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MATCH試合情報

2015 明治安田生命J2リーグ 第13節 - 京都サンガF.C. vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

ゴールデンウィークの過密日程5連戦も最後を迎えた。1勝1分2敗という成績のヴェルディにとっては、成績をイーブンにして通常スケジュールに戻る試合に弾みをつけたいところ。今季初のアウェーでの勝利も視野に入れ、京都に乗り込んだ。スタメンの顔ぶれは、前節のジェフユナイテッド千葉戦で相手を圧倒した構成のそのまま。この選択が前半の内容を決定づけた。

序盤から球際での激しさを武器に相手を押し込んでいったのはヴェルディだった。なかなかフィニッシュまで持ち込めないものの、高い位置でコンパクトな陣形を保って小気味良いパスワークからチャンスを窺う。ボールを失っても、素早い攻守の切り替えから相手にプレッシャーをかけてミスを誘い、ほぼ一方的にボールをコントロールして試合を優位に進めていく。徐々に相手ゴール前にボールを運んでフィニッシュに持ち込む場面が出てくると、31分に試合が動く。杉本竜士がクイックネスを生かした動き出しで相手選手を引き出し、中央のスペースに平本一樹が飛び込む。絶妙なタイミングで中後雅喜から縦パスが平本に入り、反転した平本は寄せてきた相手を勢いにのってかわしゴールへ。飛び出してきたGKの出端を挫き、左足アウトサイドで浮かしたシュートがゴールへと吸い込まれていった。試合を支配しながらゴールが遠かったチームに勢いをもたらす先制点が生まれた。

引き続き素早い攻守の切り替えとサイドを起点にした攻撃をハーフタイムに確認し合ったチームだが、勝負を決めたい後半は徐々に暗雲がたちこめていく。先制されたホームチームが前掛かりに出てくるのに対して、徐々に最終ラインが下がり始め、FWからの連動した追い込みがはまらなくなってくる。逆に2点目を急いで極端に人数を割いて攻撃を仕掛け、サイドからの横パスをさらわれてカウンターを受ける場面が出始める。そんな中でも試合を決定づけるチャンスは作り出した。72分、杉本へ長いボールが入り、近くに寄った平本に合わせて杉本がスペースへワンタッチでボールを流す。スピードを緩めずに走り込んだ平本がゴールに迫ると、必死に寄せてきた相手DFをいなして横パス。逆サイドから走り込んでいた南秀仁がフリーの状態でボールを受けて、前に出てきたGKをかわしながらループシュート。ゴールに向かったボールだが、いち早くカーバリングに入ったDFにライン手前で止められた。ここから流れは一気に相手へと傾いていく。82分、左サイドを伊藤に突破されてペナルティエリアの深い位置まで侵入を許す。マイナス気味のクロスに対して、ニアサイドに飛び込んだダニエル・ロビーニョがワンタッチで合わせてゴールをこじ開けられた。こうなると、スタジアムの雰囲気は俄然ホームチームの逆転ムードへと一変する。前半とは打って変わって躍動感を持って仕掛けてくる京都の選手に対して、ヴェルディは自陣に貼りついて身体を張って撥ね返すのが精一杯。ボールを奪っても低い位置に人数を割いているため、なかなか前線に押し上げていく推進力が出ない。むしろ、あわやという場面を必死で守り切ったといえる展開で、前半とは打って変わって苦しい形で試合を引き分けてに持ち込んだ。

2試合続けての引き分けは、決めるべき場面を作り出しながら決め切れず、勝ち点3をとり切れなかった印象が強い。1週間の準備期間ができる次のホームでの徳島ヴォルティス戦に向けて、今一度すべてをリフレッシュさせて勝ち切るチームへとステップを踏んでいきたい。

 

 

