MATCH試合情報
MATCH試合情報
【試合展開】
連敗の後に引き分けを挟み、必勝を誓った前節でまたも敗戦を喫した。再起を誓った今節はホームにファジアーノ岡山を迎えた。残り7試合となり、自動昇格争いやプレーオフ圏内争いが激化していく中、ここ4試合ゴールから遠ざかっているヴェルディにとって、何が何でもゴールを挙げ、何が何でも勝ち点を積み上げたい一戦となった。ヴェルディはここ数試合のノーゴールの流れを変えるべく、メンバー構成とシステムを変更。1トップに負傷明け初スタメンの平本一樹を起用。右FWに南秀仁、左FWにアランを置き、2シャドーに中後雅喜とブルーノ、アンカーに三竿健斗を起用する4-3-3システムを選択した。
守備ブロックを固めてカウンターに出る相手が多い中で、今日も岡山はヴェルディのパスワークを警戒し、無理にボールを奪いにはこない固い戦い方を選んできた。ヴェルディはカウンターのチャンスではサイドを起点に好機を作り、相手に引かれた場合にはやや攻めあぐねる状況が続いた。最初のチャンスは18分。西幸輝がオーバーラップの勢いのまま右サイドからアーリークロスを供給すると、ゴール前に飛び込んだアランの元へピンポイントで噛み合う。アランのジャンピングボレーは枠を捉えられなかったが、豪快な形でゴールの予感を感じさせた。しかし、先制点は思わぬ形で相手に転がり込む。29分、カウンターの流れから矢島が思い切りよく放ったシュートが、佐藤優也が懸命に伸ばした手を弾いてゴールに転がり込み、攻勢を続けていた時間帯に点を失う形になった。その後、ヴェルディはセットプレーに活路を見出す。33分、コーナーキックのこぼれ球に三竿が反応し、狙い澄ましたミドルシュートを放つがゴールカバーに入っていたDFにクリアされた。41分には中後の狙い通りのフリーキックにアランが頭で合わせるが、相手GKの好守に阻まれ、1点を失った状態で前半を折り返した。
ハーフタイムに冨樫監督は、3トップの個性に合わせて使い方に変化をつけ、FWを上手く使いながら2列目以降の選手がチャンスに絡んでいくスタイルを強調。その指示通り、後半の序盤から3トップを活用して相手を押し込み、同点ゴールを呼び込むような雰囲気を作った。そして、セットプレーが続いた49分、待ちに待ったゴールが生まれる。左から中後のコーナーキックがニア寄りに立った平本に合う。相手に競り勝った平本のヘディングシュートは相手DFにクリアされたが、こぼれ球に寄せた福井諒司よりも早く相手DFがクリアしたボールが味方に当たってそのままゴールイン。前半から可能性を感じさせていたセットプレーを契機にようやくゴールが生まれた。J2通算250得点目の節目のゴールを皮切りにラッシュしたヴェルディは、リスクを背負って前線に人数を掛けて、相手を自陣内に押し込んでチャンスを窺った。61分にはミドルシュートがポストに直撃する運にも恵まれ、相手の攻撃を瀬戸際で食い止めて反撃に出る。ここからは圧倒的にヴェルディがボールを支配する。ディフェンスラインを高く設定し、クリアボールを高い位置で奪い返して厚みのある攻撃を展開。結局、最終的に後半だけで15本のシュートを放つなど、相手陣内のバイタルエリアに何度となく侵入してチャンスを作った。しかし、平本、アラン、南、途中投入の高木善朗などがゴール前でシュートチャンスを得たが、割り切って人数を掛けてペナルティエリア内とゴール周辺を固める相手のブロックを崩し切れず。80分には左サイドからアランが供給したクロスが中央から流れ、ファーサイドでフリーで待つ高木善へ。狙い澄ました高木善のシュートはGKを破ったが、ゴールカバーに入ったDFに枠外へとかき出された。終盤にはお互いに縦に早い展開でオープンな内容となり、アディショナルタイムには絶対絶命のピンチも迎えたが、2度続いた相手のフリーの状態でのシュートを佐藤が神懸かり的な反応で弾き出して勝ち越しは許さず、なんとか勝ち点1は獲得した。
ホームでは勝利こそが絶対的な結果ではあるが、前々節の福岡戦での勝ち点1と同様に、一つでも多くの勝ち点を積んだことが最後に大きな結果につながるはず。逆に言えば、この勝ち点1を無駄にしないためにも、次節から2試合続くアウェイ連戦で結果を残すことが求められる。残る6試合で一つでも多く勝ち点を積み上げ、最終的に“約束の地”へと迎えるように、まずは次節からのアウェイ行脚に勝利し、ホームへと帰ってきたい。
【試合後選手コメント:FW 25 平本一樹選手】
――久々の出場でしたが。
「個人的にリーグ戦は久々で、チームの流れが悪くなっている感じの中での先発起用でした。僕がケガをしてサブに回っている間も監督を始め、コーチもすごく良い雰囲気を作ってくれていましたし、チームには大先輩の永井さんもいるので、メンタルを気にしながらやってくれていたので、そこらへんに関しては恩を返さなければいけないと思っていましたし、それにはゴールが必要だと思っていましたが、ゴールを決められなかったので、そこは申し訳ない気持ちです。ただ、久々に出て負けなかったので、少しホッとしている部分もあります。もちろん、悔しいのは悔しいですが」
――個人的にはゴールまであと一歩という場面がありましたが。
「さっき(羽生)社長とも話しましたが、個人的に惜しい感じのものが多いので、いつもそんな感じですね」
――オウンゴールという形ですが、チームとして5試合ぶりの得点で今後に繋がったのではないでしょうか?
