MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、最下位だったザスパクサツ群馬に先制しながらも試合をひっくり返されたヴェルディ。失意の中で気持ちを切り替えてトレーニングを積み、今節では勝ち点を取り戻すために強い決意のもとスタジアムに乗り込んだ。メンバーの変更は1トップの位置。高木大輔に代えて北脇健慈を起用し、4-2-3-1のシステムで臨んだ。
試合のイニシアチブは序盤からヴェルディが握った。北脇が前線から猛然とチェイスし、2列目が連動してボールを追い、奪ってからは速攻と遅攻を織り交ぜてゴールに迫る。最初の決定は7分。2試合連続ゴール中の高木善朗がキレキレのドリブルで相手を1枚はがし、2枚目と3枚目に挟まれながらもペナルティエリアに侵入してシュートを放った。セカンドボールもことごとく拾うと、ボールを広く動かして試合を支配する。23分にはバイタルエリアで北脇が反転しながら左足を強振。DFがブロックしたこぼれ球を高木善が拾ってカットインしながらシュートを打つも、またも相手にブロックされた。チャンスは続く。28分、中盤でボールを拾った中後雅喜がスルーパスで澤井直人を走らせる。バイタルエリアで澤井が切れ味鋭いターンで相手をかわしてゴール正面でノンプレッシャーの状態でシュート。相手GKに防がれると、こぼれ球を北脇が追いかけて角度のないところから反転しながら押し込む。これも素早くゴールカバーに戻った相手GKにかき出された。立て続けの決定機をモノにできないと徐々に流れが相手に流れていく。38分にはカウンターから右サイドをやぶられて、ポストに直撃するきわどいシュートを打たれた。
ハーフタイムの冨樫監督の指示は、通常は攻撃と守備の両方のポイントを整理して話すことが多い。しかし、この日は最初から最後までセンターバックを含めて後方の選手たちに“厳しさをもったプレー”を要求した。さぼらずにラインを押し上げて相手を走らせること、そしてカウンターに対してズルズルと下がらずにぶつかっていく厳しさを求めた。
球際での厳しさ、そしてこまめなラインコントロールを意識した後半は、やや序盤の入りで相手にボールを持たれる場面が見受けられた。お互いに中盤で潰し合う時間が続き、後半最初のチャンスは69分。左サイドでオーバーラップした安在和樹のクロスがファーサイドに流れると、構えていた澤井がダイレクトボレーで合わせる。強烈なシュートは枠を捉えたが、DFにブロックされた。ここからお互いに交代カードを切って流れをつかみにかかるが、勝負をものにしたのはヴェルディだった。78分、左サイドで後半から投入されたアランが巧みなトラップで相手DFを引きはがす。そのままゴールに向かってドリブルを仕掛けると、バイタルエリアに入ったところで強烈なミドルシュートを放つ。惜しくもポストに弾き返されたが、ゴール目前にこぼれたボールに澤井、杉本竜士が立て続けに詰めると、粘り強くブロックした熊本DFを尻目にボールはフリーで構えていた高木善の目前にこぼれ、押し込んでゴールをこじ開けた。その後は、前掛かりになる相手に対してアランのスピードを使ってカウンターで反撃に出る。守備陣も身体を張ってゴール前を固めると、リードを守ってアディショナルタイムを迎えた。そして試合が終了する直前、左からのクロスをどんぴしゃのタイミングで合わされたが、これは「ウチにはもうひとりゴールキーパーがいます。カズマが守ってくれました」(冨樫監督)という大きな存在があったのか、ポストに当たってゴールマウスには流れ込まずに、そのままタイムアップとなった。
次節は敵地に乗り込んで京都サンガF.C.と戦う。前半戦で勝利したものの、上位につける相手はホームでのリベンジに燃えているはずだ。そのプレッシャーをいなし、ヴェルディらしい戦いで今シーズン初の連勝を今度こそ達成し、巻き返しのきっかけとつかみたい。
【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】
――試合を終えた率直な感想を聞かせてください。
「本当にこの前は悔しい試合を見せてしまったので、今日はサポーターの前で勝つことができて良かったです」
――ゴールシーンを振り返ってください。
「本当にたまたまボールがこぼれてきて、今自分がノッテいるのでこぼれてきたと思います」
――3試合連続ゴールの全てを利き足と逆の左足で決めていますが。
「本当は右足が利き足なのですが、もっと左足で蹴っていきたいです(笑)」
――3試合連続ゴールはご自身初ですが。
「本当にゴールという結果を出すことは良いことですし、それが勝利に繋がって嬉しいです」
――今日のゴールはチームにとってもご自身にとっても大きなゴールですね。