【試合後選手コメント:FW 25 平本一樹】

「前半は流れが良いなかで、竜士との関係がすごく良いので、竜士が動いてくれて空いたスペースに自分がいるだけで、そこに中後からすごく良い縦パスが入ったのでもう自分が振り向いて決めるだけでした。前半は自分たちのペースだったし、やっていてもすごく楽しかったんですが、後半はちょっと流れを持っていかれてしまってちょっとしんどかったですね。(その原因は?)チーム全体の力じゃないですかね。もったいないですね。若いチームだから経験だと言われがちですけど、もうそろそろ途中から出た若い選手が頑張れないと。逆に京都の選手は途中から出た選手は、流れをグッと持っていったじゃないですか。若い選手が途中から出て、ミスをするしないの問題ではなくて、監督やコーチから何を求められているのかをもう一度自分で考え直してやっていけないとチームとして土台を築くのは難しいかなと。こっちを脅かしてくるぐらいの動きをしてくれないと、チームとしては底上げを図っていけないですよね。(連戦を振り返ると?)まだ身体が動くし、それが確認できました。もう歳かなと思っていたけど、こうやって連戦を乗り越えられたので、まだまだいけるなと逆に自信になりました」

 

【試合後選手コメント:MF 20 三竿健斗】

「守備が仕事なので、それをやり切るだけでした。最近は球際でしっかりと奪い切ったり、パスを読んで危ないゾーンへのパスを止めるようなプレーがなかったので、調子が戻ってきたかなと感じました。つなぎの部分はあくまでシンプルに、自陣ではセイフティに確実にやることを意識していました。前半はずっとボールを持っている中で、2点目が取れたら完全に試合を決められたと思うんですが、そこをとりきれなかったというのが勝ち切れなかった要因だと思います。攻撃であまり貢献できない分、守備でなんとかチームの役に立ちたいという想いがあったので、中盤の底で球際に厳しくいって奪い切れていたのは良かったと思います。自分のところで結構ボールを奪えていたので、本来のプレーは取り戻せてきていると思います。いつ出ても自分のプレーが出せるように準備してきたので、今後もそれを毎試合のように続けていくことが大事だと思います」

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「連戦の最終戦であり、自分たちは6試合をひとつのクールとして考えている中での第3クールの最初の一戦でしたが、今日の試合をしっかりと勝ち切って終わりたいということでシュートの意識を含めて選手たちは戦ってくれました。結果的に良い時間帯での2点目がこなかったこと、また悪い時間帯に自分たちが何をしないといけないかという点をチーム全体での統一がされなかったこと、それは自分の采配の部分だと思うので非常に悔いています。ただ、同点に追いつかれてから、ピッチ内が逆転されるような雰囲気になってしまった中でも、選手たちが最後まで身体を張ってアウェーで勝ち点1をとってくれたことに感謝をしています。また、サポーターが必死に応援して支えてくれたことが、最後まで集中力が途切れなかった要因だと思うので、そこは非常に感謝しています。自分たちがここからもっと上に行くための準備を、少し休んでまた心と身体と頭をリフレッシュさせて、次のゲームに是が非でも勝ってひとつでも上のステージに立って自分たちがやれることをもっと出していければと思っています。また、そういう采配ができればなと思っています」

――後半の采配という点で、オープンな展開でミスが命取りになりかねない状況の中で、どんな采配ができたのか? また、序盤から杉本選手が菅沼選手に激しくチェイスしていたのは、試合前からのゲームプランだったのか?

「最初の質問への回答ですが、まず一番に怖いのはカウンターで、大黒の動き出しに対する2シャドーの動きが一番自分たちにとっては優先順位としては高かったです。その中で、自分たちが内側のパスを――京都の選手はテクニックもあるし――切るというのが第二の優先事項でした。ですので、自分たちが後半の良い時間帯の時にカウンター気味にスイッチが入って数的優位の中で攻め切るのはいいのですが、そうでない時にサイドにボールが入ってサイドを割っていってもう一回局面を変えて動き直しをしている選手とクロスを入れてシュートを決めて終わりたい選手とチームの中で割れてしまったかなと感じます。そこがよりチームがオープンな陣形になって、コンパクトに戦えなかった一つの要因だと思います。なので、自分が途中で永井を投入したのは、そういうボールを動かしながら厚みをもって攻撃をしてボールを奪われた瞬間にまた厚みを持って守備をするという意図でした。次の質問ですが、基本的にスタートは相手のボランチへのパスを消すということ、そして3枚のセンターバックにボールを持たせるというのがプレッシャーに行く一番のスタートでした。そこで平本がボールとは逆のサイドから追いかけていってボールを外の2番の選手にたまたま出させて、そこに杉本がプレッシャーに行っただけで、逆に杉本がプレッシャーに行って、逆サイドの22番の選手にボールを持たせて平本がアタックするという場面も自分の想定の中ではありました」

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