MATCH試合情報
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【試合展開】
6月の中3日3連戦の最終戦は、敵地フクダ電子アリーナに乗り込んで、ジェフユナイテッド千葉と対戦した。連戦の中で疲労の蓄積もありメンバー構成に若干の変更を加えた。2トップは平本一樹と高木大輔のコンビを起用。右サイドMFには高木善朗に代えて澤井直人を置いた。多くのサポーターが駆けつけてビジターエリアを緑色に染め、ホームさながらの声量でチームを後押しする中、ヴェルディは上々の立ち上がりを見せる。
やや低い位置で陣形を構えたヴェルディだが、球際で厳しく寄せて相手の攻撃のテンポを遅らせ、奪ってからは平本の推進力を生かしてスピーディなカウンターを仕掛ける。シュートまで持ち込めなかったものの、序盤に相手のバイタルエリアに侵入して“あわや”という場面を作り出した。逆に10分には井上潮音が背後から寄せてきた相手にボールを奪われ、ショートカウンターからゴールをかすめるシュートを打たれる。逆に16分にはこの日最初の決定機。平本一樹がバイタルエリアをドリブルで横断しながら強烈なシュート。DFに当たってコースが変わったシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。その後は、サイドで優位性を保つ相手に押し込まれ、自陣で長い時間を過ごす。苦しい時間帯で前に出ていく足が鈍り、ラインを押し上げられずに攻撃も前線のアタックで単発に終わる。一方、守備ではサイドで相手に数的優位を作られてクロスを起点に危ない場面を作られる。2トップを残してほとんどの選手がペナルティエリアまで戻り切って身体を張ってボールを撥ね返し続けたが、そこからマイボールを取り返すところまでは至らずに前半を折り返した。
指揮官から自分たちでアクションを起こして悔いを残さない戦いをするように求められたチーム。しかし、後半の立ち上がりは千葉の前からの圧力と連動性に屈する形となった。49分にはゴール正面でフリーでシュートを打たれるが、素早く間合いを詰めた鈴木椋大が顔面でセーブする。50分に失点をオフサイドの判定で取り消されるも、53分に連動した攻撃からゴール前でマークを完全に振り切られて失点。失点に気落ちする様子はなかったが、前への圧力を強めることもなく59分には右サイドでの1対1の勝負で相手に強引に突破されて追加点を許す。その直後、高木大に代えてドウグラスを、杉本に代えて高木善を投入。これが試合の流れを引き寄せる契機となった。ドウグラスが高い位置でボールを収めて後方から押し上げる時間を作ると、高木善もボールを積極的にドウグラスの側にポジションをとってボールを動かし攻撃のテンポを作り出す。64分にはその高木善からのクロスをドウグラスが粘ってゴールに向けて流し込み、平本がゴールに押し込んだがオフサイドの判定。徐々にではあるが、ボールを動かしながら自分たちでアクションを起こして相手を押し込んでいく。そして74分に試合を動かす。左サイドのやや浅い位置からのフリーキックを高木善がファーサイドの井林章に合わせる。競り勝った井林が頭で折り返し、密集の中でゴールニアに飛び込んだドウグラスが頭で合わせてゴールへと流し込んだ。待ちに待ったブラジル人FWのJリーグ初ゴールで1点を返す。これで俄然活気づいたヴェルディイレブン。ドウグラスのキープ力がサイドの攻撃枚数を確保するのに一役買い、ワイドな展開で相手を揺さぶる。76分には、相手陣内でパスミスを拾った安在和樹がターンオーバーから豪快なミドルシュート。カーブしながらゴールに飛んだ強烈なシュートはポストに弾かれたが、流れをつないで攻め続けたことが結果を呼び込む。78分、カウンターの流れで高い位置をとっていた高木純平が右サイドの浅い位置からアーリークロスを供給。ペナルティエリア内でドウグラスが後方にそらしたボールはわずかに平本に合わなかったが、相手DFの中途半端なクリアが澤井の元にこぼれると、左足を振り抜いたシュートが豪快にゴール左隅に転がり込んで同点に追いついた。しかし、その直後に早くリスタートをしようとボールに向かった平本が相手GKの背後から接触する形となり一発退場処分に。追いついた喜びと1人少ない状態で逆転を目指す不安と両方を感じて戦う状況に。リスタートから4-4-1というシステムを選択したヴェルディは、追いついた勢いはそのままに、守備の部分で集中力を切らさずに対応。ジャッジにナーバスになる場面もあったが、終盤は守備から入る割り切りで逆に安定した戦いを見せた。守備に奔走しながらもカウンター気味に相手ゴールへと向かう場面も作り出していただけに、同点後に11人で逆転を狙えなかった悔いが残る形となった。
後半終盤の勢いを勝利に結び付けられなかったものの、交代策を鍵に流れを変えて2点のビハインドを追いついたヴェルディ。現在の相手との順位を考えれば、敵地での勝ち点1は大きな意味を持つ。次節も上位を争う好調の京都サンガF.C.との戦いが控えるだけに、この粘り強い戦いを勝ち点3に結び付けたい。
【試合後選手コメント:MF 14 澤井直人選手】
――久々の出場でしたね。
「そうですね。久々の出場だったので、その出られない時期に自分なりに試合を見て、自分が出た時にどうしようかということを考えていました。それが上手く出せればいいなと思って今日の試合に臨みました」
――具体的にどんなプレーを考えていましたか?