「そうですね。もっともっと自分がやらないといけないと思いますし、これでチームに勢いが出ればいいと思います」
――前節はご自身のゴール直後に追いつかれて逆転負けを喫しましたが。
「自分が点を取った試合は今シーズン負けていなかったので、この間初めて負けてしまい、本当に悔しかったです。サポーターのみなさんもフラストレーションが溜まっていたので、今日は僕の1点が勝ち点3に繋がって良かったです」
――サポーターに向けて今後に向けた意気込みをお願いします。
「本当に悔しい思いばかりさせてしまい申し訳ないですが、これからも応援をよろしくお願いします」
【試合後選手コメント:FW 29 北脇健慈選手】
――今日は幾つかのチャンスに絡みましたが。
「そうですね。ただ、自分としては点を取りたかったので、残念です。特に、直人が前半にGKと1対1になった場面でこぼれ球を狙っていましたが、少し外に流れたのでトラップするか迷いましたが、角度がなかったので枠に飛んだのは良かったです。ただ、ゴールにならなかったので、FWとして悔しいです」
――前線からの献身的な守備に関してはいかがでしょうか
「前回負けていたので、そういう部分で今日は前からの勢いを持って戦うことをチームで意識していたので、そこは場面場面でできた部分も、できない部分もあったので、次の京都戦に向けてレベルアップしていきたいです」
――久々の試合という部分でシンプルに叩く場面の判断など、連係面はいかがでしたか?
「あそこはチュウさん(中後)にも言われたのですが、ああいうところで自分がキープできるのは分かるけど、もう少しシンプルに叩いてほしいと言われました。そういう部分は次の京都戦に向けて話し合って修正していきたいです」
――久々の試合で気迫がみなぎっていましたね
「そうですね。今日は本当に点を取りたかったです。こうやって守備で貢献したとファンからも言ってもらいましたが、自分としては満足していません。FWは結果が全てなので、次もスタメンで出られるか分からないので、練習からしっかりとアピールしていきたいです」
――点を取れなかったことで、交代の際の盛大な拍手もあまり嬉しくなかったですか?
「いや、嬉しいです。ああやって拍手や自分のことを呼んでくれることは有り難いですが、個人的にはもっと点を取って応援してくれる人を喜ばせたいです。自分のイメージでは点を決めてサポーターと、冨樫さんと喜びを分かち合いたいと思うので、それを早く実現したいです」
――サイドで良い形でボールを奪う場面が目立った中でその後のプレー選択という部分はいかがでしたか
「あそこは数的優位やフリーの選手が居れば、使おうと思いましたが、FWとしてはペナルティエリア内に入ったらシュートを打つことを意識していました。だから、後悔の気持ちもないですが、ああいう場面を今度は決め切りたいです」
――左右でパワフルなシュートを打てるだけに角度があれば、狙っていきたいところですか。
「そうですね。コースさえあれば、もっと積極的に打っていきたいです」
――積極的にシュートを打つ中でこぼれ球への反応に関してチームメートに求めている部分はありますか
「全選手に言えることですが、澤井だったりが打ったときは、自分がこぼれ球に備える。逆に、僕が打ったときには澤井が詰めるというように、チームメートが必ずゴール前に詰めてくれると信じて打っています。それはチームとしての共通意識です」
【試合後選手コメント:DF 5 平智広選手】
――試合を振り返ってください。
「結構、暑さもあって全体的にタフなゲームになると分かっていたので、後ろは相手のカウンターをケアすることを意識して90分間プレーしました」
――前半に関してはボランチとセンターバックの間をドリブルで突かれる場面が多かった印象ですが。
「そこはセンターバックのリスク管理と、前のボールの失い方が悪い部分もあったので、そこで簡単に相手に前を向かれてピンチを招いてしまいました。そこは声を掛け合えば、事前に防げる部分なので、次の試合に向けては修正していきたいです」
――チームの課題である得点後の守備という部分はいかがでしたか
「前回はああいう形で失点してしまい、チーム全体で理解している部分でもあるので、得点した後のプレーは全員が意識していたと思います」
――ラストプレーでクロスバーに助けられるピンチもありましたが
「ああいう場面は絶対に無くしていかないと、勝ち切れない試合が続くことになるので、チームとしてだけでなく、個人の意識の問題でもあるので、簡単に最後上げさせないとか、身体をぶつけるとか、球際の部分で90分間を通してやっていくことが、チームの課題です。
――7試合ぶりの先発でしたが、今日の試合に向けて意識した部分はどこでしょうか?
