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MATCH試合情報

第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦 - 東京ヴェルディ vs V・ファーレン長崎

マッチレポート

【試合展開】

リーグ戦も佳境に差し掛かる時期に始まった天皇杯。ヴェルディにとって大会の初戦となる2回戦が、ホームとも言える味の素フィールド西が丘で行なわれた。アマチュアチームと対戦するJクラブも多い中、ヴェルディが戦ったのはJ2で3位と躍進するV・ファーレン長崎。今後のリーグ戦の行方を占ううえでも、自分たちの流れを上向きにするためにも重要な対戦相手、大事な一戦となった。先週のFC岐阜戦に続いて、この日も巻誠一郎がスタメンで起用され、これが試合の結果を左右することになった。

試合前から小雨が降り続き、ややスリッピーな状態になったピッチの上で試合がスタートした。お互いにノーガードで打ち合うような序盤の展開から、徐々にヴェルディが細かいパスワークからチャンスを創出する。迎えた12分、細かいパスワークからペナルティエリアの左サイドのスペースに常盤聡が抜け出してシュートを放つ。GKを抜けたボールをファーサイドで巻がスライディングをしながら押し込んで先制に成功する。早い時間帯の得点が安心感を生んだのか、ここからヴェルディは押し込まれてしまう。相手の猛攻を受ける時間帯が続くと、36分、44分とサイドを起点にしてスペースを突かれて立て続けに失点。序盤の前向きなムードが一変して前半を折り返す。

細かく修正を施して迎えた後半、リードを追うヴェルディは一転して攻勢に出た。鋭い出足でボールを奪取すると、焦らずにピッチを広く使いながら長崎を揺さぶっていく。54分には、左サイドからのクロスに反応してゴール前に飛び込んだ西紀寛が絶好機を迎える。シュートはGKに弾かれたが、密集の中に飛び込んできた関光博が誰よりも早くボールを捉えて、相手のブロックの足を弾き返すような勢いでゴールへと押し込んで同点に追いつく。ここからは完全にペースを握り、関がフリーで飛び出してGKと1対1を迎えるなど、幾度となく決定機を創出して逆転に向けて流れを手繰り寄せていく。やや長崎に押される時間帯もあったが、守備陣が前半の反省点を生かしてチャレンジ&カバーを徹底してボール際に激しくチェイス。その頑張りに応えたのが、FC岐阜戦に続いてチャンスを得た巻だった。試合終盤の87分、相手ボールを奪うと、石神直哉のパスに小池純輝が反応して左サイドを駆け上がる。これに呼応して巻がファーサイドからゴール前に飛び込み、小池からの絶好のクロスをダイビングヘッドで合わせて逆転のゴールを叩き込んだ。

残り時間も上手く使ったヴェルディが3-2で試合を終わらせて、天皇杯3回戦へと駒を進めた。また、来週から再開するリーグ戦に向けて弾みとなる勝利を挙げた。

 

 

【試合後選手コメント:FW 18 巻誠一郎選手】

――試合を振り返ってください。

「やっぱり天皇杯は一発勝負の大会ですので、もちろん内容も大事ですが、それよりもまずは結果が大事だと自分に言い聞かせながらプレーしました。とりあえず、勝つことができたので良かったと思います」

――この試合で2点を奪い勝利に貢献しました。ご自身の手応えはいかがでしょうか。

「延長戦もありますし、延長戦まで行ってしまうとチームとしても苦しいので、周りの皆を助ける意味でも決めることができて良かったです。後ろの選手たちはかなり守備に追われていましたし、そういう中で90分間の中で“自分が決めてやろう”という気持ちは持っていましたし、それを上手く形にすることができました」

――1点目は常盤選手のシュートを滑り込みながら押し込む形でしたが?

「早い時間帯に点が取れればと思っていましたし、僕自身も集中してゴール前にいたので押し込むことができて良かったです。触らなくても入っていたか、微妙なところでしたが、確実に押し込みました」

――勝利を決定づけた3点目は体力的に厳しい中でのゴールでしたね?

「そうですね。体力的にも厳しかったです。後ろの選手たちは闘う姿勢を見せてしっかりプレーしてくれていましたし、僕たち前の選手は絶対に点を取ろうと思っていました。だから、ここ(得点の場面)で走らないと自分がいる意味がないと思って、自分の仕事だと思ってフィニッシュのためゴール前に走り込みました」

――公式戦2試合連続ゴールを記録して自信がついてきたのではないでしょうか。

「前節、ああいう形でスタメンで使ってもらって、今回も引き続き使ってもらっているので、そういう中で結果を残したいという想いは強いです。やっぱり、個人のそういう気持ちはチームにとってもポジティブに働くと思いますし、すべてはチームのためにと思ってやっていたので、そういう意味ではとても良い流れだと思います」

――チームとしてはJ1昇格のために残り10試合を戦うことになりますね?

「そうですね。非常にプレッシャーのかかる残り10試合になりますし、そのプレッシャーの中で力を発揮しなければならないと思います。僕自身としてはしっかり自分の力を発揮してチームを助けることができると信じながら、1試合1試合やっていきたいです」

 

【試合後選手コメント:MF 35 関光博選手】

――久々の試合で結果を出すことができました。今日の試合を振り返ってください。

「常に準備はしていましたし、勝利に貢献することができて良かったです」

――今日はどんな気持ちで試合に臨みましたか?

「いつも出ている森さんの代わりとして出場しましたが、森さんの代わりではなく自分らしいプレーを出そうと思っていました」

――ウイングバックは攻守における重要なポジションですが?

「点を取ったプレー以外はあまり良くなかったので、練習から努力して修正できればと思います」

――ウイングバックでは攻撃でチャンスに絡むプレーが求められますが、そういう意識はありましたか?

