MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、敵地でカマタマーレ讃岐に勝利し、今シーズン2勝目を挙げたヴェルディ。今節は、ホーム7節目にして今シーズン初勝利と連勝を懸けて、4位と好調のギラヴァンツ北九州を迎えた。森勇介を出場停止で、平本一樹を怪我で欠いた本日は、今シーズン初のメンバー入りとなった田中貴大を右サイドバックに起用し、安西幸輝を右サイドMFに配置。2トップには常盤聡と、この日が19歳の誕生日の菅嶋弘希を組ませた。
序盤からリズムに乗ったのはヴェルディだった。最終ラインから人数をかけてボールをつないでくる相手に対して、2トップが前線から積極的にチェイスし、高い位置でボールを奪ってショートカウンターでチャンスを作り出した。自陣深くまで侵入される場面もあったが、身体を張った守備から素早く切り替えて、2トップに早いタイミングでくさびを入れて反撃に出た。その流れが先制点を呼び込む。14分、相手のミドルシュートをブロックしたこぼれ球を菅嶋が拾い常盤聡へ縦パス。背負ったDFを剥がした常盤がドリブルで敵陣に侵入。3、4メートルほど進んだ場所から、GKの位置を見て大胆にロングシュートを放った。これがGKの頭上を越えてゴールに吸い込まれ、意表を突いたシュートで先制に成功した。ここで守りに入らず、チームは前に出た。リスタートの直後から平静を取り戻そうとつないでくる相手に猛チェイス。連動したプレスからボールを奪って鈴木惇が惜しいミドルシュートを放った。やや落ち着いた展開になってきてからは、北九州がボールを持つ時間が延びていき、ヴェルディはブロックを敷いて撥ね返し、カウンターから反撃の機会を窺った。
後半に入ると、やや長いボールを使い始めた相手に対して、最終ラインが粘り強い対応を見せてチャンスを作らせない。菅嶋が前線から労を惜しまない追い込みを見せて、そこに常盤、安西、安在和樹、鈴木が連動し、決して引いて守るだけではなく、ラインを高く保ってコンパクトな陣形から積極的な守備を見せた。攻勢に出たい相手の出端を挫いてカウンターを仕掛けると、サイドを起点にして相手ゴール前にボールを運んで決定的なチャンスを何度も作り出した。75分にはセットプレーのこぼれ球を田村直也が蹴り込んでゴールネットを揺らしたが、これはボールに触った味方がオフサイドをとられてノーゴールに。ボールをもたれる展開が多いながらも、攻守ともに要所を締めて決して相手に主導権を譲らなかった。これまで課題とされてきた試合終盤の守備の綻びも見られず、北九州のパワープレーも井林章の空中戦の強さを生かして撥ね返した。
ここまで苦しみ続けた末に手にしたホームでの今季初勝利。これに慢心することなく、しっかりとした姿勢で日々のトレーニングを積み重ね、まずは次節のロアッソ熊本戦で、昨シーズンもできなかった3連勝を目指す。
【試合後選手コメント:FW 21 菅嶋 弘希選手】
――今日は平本選手に代わって常盤選手と2トップを組みましたが手応えはいかがですか?
「いつも一樹さん(平本)が出ているところを見ていて、すごく存在感があるなという印象を持っていました。ただ、自分は一樹さんと同じプレーはできないので、自分は自分のプレーをしっかりと出して守備で貢献しようと思っていました。そういう意味では少しは貢献できたと思っています」
――試合前にはどういうことを心がけていましたか?
「いつもと特に違うことを考えたわけではないですが、点を取ることを心がけていました」
――常盤選手との連携はいかがでしたか?
「特にやり辛さもなかったですし、練習通りにやることができました」
――今日の試合では自分の持ち味をどれぐらい出せましたか?
「裏に抜ける動きとかは出せていたと思います。ただ、シュートシーンでの落ち着きなどは、今後に向けた課題だと思います」
【試合後選手コメント:MF 23 田村 直也選手】
――待望のホーム初勝利でしたが?
