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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第21節 - ギラヴァンツ北九州 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

シーズンはこの試合で折り返しを迎えた。アウェイ連戦となるヴェルディは、昨シーズン5連勝で一気に3位まで駆け上がるきっかけを作った北九州の地で、ひとつでも上の順位へと上っていく新たな流れを作りたいところ。後半戦での巻き返しに向けた切り札として、チームはガンバ大阪から期限付き移籍で二川孝広を迎えた。その二川をベンチに置き、チームは前節から前線の陣容に変化を加えた。2トップはドウグラスと高木善朗を組ませ、右サイドMFには出場停止明けの澤井直人を、左サイドMFには本来のポジションから1列下がる杉本竜士を置いた。前半戦最後の一戦、しかも今季未勝利のアウェイで勝ち点3を奪うために敵地に乗り込んだチーム。しかし、お昼過ぎから断続的に続く豪雨、そして雷によりキックオフ時間が30分延期され、スタジアム入りしながらも待ち時間が長くなる難しい状況での試合を余儀なくされた。

序盤、相手の前への圧力に押されたヴェルディは、低い位置で陣形を組んで撥ね返すことに忙殺される。マイボールにしても相手ゴールへの距離が遠く、なかなか自陣の深い位置で試合が進む展開を変えられない。カウンター気味に迎えた11分のチャンスでは、ドウグラスのクロスに飛び込んだ高木善はハンドをとられてしまった。ようやく流れが変わってきたのは20分が過ぎた頃から。ボール際への相手のプレッシャーに対し、少ないタッチでのパスと素早いサポートでボールを動かして徐々にペースを握っていく。ただし、流れが悪くなるとみるや素早く守備を固めるスタイルに割り切った相手の帰陣も早く、ボールは保持するもののフィニッシュへの糸口はつかめない。しかし、そんな時に頼りになるのがセットプレー。29分、左からの井上潮音のコーナーキックに対して、ゴール前中央でウェズレイが競り勝ってゴール方向にボールが飛び、その先にいた杉本がゴールにプッシュして先制に成功した。

リードして戻ってきたチームに対して、冨樫監督は「ゆっくりとプレーするのとサッカーをするのとは別。ただボールを回しているだけで、こちらからアクションがまったく起こせていない」と、強い口調で選手たちにさらなる奮起を目指す指示があった。その言葉に押されて、序盤はリードを追う相手に対してもボールを保持させず、迫力を持って縦への仕掛けを見せた。ゴールへ向かう姿勢を強めたチームだが、一瞬の隙から一気に試合をひっくり返された。54分、相手GKのロングキックに対して、空中戦での絶大な勝率を誇る井林章が原に競り負けると、裏に抜け出した池元にクロスをあげられ、それを競り勝った勢いのままゴール前に走り込んでいた原にフリーの状態で合わされて同点に追いつかれる。ここでチームとしてお互いを鼓舞して前を向きたいところだが、勢いに乗る相手に対して前に出ることができずにズルズルと下がって対応する局面が増えてくる。流れを変えようと二川の交代を準備していた56分、左サイドからフワリとゴール前にボールを入れられると、これを弾き出そうとバックステップを踏みながらファーサイドに流れたボールに手を伸ばした鈴木椋大とボールに向かったウェズレイが交錯。鈴木はボールに触ったもののクリアし切れず。こぼれ球に詰めていた石神のシュートを交錯した状態の鈴木がなんとか手を出して弾き返したが、これが運悪くゴール前に詰めていた原の正面にこぼれる。思い切り足を振り抜いたシュートは鈴木の股を抜けてゴールへと突き刺さった。逆転された難しい状態で投入された二川だが、ボールが足に付かない場面があったものの、ゴールへ向かうパスで好機を作るなどその才能を発揮。ボールに絡んだ場面では、確実に味方につないでシュートまで持ち込めるチャンスを演出してリズムを作った。77分にはゴール正面のペナルティエリア際でフリーキックを手に入れる。しかし安在和樹が狙ったシュートは、壁を越えたものの落ち切らずにゴールわずかに上をかすめた。ただし、ボールを持つもののフィニッシュの精度を欠き、後半だけで8本放ったシュートはゴールネットを揺らすことなく、後半のわずか3分間で試合をひっくり返され、1-2で敗れた。

前半戦の最後を勝利で締め括れなかったチームに突き付けられたのは下位との差が縮まる残留争いの足音だ。それを振り払って上へと歩んでいくには、後半戦においてハイペースで勝利を積み重ねていくことが求められる。そこで鍵を握るのは、新戦力の二川だ。この一戦も、交代直前に目前で逆転される難しい局面の中、ボールが集まったわけではなかったが、ボールに関与した場面で着実にゴールへ向かうプレーをしてみせた。3試合ぶりにホームに向かう次節のファジアーノ岡山戦では、上位争いを繰り広げる相手に、新戦力の融合を深めて万全の態勢で臨みたい。

 

 

【試合後選手コメント:MF 8 中後雅喜】

――厳しい結果になりましたが、90分を通してどう試合を捉えていますか?