「自分にとって久しぶりの試合でしたが、周りの選手は普通に試合に出ているので、自分がどれだけ溶け込めるか、スムーズに試合に入ることを意識していました。あとは練習からやっている仲間なので、連携の部分では問題なくやれたと思います」
――今日の試合で手応えを感じた部分と今後に向けて改善したい部分について聞かせてください
「自分が入っても全然やれるという意味で自信になりました。今はチームが勝つことが最優先なので、自分が出たらチームに貢献できるように練習からやっていきたいです」
【試合後選手コメント:MF 14 澤井直人選手】
――今日はよくチャンスに絡みましたが。
「結果が全てだと思います。1本も決められなかったので、一から練習するしかないです。練習で出せないものを試合では出せないと思うので、練習から意識を高めてやりたいです」
――勝利後のコメントにしては渋いコメントですね
「今日は勝ち点3が大事だったので、そこは素直に嬉しいです。ただ、これが引き分けだったら、自分があれだけのチャンスを外したせいだと感じるので、今日は勝てて良かったです」
――先制の場面では詰めていましたが、ボールに触れていませんでしたか
「そうですね。触れていなかったです。それが今日の試合を物語っています。結果論ですが、あそこを一発で決められていればと思います。ただ、ヨシ君(高木善朗)が決めてくれたので、それは良かったと思います」
――今日はチーム全体で前からボールを奪いに行く姿勢が見えましたが
「今週のミーティングで自分たちがもう一度前からプレスに行くというふうに、冨樫さんが話してくれていたので、自分たちが実行するだけだと思いました。この暑い時期にどれだけ自分たちから前に行って、相手を嫌がらせるかが、勝負の鍵だと思っていたので、(北脇)健慈君をファーストディフェンダーとして、そこに連動できて良かったです」
――今日はシュートへの意識やボランチの攻撃参加など、これまでのチームの課題を意識したように感じましたが
「そうですね。まずシュートを打たないと得点は来ないので、シュートを意識すること、セカンドボールへの反応を意識していこうと話していました」
――前半にドリブルでボックス内に持ち込んだ場面で内に切れ込むプレーは狙い通りでしたか?
「外で相手が足を出したタイミングでシュートを打とうと思いましたが、相手が思ったよりも食い付いて来たので、あれは狙い通りです」
――右足アウトサイドでのフィニッシュも狙い通りですか
「あれは自分の癖というか、アウトで行ってしまうことが練習から多いです。それが入っていないので、左足で打っとけという感じですね」
【試合後選手コメント:MF 8 中後雅喜選手】
――試合を振り返ってください。
「今日はそこまで暑い感じはなかったですが、やはり夏はいつもより暑いので、相手もハードワーク、球際の激しさもあったので、少し簡単にボールを失う場面も多かったです。それを避けるため、自分がボールを受ける時は、しっかりと味方に繋いで、自分がサイドに流れたり、その後のプレーでこうしてほしいということは意識しました。あとはボールを失うのがしんどいので、繋ぐようにプレーしました」
――1トップの北脇選手から前でボールを奪う意識が強かったですが。
「そうですね。今日は彼の良さが出た試合だと思いますし、チームにとってああいう選手は良い影響をもたらしてくると思いますし、それが皆さんも見た通りに出たと思います。僕らも凄く彼の勢いというか、前線からのプレッシャーや切り替えで助けられたと思います」
――前半に関してはボランチが攻撃に絡むという部分で船山選手と共に役割を変えながら厚みを加えていた印象ですが。
「1人が前に行って、もう1人が後方でリスク管理をするという部分。攻撃が詰まった時の経由役という関係性は、試合を重ねる毎に分かり合っています。彼とは久々というか、何年も一緒にやっていなかったですが、すぐに感覚も合いますし、お互いによく話しているので、そういう意味でうまくコンビネーションとコミュニケーションを取ってやれていると思います」
――チームの課題である得点後の守備という部分はいかがでしたか?