「選手がというか、選手だけでなくサポーターにとっても待ちに待った勝利だったと思います。ただ、まだまだ勝ちに慣れたチームではないので、こういう連勝は大事ですし、これをきっかけにひとつでも上の順位に上がっていきたいです」
――今日の試合に向けてどういうゲームプランを持っていましたか?
「やっぱり、先に失点した試合はなかなか勝てていないので、後ろは今まで以上に集中していこうというのは選手間で話していました。前半に常盤が良いゴールを決めてくれたので、最近はそこまで失点するイメージもありませんでしたし、手堅く行くことを考えていました。その中で2点目を奪いに行くことに関しては今後の課題です。それでも、辛抱強く後ろもやっていましたし、こういうゲームで2点目、3点目を奪うまでには至っていませんが、それができるようになればもっと順位も上がっていくと思います」
――今日の試合で良かった部分を教えてください。
「ブロックで守るということに関しては成果が出てきていると感じています。夏場にそれだけでは勝てていけないので、得点を奪う方法も考えていかなければなりません。自分個人としては、相手へのチェイスやボールを奪いに行く部分はできていましたが、少しボールの奪われ方が悪かったのは、課題だと思います。ただ、攻撃への一歩というところではある程度できていたと思います。でも、チームとしてはまだまだです。1点リードで試合終了間際に失点するという苦い思いもしてきているので、追加点を奪うことは課題ですね」
――追加点を奪って試合を楽にする上で重要なポイントはどこにあるでしょうか?
「1点を取ってからの戦い方は間違っていないと思いますが、どこかで2点目を奪えるシーンでそれを決め切ることができていないです。そこで点を取れるような戦い方をしないと、安定した勝ちにはつながらないと思います。ここ2試合は1―0で勝ち切れましたが、1―0で終わるだけでは見ている人も“まだまだなのかな”と思ってしまいますし、点差を付けて勝つということは今後突き詰めていきたいです」
――サポーターはホーム初勝利に相当喜んでいたようですが?
「アウェイでは勝利してサポーターと喜びを分かち合うことができましたが、ホームにしか来ることができないサポーターの方もたくさんいますし、そういう人たちと一緒に喜ぶことができたのは、本当にうれしかったです。今日は来ることができなかった方とも一緒に勝ってラインダンスをやりたいです。まだ、ホームで勝利する喜びをサポーターに与えることができていないので、今後も勝っていきたいです」
――最後にサポーターへのメッセージをお願いします。
「この5連戦で2勝できたわけですが、これから中1週間でしっかりと休養を取れるので、そこからしっかりとした戦いもできると思います。もう一度選手たちは一丸となって勝利を目指していくので、また応援をよろしくお願いします」
【試合後選手コメント:FW 9 常盤 聡選手】
――素晴らしいゴールでした。ゴールシーンを振り返ってください。
「試合の始めから相手のGKが高いポジションを取っていたので、チャンスがあればシュートを狙っていきたいなと思っていました。そして、良い形で前を向くことができたので思い切って打ったら、入ってくれました」
――ゴールを含めて今日のご自身のプレーはいかがでしたか?
「もっとアグレッシブに行かなければいけなかったです。前線から相手に脅威を与えるようなプレーをもっと90分通してやらなければダメです。そういう部分が今後の課題だと思います。とにかく、良い形をもっと長い時間続けていけるように、また次節からやっていきたいです」
――ホーム初勝利の感想を聞かせてください。
「ホームでずっと勝てていなかったのですし、サポーターやスポンサーの方、ヴェルディに関わる全ての人が待っていたものだったので、それを今日達成することができて本当に良かったです」
――サポーターは本当にうれしそうでしたね。
「そうですね。今日久々にサポーターの人たちとああいうダンスを通して勝利の喜びを分かち合うことができたので、本当に勝利するということは良いものだと改めて実感することができました。そういう瞬間をもっともっとみんなで分かち合うため、僕たちはピッチで表現できるように、また練習からしっかりとやっていきたいです」
――菅嶋選手との関係性はいかがでしたか?
