日本瓦斯株式会社
株式会社ミロク情報サービス
株式会社H&K
ATHLETA
ゼビオグループ

MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第19節 - 東京ヴェルディ vs 愛媛FC

マッチレポート

【試合展開】

前節、味の素スタジアムで名古屋グランパスとの直接対決を制し、上位争いに食らい付いたヴェルディ。序盤戦の5連勝以来となる連勝を目指す今節は、同勝ち点同総得点の愛媛FCとの直接対決となった。試合2日前に平智広が体調不良で離脱し、3バックの中央には永田充が入り、畠中槙之輔を左にスライドする形でスタメンを組んだ。軽い脳震盪で名古屋戦を回避した高木善朗はベンチスタート。負傷が癒えた井上潮音は、3月25日のFC岐阜戦以来となるメンバー入りを果たした。

 

序盤、ボールを持ったのはヴェルディだった。ボールを細かくつなぎながら相手陣内に侵入し、バイタルエリアの攻略に取り掛かる。7分には、ドウグラスのパスにアランが抜け出し、ペナルティエリアの外から豪快に右足を振り抜いたが、わずかにゴール上へと外れた。流れを切らさないまま15分、アランのパスに抜け出した安西幸輝が右サイドを突破。ペナルティエリアに侵入してクロスを入れると、ゴール正面に走り込んでいたドウグラスが頭で合わせて先制に成功した。勢いに乗って畳み掛けたいところだが、今度は相手にボールを保持されて自陣に押し込まれる展開に。特にピッチを広く使う攻撃に手を焼き、守備時に横に動かされてギャップを狙われた。また、ボールを奪った後のプレーでミスが多く、すぐに奪い返されてなかなか反撃に出られない。一時はボールを持つ時間帯もあったが、フィニッシュまで至らずにボールロストして自陣に押し戻される形が続いた。

 

後半に入ると、試合が大きく動き出す。49分にアランが相手の最終ラインの背後をとって抜け出し、GKと1対1の場面を迎えるが、これは相手GKがブロックして追加点にはならない。逆に前半同様に斜めにワイドにボールを動かす相手の攻撃にマーキングが遅れ、53分に横パスを受けた河原に豪快なボレーシュートを叩き込まれて同点に追いつかれる。その6分後には、右サイドのスペースを使われて数的優位を作られると、マイナスのクロスを白井にフリーで合わされてあっという間に逆転を許してしまう。流れを変えようと交代を用意している間の逆転劇。だが、流れを強引にでも引き寄せようと、予定通り梶川諒太に代えて高木善を投入し、3分後には渡辺皓太に代えて橋本英郎を投入した。フレッシュな選手を入れることで攻撃に変化を加えると、69分、左サイドで切り返した安西の鋭いシュート性のクロスに対して、相手GKがファーサイドに反応する手前でドウグラスが触ってコースを変えてゴールに流し込む。一気に畳み掛けにかかるヴェルディは、直後の70分に内田達也に代えて井上を入れて、ボール支配をさらに高めようと試みる。井上がボールを引き出して高い位置まで運ぶことで、終盤に入ってヴェルディが試合を優勢に進めているかに見えた。しかし、カウンターを虎視眈々と狙っていた愛媛の一手が突き刺さる。アディショナルタイム突入直前の90分、カウンターからワイドな展開でボールを動かされると、右サイドの近藤に豪快に足を振り抜かれてゴールの隅に叩き込まれて失点。5分のアディショナルタイムを残すのみというタイミングで背負ったビハインド。直接対決で敗れるダメージは計り知れない。その可能性が濃厚な時間帯に、それでもヴェルディの選手たちの目は死んでいなかった。90+1分に左サイドを起点に攻め込むと、ファーサイドに飛び込んでいた安在が頭でクロスボールを折り返す際に相手に蹴られる形となりPKを獲得する。これを高木善が冷静にGKの逆を突いて流し込み同点。その後、アディショナルタイムもほぼ終わりかけたラストワンプレーでコーナーキックのチャンスが得るが、畠中のシュートは枠を捉え切れず、直後に激戦のタイムアップの笛が鳴らされた。

 

 

【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】

――左右のウイングバックのポジションで2アシストですね。

「1点目は理想的というか、あれを狙っていたので。2点目はシュートだったのですが、あそこはうまくドゥグがコースを変えてくれて良かったです」

――前半に関してはアラン選手と右サイドで良い連係が幾度も見られましたね。

「アランはタメを作れるので、追い越しやすいですし、タメを作った際にバックでサポートもできます。右だとそういう形を使い分けられるので、そこは良かったと思います。先制点のクロスの場面でもうまくアランがボールを出してくれたので、そこで勝負あったと思います」