「失点しなかったので、今日に関してはまだ良かったという感じです。失点をしてもおかしくない場面もありましたし、ここ何試合か、追いつかれたり、ひっくり返される試合もあったので、そういう意味で学べた部分もありますが、何試合も経験しているぶん、試合の中でもみんなで声を掛け合っているので、それが無失点という形に繋がって良かったです」
――次こそ連勝という状況ですが。
「そうですね。連勝できれば、上に上がっていくことに繋がりますし、チームとしても勢いが出ると思います。(北脇)健慈がこれだけ久々に出てやってくれたことは、ここ最近の船山もそうですし、今日の平もそうですが、これまでなかなか出番がなかった選手が、ここにきてチームの勝利に貢献してくれたことは、大きいと思います。チームとしてこの夏場を乗り切って、シーズン終盤に向けて競争して順位も上がれるようにしていきたいです」
【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「自分たちの良さ、また今まで回復しなければならないことが、やはり前にパワーを持って積極的にサッカーをしていくことだという部分で、選手も変えて勢いを持った前半。特に、熊本さんのサッカーに対する想いを含めて、自分たちがそれを守勢に回らないように、積極的にサッカーをしていくということで、今週組み立てていきました。できれば、前半リードをする形で戻れれば、最高でしたが、そういう前半を終えて、また後半ゴールを取っていくというところで、自分たちが奪った瞬間のカウンターのスイッチというか、場所を決めて、そこから追い越す形を意識し、その中でチャンスが生まれるだろうというところで、選手交代をしていき、ゴールを奪えたと思います。また、最後はどうせ下がる ならば、人数をかけて守ろうということで、5-4-1のような形で凌ごうと思いましたが、逆にスペースマーキングなので人を空けてしまい、ああいう形でクロスバーに当てられてしまったと思っています。そこは本当にウチにはもう1人キーパーがいるので、(VERS 55番の岩田)和磨に助けられたのかなと思います。そういうところも含めて、この勝ち点3を生かすべく、自分たちでやっていかないといけないし、この次が自分たちにとって難しいゲームになるので、選手たちともう一度整理して、次のゲームに臨みたいと思います」
――後半頭から二川選手に代えてアラン・ピニェイロ選手を投入した狙いを教えてください。
「二川の体調の問題で、少し予期せぬ交代をする形になりました。そんなに大事には至っていないと思うので、大丈夫だと思います。どのみち、カウンターを打っていく中で、外にスピードのある選手が、より必要となるところで、誰を選ぶかという部分で、アランを選びました」
――二川選手の体調不良は気分が悪いという意味でしょうか?
「そっちではないです」
――勝ち切るという部分で試合を通しての集中力に関しての考えを聞かせてください。
「今日のハーフタイムは守備の話しかしませんでしたし、少し強い口調で守備の部分での修正を自分は求めました。そこで言えば、半歩出るために一番早いのは予測を持った動きだと思うので、それは攻撃にもカウンターの一歩という部分で効いてくると思うので、ハーフタイムに強く求めました。そこが後半少し改善されたからこそ、最後までもったのかなと思います。あれがあのまま向こうもボランチとセンターバックの間を使って、ドリブルで突かれたら、たぶん先に失点する可能性もありえたので、ハーフタイムに修正ができたと思います」