僕が流動的に動いて、空いたスペースを誰かが使うとか、裏に走るという選択肢を出したかったです」

――後半からマイボール時に中後選手が最終ラインに落ちてボール回しに参加していましたが、チームとしての狙いですか?

「意図的にやっていたことです。あれを前半から流動的にやりたかったです。もちろん、相手も前から取りに来ていましたが、そこで外せれば問題なかったです。久しぶりに出ると、こうなりがちですね」

――前半から修正して盛り返しての敗戦ですが、この試合から得た部分もありますか?

「(起用された選手は)この試合でもっとやらないとダメです。周りから見てもテンパッたように見えた試合だと思いますし、それではダメです。何か見せないと。正直、前半に関しては全くボールが落ち着かなかったですし、どう攻めればいいんだという感じでした。個人がもっとボールを取られない、ミスをしない、そういうことをもっと意識しないとダメです。久しぶりに出ただけにもっとやりたかったと、モヤモヤしています」

――前線でボールが落ち着かなかったですね。

「もっと落ち着いてプレーしたかったですね。それはチーム全体の問題なので、なぜそうなったかを、次に生かしていかないとダメです。正直、今(先発で)出ている選手たちにプレッシャーにならないと思いますし、僕たちは彼らにプレッシャーを与えなければいけない状況なので、これでは出ている選手がやっぱりいいということにもなるので、そういった意味で重要な試合だっただけにもったいなかったです」

――前半はそれぞれが結果を出そうと、空回りになった印象ですか?

「前半は何かやろうという気持ちが空回りしてしまい、それが落ち着かなかった原因です。やっぱり、メンタルの部分は重要だと思うので、そういう状況でもいつでも普通にやれる人が強いと思うので、今日はその辺が浮き彫りになったというか、みんなの高揚感が試合に出てしまったと思います。久しぶりに出るなら、俺はこういうことができるということを出さないとダメでした。この失敗を次に生かし、下を向いている暇もなく、すぐにリーグ戦もあるので、練習からしっかりとやっていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 32 二川孝広選手】

――最後に高木大輔選手の決定機を演出したスルーパスに関して聞かせてください。

「最後のヤツは空いていたので、そこを狙っただけです。どんどん上がってくれるので、そこを使ってあげた方がリズムが出るという狙いもありました。自分で仕掛けるか、出すかは迷うところでしたが」

――投入時に監督からどんな指示を受け受けましたか?

「ドゥグと近い距離でプレーしてボールを受けて攻撃に絡んでほしいという指示でした」

――投入時のポジションに関しては2トップの一角というイメージですか?

「トップ下というか、ドゥグの一つ下のポジションというイメージでした」

――相手が引いたことでバイタルエリアでプレーできる場面が多かったですね。

「そうですね。スペースもあったので受けやすかったですし、あとはゴール前での質を良くしていれば、違う結果になったかもしれません」

――オフサイドになりましたが、ボックス内で橋本選手との良い連係もありましたね。

「そういうコンビネーションやワンツーというプレーは、ああいう形で引かれた際に有効なプレーだと思います」

――結果は出ませんでしたが、個人的に充実感のある試合でしたか?

「結構、点も取れそうな雰囲気があったので、結果を残したかったという気持ちです」

 

 

【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「とても強度が高い試合でした。千葉は前半ハイプレスを仕掛けてきて、私たちはプレーをするのが難しかったです。後半の立ち上がりにチャンスを作り、同点に追いつけるチャンスを作りました。後半は前半よりも相手がリトリートしてきて、よりプレーし易くなりました。決定機を幾つか作り、特に最後の決定機は惜しかったです。後半はよくプレーできた試合だと思います。この試合は私たちにとってとても収穫のある試合でした。普段プレーしていない選手たちをチェックするうえで良い試合でした。彼らはトレーニングでとても良いプレーをしています。あとはケガ明けの選手たちをチェックすることができました。フタもケガから戻ってきました。誰もが負けることを好きではないですし、負けて悔しい思いをしていますが、チームとしては収穫のある試合でした。天皇杯という重要な試合で勝利したジェフを祝福したいと思います」

――後半に二川選手とドウグラス選手を同時投入した狙いを教えてください。

「ダイスケとマサは前半からプレスをかけてくれました。ただ、フレッシュな選手を入れたかったこと、前半に比べて相手がディフェンスラインを下げていたので、そのライン間でフタにボールを受ける仕事をしてほしいと思っていました。残りの交代枠に関しても狙いがありましたが、ジュンペイやショウゴにトラブルがあり、思っていた交代ができなかったです。本当はヨシも入れたかったですが、不可能でした」

――試合後、相手のゴールキーパーの佐藤優也選手に声をかけていましたが。

「勝利を祝福しただけです。彼とは知り合いではないので。(最後にナイスセーブとは言いませんでしたか?)ノー、ノー。日本語が話せれば言ったかもしれませんが、祝福しただけです。エスナイデル(監督)とラリベイとは少し話しました。特に、ラリベイはスペインでプレーしていて共通の知人もいたので、少し話しました」

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