――前半20分過ぎまで理想の展開の中、ペースダウンした要因について聞かせてください。

「前半の最後の方からボールを回されていて、後半しっかりと入らないとやられるという気持ちで入りましたが、2発やられてしまいました。あれを抑えられていれば、完全にウチのゲームだったと思うので、そこは課題です」

――相手のマイナスのクロスを警戒していた中、2失点を喫しましたが。

「ミーティングでも言われていた中、そこで2発やられてしまったので、せっかく監督やコーチから教えてもらったことをやられたので、そこは反省したいです」

――2-2からの展開では相手のやりたいカウンターの応酬という展開になってしまいましたね。

「相手のカウンターはかなり速かったので、今日に関しては攻撃をやり切ることが大事でした。シュートやクロスをやり切るという部分を突き詰めないと、ああいうふうにカウンターを浴びるケースは増えてしまうと思います」

――試合終盤は前線の選手もかなり疲労が出ていましたね。

「早い段階で2人ともかなり疲れていました。クロスに合わせる部分で強さを持った2人なので、そこまでは自分たちが持って行ってあげようという気持ちでやっていました」

――橋本選手と井上選手の投入でもう少しボールを持って勝ち越し点を狙いたい状況でしたが、少し難しかったですね。

「シオンとハシさんが入ってボールが落ち着いた部分はありましたが、みんな疲れていたので、もうちょっとコンパクトに戦わないとダメですね」

――後半に関しては相手に走り負けたという感覚でしょうか?

「今日に関してはミスの仕方が悪く、こっちの選手が相手ゴール前に何人も残った状態でカウンターを浴びてしまったので、そこから戻るのはかなりキツいです。だから、もっとボールの失い方に気を付けて、やり切ることが大事でした」

 

 

【試合後選手コメント:DF 19 永田充選手】

――久々の出場となりましたが。

「試合から遠ざかっていたことで身体の方が、あまりしっくりこなかったです。ただ、何本か縦パスを打てて、そこから展開が広がれば良かったですが、辛抱する時間もありましたし、前半の始めぐらいの圧倒する時間帯がもっと長くできれば、良かったですね。3点を取ってもらい、その中で3失点してしまったことは、反省する部分です。マイナスのクロスへの対応は、監督から言われていて注意していましたが、結局そこから2発やられていますし、言われたことに対して同じことをやられてしまっては良くないので、そこはしっかりと反省して次に生かしたいです」

――先制後、チームとして縦への意識が減った部分に関してはどのように捉えていますか?

「ちょっと、プレスは嵌らなくなった印象がありました。同時に1点を取って落ち着いてしまったという印象もあります」

――最後尾からの持ち出しや縦パスなどは個人の判断ですか?

「あそこは入れたいと思っていましたが、問題はそこから後です。あそこでコンビネーションが入れば、もっと良い攻撃や流動的な動きに繋がると思います。ああいうプレーをしてほしい、ということはこちらから要求していかないとダメですし、ドウグラスにもハーフタイムに動き出しをもう一回入れてほしいと、言ったりはしていました。失点以降は落ち着かなければならない中、ふわふわとしてしまい、相手のいいようにやらせてしまったことも良くなかったです」

――悪い時間帯に相手に行き切れない場面が目立った印象ですが。

「ボールの失い方も悪かったと思いますし、安全にプレーするところと、しないところの判断を誤る部分もあったと思います」

――マイナスのクロスへの対応やバイタルエリアで簡単にシュートを打たせないという対応に関して、今日はどんなイメージで進める予定でしたか?

「みんなゴール前に人は居ましたが、マイナスのボールが入った時点で、誰かしら行ける選手がボールに対して行かないとダメだと思いますが、そこの反応が少し遅かったと思います」

――ポジションを守る意識が強いという感覚ですか?

「そうですね。そこで自分の判断で動けるようになれば、もっと良くなっていくと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 20 井上潮音選手】

――試合を振り返ってください。

「僕が入った時点で2-2だったので、残り20分ぐらいある中で点を取って勝てると思っていましたが、前がかりになり過ぎて失点してしまいました。追いつけたことは良かったですが、もったいない試合でした」

――前線の選手の疲労の影響で橋本選手と共にボールを落ち着かせるというタスク遂行は難しかったですね。

「愛媛のディフェンスに高さがないので、クロスを入れていくというプランがありましたが、その中でクロスを上げ過ぎてしまった印象があります。失点場面もクロスのこぼれ球を拾われてカウンターを受けてという形だったので、もう少し僕とハシさんのところでボールを落ち着かせて、自分たちの時間を増やすというやり方も必要だったと思います。それができなかったことは悔しいです」

――消耗する展開の中、久々の出場でしたがコンディション面はいかがでしたか?

