MATCH試合情報
MATCH試合情報
【試合展開】
前節、首位の湘南ベルマーレを相手に5試合ぶりに敗戦を喫したヴェルディ。アウェー連戦となる京都サンガF.C.戦では、勝ち点を得てもう一度自信を身に着けたい一戦となった。ヴェルディは右サイドバックに田中貴大を起用、安西幸輝を1列前に出してサイドMFに置いた。
序盤はやや京都ペースで試合が進んでいった。ゴールを量産している大黒将志を中心にボールを保持し、サイドの選手が絡みながら攻撃を仕掛けてくる京都に対して、ヴェルディはマークをハッキリさせてマッチングを徹底して自由にボールを持たせない。プレッシャーを掛け続けると京都側にミスが目立ち始め、13分にはカウンターからスペースへ抜け出した菅嶋弘希が決定機を迎える。左足を振り抜いた一撃はゴールにつながらなかったが、素早く相手のウィークポイントを突くサッカーで、ヴェルディも反撃の一手を見せた。ただし23分にニウドの不用意なクリアを大黒に拾われ、GK佐藤優也と1対1の場面を作られるピンチも招いたが、これは佐藤のビッグセーブで乗り切る。その後も、やや京都がボールを持つ時間が長いものの、ヴェルディは堅牢な守備ブロックで隙を作らずに決定的な場面はほとんど作らせなかった。
前半の課題となったのは、固い守備で奪ったマイボールを攻撃につなげるのに時間がかかったこと。三浦監督からは守備から攻撃への素早い切り替えと前線へのサポートの重要性について指示があり、勢いに乗って反撃に出ることが後半のポイントとなった。実際、この指示通りにチームは守備からの切り替えでスピードアップしてみせた。スペースへFWを走らせてサイドMF、ボランチ、サイドバッグが次々にサポートに入る。足が止まった京都の陣形が間延びしてくると、中盤のスペースでもボールを回せるようになり、つなぎながら隙を窺う余裕も出てきた。65分には、カウンター気味に鈴木惇が抜け出し、相手DFの背後のスペースにグラウンダーのスルーパスを供給。これに反応した安西幸輝がフリーの状態で飛び込んで合わせたが、この試合最大の絶好機も相手GKのファインセーブに阻まれた。スペースを上手くついていこうと前田直輝を投入すると、タメが作れる前田のキープから攻撃参加の枚数を増やして厚みのある攻撃を仕掛けられるようになった。ただし、ボールを保持するものの攻め切れないでいると、運動量を取り戻した京都に流れが傾いていく。そして、試合終盤の87分に、思い切りの良いミドルシュートを契機に押し込まれて失点。チャンスを作り出しながらも、これを決め切れずに勝機を逃して連敗を喫した。
次節からのホーム連戦では、チャンスを決め切って連勝して波に乗ることが求められる。連敗から見えた課題と収穫を見つめ直し、また地道にトレーニングを重ねていい準備を積んでいく。
【試合後監督コメント:三浦泰年監督】
――試合を振り返ってください。
「90分プラスアディショナルタイムを通じて、若い選手たちを中心にアグレッシブに躍動する形で、最後まで全員で勝ち点3を狙いにいくサッカーができたのではないかと思っています。自分たちの良さと相手のウィークな部分をしっかりと頭に入れた中で、当然相手には個の力があってスキルの高い選手が何人かいるわけですが、相手のそうした選手たちをしっかりと抑えながら、自分たちの良さを出して相手のウィークな部分を攻めるというプランの通りに、しっかり集中してやり切ったんじゃないかなと感じています。最後、陣形が間延びして裏のスペースへのスプリントが少し遅れがちになっている京都に対して、しっかりと走れる選手を増やして勝負に出て失点してしまったことを考えると、やはり辛抱強く最後まで焦れないで力を出し切れるかがサッカーでは大事なんだと感じた部分はあります。ただ、全てが結果論になる訳ですから、我々が強気で相手ゴールを割りに行くという姿勢は今後、チームの勢いや結果というものに必ず繋がっていくと信じています。こうしたトライが将来に向けて必ず蓄積されていき、悔しい思いやゴールを取りに行った姿勢が未来に反映されていくのではないかなと思っています。前半、少しボールロストが多かったですが、後半は修正してボールも動かせていたし、相手を後手にするような作業はできていました。決定的なシーンも作っていたので、後はそういうところをしっかり決め切るところ、そこがある意味課題ではないかなと思います。こうした暑い日に、雨だったり晴れだったり落ち着かない日に、サポーターが東京から来てくれて最後まで我々を鼓舞し、叱咤激励してくれて、終わった後も支えてくれました。そうしたヴェルディに携わる、あるいはヴェルディのことを想う人たちのために、こういう悔しさをしっかり自分たちのものにして、次からのホーム2連戦でしっかりしたサッカーを見せて、一番いい結果を出せればと思っています」
――中後選手の投入の意図は?
「横谷がトップ下気味にCB2枚の前に入って、マッチアップのところで考えると大黒と三平がセカンドストライカー気味に動いてくるというところで、横谷が空いてくるところを中後がしっかりつかむ。そして、前に前田とニウドと安西を置いて、奪ったボールを相手の裏にフィードして、相手のディフェンスの背後を狙って行ける様な形を狙いました。残り時間というのもそんなに多くなかった。守備のところはボランチも含めて安定していたから、崩したくないという気持ちもありました。ただ、その時間帯でスコアレスというところで我慢して、最後は自分たちで自信をつけるために勝ち点3を獲りに行くにはどうしたらいいかを、今日から久永コーチがインカムを持ってスタンドに入り、ベンチとのやりとりの中で見ていました。質問の中後というところは、横谷のところを空けさせずに、攻撃のところは相手の裏を、疲れから空いてくるだろうから3人を走らせるために、いいボールを供給して欲しいと言いました」
――前半、特に京都を押し込みましたがが、ゴールのためのワンプレーを引き出すためにどう取り組んでいきますか?
「作りだしていくところまでは1試合の中で何回かはあるのかなと感じています。もちろん、相手との力関係もあるので、そういう意味では数多く作るというのはなかなか大変な作業だと思いますが、彼らが相手のバイタルエリア、ペナルティエリアのところに向かって行って、ある意味、フィニッシュしていくためのイメージは持っていると思います。もちろんトレーニングの中でもそういう現象を繰り返しトレーニングしていますが、相手のネットを揺らすというところまではなかなか至っていません。変な言い方ですけど、そうした部分は教えられるものでもないと思います。もっともっと強いメンタルともっともっと強い責任感がプレーの中で出てくれば、崩したところから相手のネットを揺らすことができるのではないかと思います。ただ、クロスの精度であったり、ゴール前への入り方であったり、または前を空かせてシュートをフリーで打たせるための動かし方であったり、そういうものは毎週毎週トレーニングやっています。その本番が今日こういうシュート数であったということです。まだ公式記録の数字を見ていないので具体的には言えませんが、数字は悪くてもやっているサッカーは良いという印象を持つことが多いと思います。後はどう決め切るかということを、やっぱり選手もこだわっていきたいと思っているでしょうし、私もそこをトレーニングから促していく作業を根気強く、諦めないで行なっていきたいと思います。言い方は変ですが、土を耕す作業ではないですけど、そういうい気持ちでコツコツとやっていきたいと思います」