「チームとしてぼけている部分もあるし、チーム全体が集中力を保てていたかと言えば、試合の中でスタートからズレていた部分もあったし、それが結果につながったと思います。前半も良い形はあったし、点も取れたし、その中でもぼけている部分も感じたし、やっぱり集中してこういう試合は天候などもありますけど、集中力という点では欠けている部分が前半からあったし、監督も言っていた通り、仕切り直してしっかりとした戦いをしないといけないと臨んで、案の定後半の入りがあまり良くなったし、失点を続けてしまった。失点してからもバタバタする必要もないけどチームとしての経験はまだまだなチームだなと感じました。相手が緩かった部分もあるし、前半1-0でセットプレーから獲れたし、攻撃の形もできていたので、もう少しピリッとした戦いができないと。悪くはなかったし、ただもっと良くしないとあの結果になると前半から感じたし、ハーフタイムに選手同志でもそういう話をしたし、自分もしたし、監督も言っていたし、そういう結果になってしまうので、ひとつのアンラッキーじゃないし、失点は自分たちのミスから。1点取られるとドタバタしてしまう。そこがチームとしての足りないところ。ただ、結果を出さないと今日も遠くまで来てくれたし、色々と不満も出るだろうし、結果を出して応えるしかないので、次の試合で勝てるようにしたいです」

――二川選手をまだ使い切れなかった?

「フタさんの良さは、ボールに触ってリズムを作ったり、決定的なパスを出すとかですよね。今日もボールに触ればチームの中心というか攻撃の中心というか関わってくる選手なので、もうちょっと厳しい状況でも触らせてあげたりだとか、もっと良い状況だったらもっと良い仕事ができると思うので。その辺を皆が感じないと、途中から入って元気だし能力は元々あるから。もっとボールをあずけて中心としてやってもらうという。皆もそこは経験値というか、フレッシュな選手がどんな選手かと分かった上で、まあ有名な選手ですし、どんな選手かは分かっていますよね。それを生かす方向でやらないといけないですね」

――次節はホームに戻ることができます。

「ホームで負けてはいけないし、むしろ勝たないといけないから、良い準備をして、今回は反省もたくさん出ているから、試合運びだったり気持ちの部分が大きいと思う。そこを修正しながら次の岡山戦は良い相手なので、そういう相手にしっかり戦いたいですね」

 

 

 

【試合後選手コメント:MF 32 二川孝広】

――交代直前に逆転されるという非常に難しい状況でした。

「逆転されて、点を獲りにいかなあかんというタイミングで、なかなかボールも収まらずにリズムに乗っていけなかったかなと」

――合流して全体練習はまだ2日というところで、まだ連携の部分は練習を重ねる必要がありますか?

「途中から入って合わせていくのは難しいところもありますし、もうちょっとやっていかないと良いコンビネーションが出てこないかなと思うので、練習からしっかりとやっていきたいと思います」

――ただ、この少ない時間の中でもチームメイトの個人の特長は頭に入ってきているのでは?

「ある程度は分かってきましたけど、これから良くしていければ」

――二川選手も動き回ってボールを引き出そうとトライをしていましたが、まだ今日はそこまでボールが集まらなかった印象です。

「でもボールをもえらえている時もありましたし、その数を増やしていければと思います」

――チームは非常に厳しい状況に立たされていますが、色々な経験を積んでいる二川選手なりに、どうすればチームの調子が上がっていくと思いますか?

「厳しい戦いが続くと思うので、粘り強くやっていかないと。ギリギリのところで勝ちを拾ってくるとか、そういう部分も大事になってくるので、90分間通して集中してできるように全力でやっていきたいです」

 

 

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「蒸し暑く、また30分遅れるというコンディションの中、遠くまで応援に来てくれたサポーター、そしてメディアの向こうで応援してくれた期待してくれている方々に非常に申し訳ないゲームをしてしまったなと。それに尽きると思います。前半、自分たちは勝っていましたけれど、自分としてはあまり納得のいかないゲームで、ハーフタイムに少し強い口調でミーティングをしたんですが、それがあまりプラスに出なかったのかなと。後半に入るところで、色々な形がある中で、勝っているけれども自分たちが残りの45分を前向きに進もうとしているところでミス絡みで失点をしてまって非常に悔いが残るゲームとなりました。シーズンの前半戦が終わってしまって、なかなか勝ち点がとれない中、選手たちが積み重ねてきた部分がここ何試合かでたくさん見えてきたいので、それを見失わずにより強い気持ちを持って後半戦を戦えるようにしたいと思います」

――ハーフタイムのコメント「アクションを起こそう」というのは具体的にはどういったことを選手に求めたのでしょうか?

「蒸し暑い中で苦しいのは分かっているんですが、落ち着いてやることとゆっくりやることは別だと。相手が苦しいプレーを選択しているのではなく、自分たちが楽になる選択をしているように見えたので、そのへんを強く求めました。本当に強いチームは、あの前半の戦いを1-0で終えるのではなく、追加点を奪うもしくは相手に強い印象を与えて戻ってこなければいけないと思っていましたし、シュートの数ももっと打てたと思いますし、クロスの質ももっと上げられたと思うので、そういう話をしました」

――今19位で、残留ということも意識せざるを得ない?

「残留というのは、最終的な結果の部分で自分たちがどれだけ勝ち点をとれるかだと思うので、一つひとつ目の前の試合で勝ち点を得ていく中で、そういう部分があるのかもしれないし、あるいは連勝することでこの混沌としたJ2でまだまだ上を目指すことも可能ではないかなという風に思っているので、その辺を選手としっかりとすり合わせた上で戦いたいと思います」

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