「自分のストロングである運動量とかを出せれば、チームにとって必ずプラスになると思っていました。そこの部分です。10人になって、結構苦しくなりましたが、チーム全体でかなり走っていたので、それが今後もできれば、もっと良い試合ができると思います」
――ゴールシーンを振り返ってください。
「普段の練習で永井さんとミドルシュートの練習をずっとしていましたし、ここ2、3年ずっとやっていましたし、なかなか結果も出ていなかったですが、永井さんから教えていただいたものを今日出すことができて良かったです。自分自身もホッとしています」
――試合前に永井さんのためにも気持ちを入れてプレーするとおっしゃっていましたが。
「前節、永井さんがああいう形になってしまい、本当に永井さん自身も苦しいと思いますし、それを僕たちが全員背負っていかなければならないと思っていました。今日はそれをピッチで表現できたのかなと思います」
――前半は攻撃面で苦しんでいた印象ですが。
「前半は相手がボールを持つ時間が多くて、自分たちが守備に追われる時間も多かったです。ただ、前半を0-0で終えられましたし、慌てることなく後半を戦おうと話していました。ただ、2失点してしまい苦しくなりましたが、最後まで落ち着いてやれました」
――2失点後も気落ちせずに戦えた印象ですか?
「そうですね。サポーターも良い雰囲気を作ってくれていましたし、絶対に逆転できるとみんな思っていましたし、結果勝ち点1でしたが、それは次のホームゲームに繋げられると思うので、次のホームゲームを頑張りたいです」
【試合後選手コメント:FW 17 ドウグラス・ヴィエイラ選手】
――移籍後初ゴールの感想を聞かせてください。
「すごく嬉しく思っています。一番嬉しいのは初ゴールを決めたことよりも、そのゴールによってチームの引き分けに貢献できたことです。チームはすごく走って努力をして、自分たちが戦う姿勢を見せたと思います。これを今後も続けていくとゴールも増えると思いますし、勝ちに繋がると考えています。とにかく、今日のゴールはとても嬉しかったです」
――前節はPK獲得でゴールのチャンスもありましたが、ここまでゴールを奪えなかったことに関して焦りはありましたか?
「前の試合では自分が獲得したPKでしたが、自分の足の状態が万全ではなく他の人が蹴った方が可能性が広がると思い、自分は辞退して味方に蹴ってもらいました。自分のゴールよりも他の人に可能性があるのならば、チームに貢献するうえで正しい選択だったと思います。今日は自分の番が来て決めることができて嬉しく思います」
――2点ビハインドからの投入でしたが、得点が求められる中でどういうプレーを意識しましたか?
「入る時に0-2で負けていましたが、求められていたのは攻撃してチャンスを作り、自分がゴールを決めることでした。幸いにも自分がゴールを決めることができて、何度かチャンスにも絡むことができて嬉しく思います」
――ヘディングでのゴールは少ないとおっしゃっていましたが?
「去年は1ゴールか、2ゴールしか頭で決めていません。今日はたまたま初ゴールがヘディングでしたが、これからチャンスがあれば、ヘディングでのゴールも増やしていきたいです」
――井林選手の折り返しにドンピシャのタイミングで合わせましたね。
「ドンピシャでした。練習でもイバ(井林)の方にボールが行ったら折り返して自分が合わせる練習をしているので、彼を信じて必ず自分のところに来ると思い、飛び込みました」
――ここ数試合では前を向いて仕掛けるシーンが増えましたが、味方との連係が深まったことが大きいですか?