「各々が自分のプレーを積極的にやれるように集中していました」
――菅嶋選手が最前線で競る場面が多かった印象ですが、2人の間で役割分担をしていたのでしょうか?
「いや、それは流動的にやろうと話し合っていました。今日はたまたま弘希(菅嶋)が前で競る場面が多かっただけですね」
――追加点を奪うためにどこを改善すれば良いでしょうか?
「守備面はある程度安定してきて、それが自信になっていますが、その守備の負担を減らすためにもっと攻撃が頑張らないとダメです。今日の試合に関しても絶対2点目を取れるチャンスがありましたし、そういうのをしっかりと取り切れるように攻撃のバリエーションであったり、クオリティを上げていかなければならないと、感じています」
――次節の熊本戦に向けて意気込みをお願いします。
「1週間空くのでしっかりと準備をして、ここで連勝できたという事実をひとつの自信に変えておごることなく、練習からしっかりとやっていきたいです」
【試合後選手コメント:DF 20 田中 貴大選手】
――今季初出場の感想をお願いします。
「やっと試合に絡めるようになったので、出場するからには絶対に勝ちたいと思っていました。結果、勝つことができたので良かったです」
――本職の右サイドバックでのプレーはいかがでしたか?
「試合に出たらやれる自信はあったので、今日の試合に出る準備はきっちりとしていました。自分のプレーはまだまだですが、今日はチームの勝利という結果につながったので、そこは良かったと思います」
――1列前の安西選手との連携はいかがでしたか?
「ユースのときから一緒にやっているので、すごくやりやすかったです。攻撃だけでなく守備もやってくれたので助かりました」
――今日のご自身のプレーの採点は何点ぐらいでしょうか?
「50点ぐらいですね。もうちょっと攻撃面でチームに貢献したかったです。でも、守備は“ゼロ”で終えることができたので自信になりました」
――今後に向けた意気込みをお願いします。
「今日はホーム初勝利を手にすることができたので、チームも自分自身もこの勢いに乗っていけたらなと思っています」
【試合後選手コメント:DF 15 井林 章選手】
――2試合連続クリーンシートで守備陣としては手応えがあるのではないでしょうか?
「守備陣だけの成果ではなく、前線からの守備や中盤の守備意識など、チームにまとまりが生まれた結果がここ2試合の結果につながっていると思います。そこはディフェンスラインだけでなくGKを含めて、11人の団結力だと思うので、それを今後につなげていきたいです」
――今日はチームとして良いゲームコントロールができていたのではないでしょうか?
「そうですね。ボールを持てるときはしっかりと持つことを意識していました。相手もうまいので、自分たちの守備から入る姿勢を崩さず献身的にやることができました。運動量が落ちてもやることは変わらないので、そこは90分間通して徹底できたことが結果につながったと思います」
――相手は4位のチームで、違うタイプのストライカーが4人いるやりにくい相手でしたが、守備としてはどういうアプローチで臨みましたか?
「監督もずっとミーティングから言っていたのですが、FWの動き出しを相手が見ているので、そこを自分たちが離さないようにマッチングの部分を意識していました」
――今日は鋭い読みから良い形のインターセプトを何度も見せていましたね。
「思ったよりも相手がサイドに流れるよりかは、間にパスコースを作ってクサビを入れてくることが多かったのですが、うちも前からしっかりとプレスがかかっていたので狙いやすかったことが、そういう守備につながったと思います」
――なかなか複数得点を奪えないことについてはどのように考えていますか?