「点を獲るとチームのみんなでワッとなって喜び合える特別なものがあります。みんなも久々に味わったと思いますし、あれが癖になってどんどんみんなが得点を獲れたらいいと思います」
【試合後選手コメント:DF 5 福井諒司選手】
――久々の出場でしたが。
「この3か月ぐらいの間、なかなか試合に絡むことができなかったので、正直なところものすごく悔しかったですし、今日の1試合に懸ける気持ちは大きかったです。チームも最近は勝っていないですが、プレーオフ圏内という良い位置にいるので、そういった中で自分がチームの力になれるようにという気持ちで思い切って試合に入りました」
――チームが4戦未勝利という難しい中での出場という部分では気持ち的にいかがでしたか?
「正直なところ、チームも大事ですが、今までなかなか出られなかったという部分が大きかったので、今日は自分の持てるものを全て出してやろうという気持ちが強かったです」
――攻撃の場面では何度か良いクロスを供給するなど、積極性が光っていた印象ですが。
「コーチからも体力がもたなくてもいいから思い切ってやってこいと言われていたので、自分が何をできるかを考えながら、思い切ってミスを恐がらずにやることがチームのためだと思ってやっていました。もっと改善する部分もありますが、思い切ってできたことは良かったと思っています」
――守備面に関してはシステム変更の影響も含めて相手の3トップに対して、1ボランチの脇のケアなど難しい対応が多かった印象ですが。
「そうですね。特に、前半は相手の2シャドーが落ちてきてキープされることが多かったので、そういうところをしっかりと潰さないと、相手のゴールにも繋がってしまいます。ただ、それは個人ではなくチームが連動していれば、大丈夫だったのかなとも思っています」
――セットプレーに関しては安在選手にはない高さという部分で貢献できたのではないでしょうか?
「自分は中で合わせる仕事なので、安在は安在で良いキックがあるので、同じポジションでもストロング、ウィークは違うので、自分のできることを今日はやっただけです」
――試合直後にピッチにうずくまっていましたが、あの時はどんな心境だったのでしょうか?
「あれは悔しいというのが一番でしたが、久々の出場だったので、かなり疲れました。ここから勝ち点を獲るのは非常に難しいですが、自分のようなこれまであまり出ていなかったプレーヤーがしっかりと力になっていかなければならないと思いますし、チーム全体が一致団結してやっていくことが大切だと思います」
――久々の出場に加えて、かなりの上下動にも関わらず、よく動けていた印象ですが。
「そうですね。自分でもどうかなと思っていました。ちゃんと身体が動くのか、多少不安な部分もありました。ただ、自分の中でやるしかないという気持ちが強かったので、これをもっと(攻撃参加の)回数を増やせるようにしていきたいです。後半は回数が減ったので、もっともっとチャンスに絡めるようにしたいです」
――システム変更に関しての手応えはいかがですか?
「前半よりも後半良くなっていたので、もっと深めれば良くなっていくと思います。ただ、システムにこだわらず、自分たちの運動量や動きが大事だと思います。守備ではアンカー脇のリスク管理など難しい部分もありますが、今後も継続していけば、オプションの一つになると考えています」
【試合後選手コメント:MF 8 中後雅喜選手】
――オウンゴールで追い付いてからの試合運びに関してどのように捉えていますか?
「追いついたタイミングというか時間が良かったと思います。後半の立ち上がりにすぐに追いつけたのは良かったですが、あとの決めるところが課題です。あと何度かピンチもあって最後は(佐藤)優也が止めてくれたというのはありますが、全体的にああいう流れで点を獲れれば、一番良かったです」
――攻め方に関してはいかがでしたか?