「毎試合、戦っていく中で他の選手とのコミュニケーション、コンビネーションが良くなっていると感じています。自分も他の選手を知ることで連係は深まりますし、逆に彼らが自分のことを知ってくれれば、良い相乗効果が生まれて、これからどんどんゴールが生まれていくと思います」
【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】
――試合を振り返ってください。
「ジェフもそんなに良かったわけではなく、前半は両チーム共に低調な中、後半に入って2点取られてしまったのは、良くないことだと思います」
――後半途中からの出場でしたが、予定されていたプランでしたか?
「自分自身その前の2試合は良くなかったですし、体調もそれほど良くなかったので時間限定の出場になりました」
――1点目に繋がるFKは狙い通りの形でしたね。
「狙い通り、蹴ることができましたし、狙い通りの形で点を取ることができました。良い時間帯でもあったので、勢いに乗れるゴールでした」
――追いついてから数的不利での試合運びに関してはいかがでしたか?
「あそこで1人減ると、どうしても戦い方が変わってきてしまいますし、11対11であれば、もう1点取りに行けたのかなと思っています。そういう意味では悔しいゲームです」
――試合終盤にはカウンターから逆転を目指す場面もありましたが。
「たぶん、途中から僕とドウグラスが入った意味をみんなが理解していて、点を取りにいくぞという気持ちに繋がったと思います」
――数的不利の中で好調千葉相手の2点差を追いつくドローは価値のあるモノだったと思いますが。
「負けなかったことにとりあえず、ホッとしていますが、負けなかっただけで勝てなかったので、次は必ず勝てるようにこの1週間、しっかりと準備をして臨みたいです」
【試合後選手コメント:MF 8 中後雅喜選手】
――試合を振り返ってください。
「ウチに関しては前半の入りは悪くなかったですが、ただ流れていく中で少し守備にかかる時間が増えて、重心が下がってしまいました。それを改善して後半を迎えて、あまり引き過ぎずという形で勝負しましたが、2つ失点してしまいました。ただ、その中で追いつけたのでそこは良かったです」
――2点ビハインドからよく追いつきましたね。
「セットプレーはここ数年、なかなか点を取れないといわれている中で今年は何本か点を取っていますし、そういう中でドウグラスが点を取ってくれて良かったと思います」
――数的不利の中でカウンターに人数をかけていく場面もありました。攻守のバランスの取り方はどのようにしていますか?
「前の選手というか、カウンターは少ない人数で完結できるというか、今日はディフェンスラインの選手が退場したわけではないので、守備のバランスは崩れなかったです。攻撃に関してはカウンターで点を取ることも大事ですが、カウンターをやり切ってもらい、後ろはちゃんと準備をしていました。『2-2でもいいよ』と声をかけることは、気持ちの部分でマイナスに働きますし、前線の選手は点を取りたい気持ちがあるのは当然ですし、チームとしてもチャンスがあれば、3点目を取って逆転したい気持ちもありました。そういう中で僕や井林、ウェズ(ウェズレイ)もそうですが、リスク管理というか、前に出たぶんのカウンターの管理は準備していれば、そんなに問題もないですし、取れるなら行ってこいという感覚で、そのぶん僕たちが後ろでちゃんと準備しておくという感じでいます」
――前半に関しては同サイドでの展開が多く、逆サイドへの展開が少なかった印象ですが。
「逆に展開したい気持ちも幅を広く持ちたい気持ちもありましたが、今日はなかなかそれがうまくできずにやっていたことが良くなかったです。もっとワイドに揺さぶって、後半はそれができた部分もありましたし、試合の流れの中で色々と変化もありますが、前半に関しては同サイドで寄せてから逆サイドに展開という形を出したかったです。ハーフタイムにもそういう形をやろうという声も出ていたので、もうちょっと前半はサイドチェンジやサイドを変えるプレーをできれば、良かったです」
――今季に関しては今日のようにアウェイでキッカケに繋がるような試合をして、その後の試合で苦しんでいる印象がありますが。