「試合の体力は今日やってみて感じましたが、まだ100パーセントではないです。でも、そこは今後プレーしながら戻していければと思います。同様に判断のスピードや技術を戻せれば、十分やっていけると思います」

――珍しく行ったり来たりの展開になりましたが、2-2から勝ち越すチームのゲームプランは?

「サイドに仕掛けられる選手がいて、クロスを上げられる選手がいて、中に高い選手がいたので、サイドからクロスを上げてという形は、チームとして統一できていたと思います。個人的にはそこまで上げなくても自分たちでボールを持ちながら、中から崩せた印象もあります。外を使ったら中が空いてくるので、その部分でもっと臨機応変にやれたと思います」

――前半20分過ぎまで理想の展開の中、ペースダウンした要因についてベンチからの視点で聞かせてください。

「あの時間帯まで自分たちが疲れていない状態でうまく進められていましたが、あそこで1点を取って2点目を取れずに追いつかれてしまう試合が結構多いです。自分たちが良い時間帯に1点だけでなく、2点目、3点目を取りに行くことが大事です」

――先制後の試合運びについてどういう意思統一が行われていますか?

「疲れていない時はスカウティング通りにやれていることが多いのですが、疲労を抱えてくると身体が思うように動かず、思うようなプレーができず、相手に流れを渡してしまう傾向が多いです。その時間帯にいかに我慢して、そこからもう一段ギアを上げることが大事だと思います。そういう時間帯の声掛けをしっかりとやっていきたいです」

――今季は前半に先制すると比較的難しい展開の試合になっている印象ですが。

「攻撃の終わり方だったり、自分たちがリードしている中での運び方はあまりうまくいっていないですね。すぐに攻め切ってしまう選手や、もっとボールを持っていたいという選手もいますし、そこの意思統一ができていないという部分が、苦戦の要因だと思います。1点取った後の試合運びに関してはもっと話し合った方がいいですね。後半の遅い時間帯にリードした試合では、みんなで守り切る、という割り切った戦い方ができています」

――2度のビハインドを追いついた点はチームとしての成長ですね。

「そこは去年と違う部分というか、簡単に負けず、引き分けという結果は相手に勝ち点を与えなかったということでもあるので、そこはポジティブに捉えてもいいと思います」

 

 

【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「前半はゴールまでとても良いプレーができていました。ゴールを奪ってからは深さというか、攻撃の場面で縦への意識が欠けてしまい、パスを繋ぎ過ぎていたと思います。その後、相手にボールを握られましたが、決定機は作らせませんでした。後半はファーストチャンスをゴールにされ、その後は深いスペースを相手に与えてしまい、そのスペースを相手はとてもうまく活用していたと思います。相手の2点目は非常に良いゴールだったと思います。魂というか気持ちと頭を使って同点に追いつくことができました。その後、攻めに行った際、上がったスペースを相手に活用され、3点目を許しました。最後は1点を決めて負けることを免れました。そういった印象を持っていますし、引き分けという結果は妥当な結果だと思います」

――前半は相手に何もさせない守備ができていました。その中で監督が渡辺皓太選手に与えたタスクに関して聞かせてください。

「コウタはすごく仕事量が多く、少し走り過ぎたと思います。ただ、非常に良い仕事をしてくれました。シオンとハシを入れたのは、もっとボールを持ってもっと縦にプレーするために彼らを入れました」

――前半は流動的な動きで相手のマークを剥がした中、最後尾でその役割を担った永田充選手への評価を聞かせてください。

「非常に良かったと思います。彼がビルドアップの技術があることは分かっていましたし、今日も内側へのパスを何本も出してチームのリズムを作っていました」

――失点場面を含めて簡単にバイタルエリアでシュートを打たせてしまった印象ですが。

「相手のマイナスのクロスに関しては分析して警戒していました。その対応のためにトレーニングもしていました。しかし、2点取られました。相手のカウンターに関してはうまくリトリートして良いポジションを取れていましたが、相手のシュートが良かったと思います。ハタのポジションは良かったですが、相手のシュートがそれ以上に良かったと思います」

ホームで同勝ち点の直接対決を引き分けたことは、ネガティブに受け止められても仕方がない。先制しながら逆転を許し、さらに複数失点したことは、これまでのヴェルディの勝利のセオリーからも外れた格好だ。しかし、あの追い込まれた時間帯にありながら、チーム全体が勝負をまったく捨てなかったことは、これまでのチームの成長を物語っている。勝ち点でリードを許さなかったことをまずは前向きに捉え、中3日で続く天皇杯、そして東京クラシックへとポジティブなマインドを維持して臨みたい。

続きを読む

試合一覧へ