「守備あっての攻撃だと思いますが、1―0で堅く勝てる試合も大事ですし、今日は相手もボールを持つ時間が長かったので、2点目を狙うのはなかなか難しかったと思います。ただ、自分たちの形を作って、自分たちの流れのときにしっかりと決め切ることが大事だと思います。そこは自分たちのできることを練習からやって今後に生かしていきたいです」
【試合後監督コメント:三浦泰年監督】
――試合を振り返ってください。
「13節にして、やっとホームで勝てて、やっとこの2014年シーズンをしっかりとスタートできたと思っています。1勝すると次の試合がまた重要だなと思う性格です。ただ、選手が戦術的な意図を汲んだ中で、プラン通りに試合を進めていって、最後までアグレッシブにゴールに向かい、守備の時は相手に自由を与えないで90分間プラスアディショナルタイムまで戦ってくれたことに感謝しています。待たせてしまったサポーターには、本当に待たせすぎてしまったなという気持ちでいます。ただ、待たせた分もこれからもっと良いサッカーを見せながら勝ち点3というものを掴んでいって、ホームで強いヴェルディというものを確立していきたいと強く思っています。今シーズン、北九州が4位 にいるというのは、偶然ではなく、本当にしっかりとした戦術的な中でしっかりとしたサッカーをしていると分析の中で思っていました。中4日で初日の1日目を休養に使い、3日間で相手をしっかり知るということ、相手をリスペクトして戦わないと、北九州のペースになることは分かっていたので、相手のリズムを出させないようにと思っていました。前半にウチが点を取れたので、後半相手が少しサッカーをシンプルにしてきたことによって、ゲームはこういう流れになっていったのかなと思っています。難しい試合というふうに例えるのが正しいのかは分かりませんが、どの試合も難しい展開になる中で、最後までしっかり集中して戦うことができたなというふうに思っております」
――最後、中後選手を入れてシステム変更した意図を教えてください。
「前線の2人の足が止まったからというわけではありません。実際に4-4-2という形で最後に相手に攻め込まれて放り込まれても、または、彼らがポゼッションしてビルドアップしてきても、最後まで崩れることなく選手が集中していたと思います。今日は田中が初出場していますので、周りとの連携という意味で、危ないシーンがあったのですが、それをしっかり後半に修正して、守備のところは安定していました。選手交代をどうしていくか考えた中で、追加点がほしいと思っていましたが、守備が崩れない限りはなかなか動けないという判断の中で時間を費やしていきました全て攻撃を仕掛けて終わるという時間帯が続いたので、ある意味 いいテンポとリズムで攻撃もできるようになってきていました。それを考えると、選手交代は、最後にはっきりと勝ち点3を取りに行くと決断した時だなと思っていて、姜と直也(田村選手)もハードワークでかなりの疲れが見えていたのですが、彼らを代えることよりも、中後を真ん中に入れて3ボランチ気味にすることを選びました。1トップの常盤が、自分の決勝点で勝利したいと感じていれば、菅嶋が下がっても、モチベーションをもって1枚であそこを走り回ってくれるんじゃないかなと思っていました。それを伝えなくても、常盤は最後までそういうプレーをしていましたし、中後の経験値からいって、その役割を一番把握していると思っていましたので、彼を真ん中に入れて3ボランチ、2ワイド、1トップ気味にしました」
――以前に比べてチームとして大きく改善された印象ですが、特にどこが良くなりましたか?
「正直、何か特効薬というか、すごく効く薬があってひとつのことが変わったというふうではないと思っています。日々のトレーニングから試合に向けた準備、試合で起こったこと。それがしっかりとした準備ができていながらも、結果が付いてくる試合ができない。あるいは内容という面でもトレーニングでできたことが試合でできないということを積み重ねてきた中で、選手が一つずつ修正することにしっかりと耳を傾けるようになってきたのではないかと思っています。それは気持ち良くサッカーをするだけではなく、汗をかくことや水を運ぶことなど苦手なプレーも含めて、これをやらなければ欲しい結果が近づいてこないという意識を頭に入れる選手が増えてきた気がします。その中でどうやって戦って行くのか、私自身理想に向けてひとつのことを積み重ねていくのではなく、自分たちに足りないものや自分たちに起きたこと、それはつまり残念ながら良いサッカーをしていても結果につながっていないということです。そういった状況を踏まえて、チームとしてただやり方を継続するのは適当ではないと感じていました。もちろん、続けて行くものはありますが、そこには修正しなければならない部分もあるので、自分たちのウィークをストロングに変えるために、一辺には変えることはできませんが、アプローチが少し変わってきているのではないかと思っています。ひとつ勝って安心することなく、この試合での修正部分を今後につなげていきたいです」