「そこは自分たちで変えないといけないと思いますし、今季に関してはそういうタイミングで勝てていないので、自分たちでそういう試合を勝ちに持っていくというのが、力を試される部分です。今季はなかなかそれができていませんが、そういう指摘をされないように次の試合で勝利して良い流れを取り戻せるようにしていきたいです。それが一番難しいことですが、それが一番僕たちに求められていることなので、やらないといけないことなので、責任を持って戦いたいです」
【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「アウェイですけど、本当にホームのような雰囲気を出してくれるサポーター。そして、こういう雰囲気が大好きな選手たち。自分たちは本当にやってやろうという気持ちでここに来ました。ただ、連戦の疲労なども考慮して前半は少し我慢しながらのゲームを想定している中で、自分たちが勝負どころでどういう選手をどういう形で出すか、という想定でゲームを進めました。前半は少し動かされ過ぎたこと。そこから前に出られなかったことは反省点で後半出る時に、そこを修正していきました。1点目は本当にジェフさんの連動したサイド突破から失点をしてしまいました。そして、そこまでは自分の中で計算していましたが、2点目はミスからやられてしまい、少し誤算でした。それでも、点を取れる と思っていましたし、どういう形で選手を入れて出ていこうか、というところでドウグラスと(高木)善朗を入れてゴールの恐さを出せるようにしました。実際、ドウグラスが来て自分たちが良い形の中で同点まで行けたことは、本当に選手たちを誇りに思います。ただ、その後にレッドカードをもらってしまって、10人になったことは本当にもったいなかったと思いますし、11人対11人であと15分近くを戦えたらアウェイでしたが、もっと勇敢なヴェルディを見せられたかなと思います。ただ、本当にサポーターの応援、選手たちの頑張りに感謝したいですし、自分たちがこういう戦いをできるということを示せたと思います。これで次のゲームに勝つというプレーをもっと出せると思うので、選手たちとまた、少し連戦だったことで休みを考慮しつつ、次のゲームに向かっていきたいと思います」
――後半にノーゴールと判定された際の監督と主審のレフェリングに関する見解の相違について教えてください。
「自分としては何番か分かりませんが、外に残っていて横のパスだったので、オフサイドではないと思っていました。選手たちも良い形でゴールを取れたと思っています。レフェリングのことについては、自分たちがそこのところでそれを抱えているのはずっとなので、すごく言い辛いです。それなら上に上がれということのなのかもしれません」
――ラスト15分で1人少ない中でどんな指示を出して、最後まで勇敢な戦いができたのでしょうか?
「同点に追いついて4-4-1のような布陣になって、どうしてもイケイケになると、サッカーの場合、攻守のバランスというか、攻撃すれば守備のバランスが崩れますし、そこのところでもう一回自分たちが守備からうまくボールを奪い、そこから攻撃のスイッチを入れた時に大きくパワーを出して行こうと指示しました。井林にはそうやって4-4-1になって引かされるけれども、最終ラインをコンパクトに、ラインを細かく上げて下げてという作業を繰り返すように伝えました」
――『このような戦いができる』とおっしゃいましたが、選手交代以外に澤井選手の献身的な守備など大きく流れを変えた理由について考えを聞かせてください。
「自分が思うところでは攻守の中でサイドハーフが持っている役割、サイドバックが持つ役割は非常に大きく、体力的にもキツいタスクがあったと思います。その中で前半は比較的に縦一辺倒ではなく、自分たちがボールを動かしながら縦パスを狙って厚みを持って、人が走る時間を作りながら、距離感を良くしていこうというサッカーをしていく中で、後半に選手交代を含めてそこに厚みを持ってサイドハーフの澤井が中に入ったり、善朗が中に入ってサイドバックに追い越させて2対1を作る。クロスに対して、そこからプラスのボールであったりを出せたことが、すごく走る時間であったり自分たちが押し込んでカウンターの危険を見るような時間をディフェンスの面でも作れたのは、大きかったと思います」
――ドウグラス選手と高木善朗選手の投入でここまで流れが変わると意図していましたか?
「自分としては最悪でも0-1であれば、ああいう形で変えられると思っていましたし、選手たちの中でも彼らが入った時にスイッチが入ると思っていました。そして忘れてはいけないのは、そこまで変えるところまで(高木)大輔と(杉本)竜士が力を出してくれたことが、大きいと思っています」