「攻撃だけでなく攻守に絡めるように心掛けてプレーしました」

――2点目の場面を振り返ってください。

「“こぼれ球来い”と思っていたら本当に来たのでそれを押し込むことができました」

――こぼれ球の位置を読んであのポジションにいたのでしょうか?

「たまたまですけど、狙ってはいたのでボールがこぼれてきたところをきっちり入れることができて良かったです」

――やっぱり、目に見える結果を残したいと思っていたのではないでしょうか?

「そうですね。アシストなり点を取ることは狙っていました。でも、それ以外の部分ではまだまだでした」

――今日のゴールでレギュラー奪取に向けてアピールできたのではないでしょうか?

「やることは変わらないので、いつから頑張るとかではなく、シーズンを通してしっかり努力することが大事だと思います。だから、今後も努力を続けていきたいです」

――久々のフル出場でしたが疲れはどうですか?

「トレーニングマッチとかではやっていました。もちろん、公式戦とは違いますが、しっかりトレーニングを積んでいるので、問題はなかったです」

――リーグ終盤戦に向けて意気込みをお願いします。

「すべての試合に勝てるように日頃からしっかり準備をしていきたいです」

 

【試合後選手コメント:DF 6 福井諒司選手】

――試合を振り返ってください。

「前半最初の失点場面では自分がマークについていましたが、簡単に振り切られてシュートを打たれた結果、それが失点につながってしまいました。2点目に関してもカバーに回りましたが、カバーし切れずにシュートを打たれてしまいました。でも、後半に向けてチーム全体で気持ちを切り替えて良い入りができましたし、そこでしっかり点を取ることもできたので、それが大きかったです。後半はそんなに相手の流れにしませんでしたし、ゼロで抑えることができました。そういった部分もあって、逆転勝利につながったと思います」

 

 

【試合後監督コメント:三浦泰年監督】

――試合を振り返ってください。

「我々にとってこの天皇杯と残りリーグ戦10試合というのは非常に大事な試合だと思っています。特にリーグ戦に関しては、残り10試合を戦う上で、今日の天皇杯でどういう内容でどういう結果を残すかというのが、私にとってまたはチームやクラブにとって非常に大事な試合だと自分は考えていました。だからこそ、やはり非常に難しい試合になりました。我々が先制点を取りながらも、相手の攻撃というものを受けてしまう時間帯に逆転されてしまいました。ただそれを跳ね返すというメンタリティ、しっかりとしたイメージがあったということは、非常に良いことでありますし、それが最後の逆転につながったのではないかと思っております。点を取った選手を見ても分かるように、Jリーグでなかなか出番がなくて辛抱していた選手が、こういう形で前節の岐阜戦も含めて結果を出したということは、チーム力を上げることにもつながりますし、充実した選手層ではなかったとしても、既存の選手で厚い選手層を作っていく良い循環になってくれればいいなと思います。または、良い流れになってきたのかなとポジティブに考えて、この後につなげていければと思っています。細かい戦術的な部分や、展開に合わせて我々がどう対応したのかということは今後10試合でも非常に重要なものになってくると思います。そういう意味では、天皇杯を1試合勝ったからといっても、そうした戦術的な部分について言及することはあまり理想的なことではないと思いますので、あまり多くを語らずに次のリーグ戦に向けて準備をしたいと思います」

――残り5分まで選手交代を我慢していた印象ですが、交代のタイミングについてどんな考えを持っていたのでしょうか?

「数多くの意図が含まれているのですが、“こういうタイミング”というのが今後10試合で必要になってくると思います。自分の中ではある意味イメージ付けて、意図があって、我慢していた部分もありました」

――先日のホームゲームでも長崎に先制されながらも逆転で勝利していました。そういった長崎との相性が今日でも優位に働きましたか?

「今シーズンの長崎の活躍を見ても、単なる相性という部分や、また力の差みたいなものを感じてこの試合に臨んだわけではありません。分析しながら、長崎はやはりリーグ戦で3位のチームだなと感じておりましたし、今日の試合でも彼らのしっかりとした戦術やコレクティブなサッカーを感じながら試合を進めていました。そう考えても、今日の試合は我々に少し勝利の流れというものが来たという印象です。だから、相性で勝ったとは思いません。ただ、我々が良いイメージを持って、難しい状況の中でも精神的にフラットな状態、つまり平常心を持って後半に臨むことが大事であると思っていました。その中で、選手たちがプレーしながら、雨が強くなるのか弱くなるのか、ピッチがどういう状況 になるのか、そういうものを自分たちでしっかりと判断した上で、自分たちのサッカーをやろうとしたのが、後半の逆転につながったと思っています。だから、今日の勝利の要因は決して長崎との相性や力の差ではないと思います。長崎は非常に素晴らしいチームをJリーグ参入1年目で作っているなと実感しています」

――今日2ゴールを決めた巻選手について、彼がこのチームで果たしている役割について意見を聞かせてください。

「彼が辛抱してきて、こういうチャンスをしっかりつかもうと真面目にプレーしている姿は、若い選手が控えに多い我々のチームにとって、または下部組織という、なかなか苦しむことが少ないユース年代の選手たちにとって、学ぶものが多いものではないかと思っています。ただ、彼にとっては若い選手に何かを残すだけでなく、彼自身が今までやってきた、歩んできたものをより輝かせることが大切でした。または、より輝きを大きくするためにこのシーズンがあると思いますし、彼はこのチャンスをしっかり生かしているなと思います。(今日の結果は)そういう中で彼が陰でしっかりと準備し、努力してきた証明だと思います。これを残り10試合で続けていかなければならないですし、それを続けることで、彼がチームにもたらすものが非常に大きくなっていくと考えています」

 

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