「ちょっと、裏を狙う場面が多かったですし、アラン(・ピニェイロ)のスピードを生かそうとし過ぎる場面も多かったですね。それによって相手が引いてずっと繋ぎながらという形が多かったです。ただ、そんなに悪くなかったと思います。ここ最近、勝っていないですが、内容はそんなに悪くないので、ちょっと噛み合えば、点も来ると思います。ただ、正直勝ち点3がほしかったです」
――今日の勝ち点1で5位に浮上しましたが。
「これも運がいいというか、僕たちがやっていることが生かされる段階にありますし、やっぱりこういう順位にいれて結果が伴っていない中でもまだこの位置にいれるので、このチャンスを生かしていければいいですね」
【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「どちらも上を目指す順位を狙う位置にいるので、激しいゲーム、苦しいゲームになるという中で、自分たちはこれまでの積み重ねの上に新しいものをということで、今日はシステムを変えて戦いました。前半は少し守備のところでリスクがあるという部分は覚悟のうえで、自分たちの良さもたくさん出たと思います。しかし、ちょっと先に失点をしてしまいました。ただ、後半に入る中で修正して、より攻撃的に出るというところで、序盤から躍動感もあったと思いますし、そういうシュートチャンスも作れて、結果的に今日公式記録を見たらシュートがウチが24本と相手が15本という、お互いにスリリングなゲームになったと思います。もちろん、引き分けていいと思っているわけではないですし、ここから勝っていくことが自分たちにとって大切なわけですが、そういう思いがありながらサポーターのみんなが終わってヴェルディコールをしてくれて、自分たちがここから6試合、よりサポーターともに力を出して臨んでいきたいと思いました。それについてすごく感謝しています」
――ブルーノ・コウチーニョ選手が今季最高のパフォーマンスを見せてくれたと思いますが、シーズン終盤に入っての変化について聞かせてください。
「やはり自分がブルーノの良いところを引き出し切れていなかったことが、もったいなかったと思っています。今日のシステムを含めて彼のストロングな部分。またはその先で自分たちがスピードを持ってシュートのシーン、クロスに入っていくシーンを作り出すための、ブルーノに対しての周りの動きという部分に関してもすごく良かったと思います。もちろん、あれぐらいやってくれていると思っていましたし、そこからもっと決定的なパス、自分でゴールを獲れる選手だと思っています。ここからの6試合、もちろんブルーノだけではないですが、ここからチームのレベルが上がって6試合を迎えられると思っています」
――システムを4-1-4-1に変更した狙いと評価を教えてください。
「自分の中では4-3-3-のイメージで、中盤をアンカーとインサイドハーフのトライアングルにした中で、自分たちが4-3-3になることで、良いファーストディフェンスの奪い方をしていく。その中で前を向いた選手の中後であったり、ブルーノであったりというところと、前の選手のスキルとスピードを生かせるのではないかという中で、今日のシステムを選びました。特に、相手とのシステムの噛み合わせという部分で、FWにたくさんの仕事をしてもらえるという期待も持って臨みました。全体的にいえば、もちろんそうなってくると守備のリスクが高くなっていきますが、後半はその起点をよく潰していましたし、人数が同数になっても粘り強くやっていく中、攻撃のところで決定的なチャンスもいくつか作れたと思います。初めてにしてはすごく選手たちがゲームの中でトライをしてエラーをして、それを改善してくれたという部分では、自分たちのもう一つの上積みになったのかなと感じています」
――5試合勝ちなしですが、勝てない部分に関してどのように捉えていますか?
「去年の自分たちに置き換えてみれば、ここのところの勝ち点1は非常に大きいですし、勝ち点1を獲るという部分では、守備の集中力を90分間続けていかなければ難しいと思っています。ここ最近、勝っていないという部分に関しては、今日もゴールカバーに2、3人入っていてかき出される、あるいはオウンゴールになっているけど、あそこの場面でもキーパーの後ろに敵が2人いて、ああいうところがこの先のゲームでは多くなっていくと思っていますし、本当に厳しい戦いになっていくと思います。ただ、それと同時に残りのゲームの中で自分たちと順位の近いチームとの試合が6試合のうちの3試合あるという部分では、向こうも攻撃して勝つということをしてくると思うので、そこに関して自分たちも自 信を持って戦えると思います。それ以外の今日みたいなゲームを勝っていく、点を獲るための攻撃の質やシュートの本数は非常に大事になっていくと思います。もしかしたら、今日シュート数が20本を超えたからオウンゴールに繋がったのかもしれませんし、続けていくことが自分たちにとって非常に大事なのではないかと思っています」