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2013 Jリーグ ディビジョン2 第27節 - アビスパ福岡 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

最近4試合を2勝2分けの負けなしで戦い抜き、徐々に上昇気流に乗りつつあるヴェルディ。今節は、開幕戦で惜敗したアビスパ福岡と敵地で対戦した。育成組織から福岡で育った鈴木惇にとっては、移籍後初の凱旋試合。また、三浦泰年監督も現役時代にプレーしており、飯尾一慶キャプテンも在籍歴があるなど、関わり深い相手との一戦となった。

序盤から試合のペースを握ろうとアグレッシブに前に出たヴェルディだが、守備に移った際に相手のマークがずれてゴール前に押し込まれる場面が増える。深い位置まで押し込まれるため、カウンターに出ようにも前線へのサポートが遅れて攻撃が単発に終わる。マークが後手に回った展開を変えることはできず、26分にミドルシュートで失点。同じように押し込まれた状態で36分にこぼれ球をプッシュされて追加点を許してしまう。反撃に出たいヴェルディは、セットプレーに活路を見出す。前半の終盤には、ゴールこそならなかったが、セットプレーを起点に惜しい場面を作り出した。

「新しい試合を戦う気持ちで臨もう」と三浦監督から檄が飛んだ後半、ヴェルディは選手の配置を変えてピッチに立った。この采配がズバリと的中する。指揮官の檄で勝利への欲求を呼び覚まされた選手たちの鬼気迫るプレーもあって、後半開始直後から福岡を圧倒して押し込む時間帯が増える。前線からのプレスも機能し、攻守ともに素早く切り替えて相手より先んじてプレー。この試合でJリーグ通算100試合出場を達成した常盤聡に決定機が訪れるなど、前半とは一転して相手を攻めたてる。迎えた60分、サイドを大きく揺さぶり、右サイドの森のクロスを中央で常盤がスルー。左サイドから走り込んできた飯尾がダイレクトで合わせて1点を返す。なおも攻めたてるヴェルディは、福岡のカウンターをケアしながら、DFの刀根なども攻撃参加もあって、優位に試合を進めていった。攻め込みながらもなかなかゴールが生まれない焦れそうな展開の中、90分にようやく同点ゴールが生まれる。サイドから組み立てながらもゴール前を固める福岡に隙がない中、ペナルティエリアの右脇から森勇介が豪快にシュートを叩き込んで土壇場で追いついた。アディショナルタイムの表示は4分。ここで落ち着いてしまうかと思われたが、ヴェルディの選手たちは攻撃の手を緩めない。相手の反撃を凌いで迎えた、90+4分のラストワンプレー。カウンター気味に抜け出した高原直泰の右側に刀根、左側に中島翔哉が抜け出し、数的優位の決定機を作り出す。高原は中島にパスを供給し、中島がDFとGKを前に強シュートを放ち、これがDFに当たってゴールに流れ込み、劇的な形で逆転に成功した。横浜FC戦に続く敵地での逆転勝利は、あまりにも劇的な形で決着した。

 

 

 

【試合後選手コメント:FW 7 中島翔哉】

――今シーズン初ゴールについては?

「ただ無心でした。タカさんがお膳立てしてくれて、後は決めるだけという状況でした。刀根君が右側に行っているのが見えたので、逆に走ったほうがいいと思って走り込んだらパスが出てきました」

――難しい状況で投入されましたが?

「リードされている時間帯だったので難しさもありましたが、自分自身はサッカーができているという喜びを感じてプレーしていました。それが結果につながることになって、良かったと思っています」

――監督からの指示は?

「いつも通り、『点をとってこい!』と言われました。これまではその指示に応えることができていなかったので、今日、ようやくゴールという結果が出て、チームの勝利を引き寄せることができてうれしいです」

 

【試合後選手コメント:MF 24 安在和樹】

――初出場の瞬間は?

「緊張で頭が真っ白でした。とにかく、頑張ろうという気持ちひとつでした」

――監督からはどんな指示が?

「とにかく前に仕掛けていくように言われていたので、ボールを前に運んで、相手のゴールに近づいていくことを意識していました」

――1-2という難しい状況で投入されました。

「確かに難しい状況ではありましたが、チームが良い流れで攻めることができていたので、自分もそこに乗っかって、自分らしく仕掛けて行こうと思っていました。乗れたのかどうかは、終わってすぐの状況で判断できませんが、チームが勝利できたので良かったです」

――自分が出てから逆転したということは自信になるのでは?

「勝てたことでホッとしました。試合中は無我夢中でしたね。チームも押せ押せでしたし、そこに乗っかっていけました。今後、もっと試合に絡んでいけるように、また来週からしっかりとトレーニングを積んでいきたいです」

 

【試合後選手コメント:FW 44 高原直泰】

――劇的な勝利でしたが?

「今日は良い結果につながりましたが、こんな(劇的に逆転する)試合はなかなかないし、(あっさりと2点を奪われる)こうした展開を続けていたら上にいけないです。今日のゲームを自分たちの教訓にしていかないといけないし、そうすることが自分たちの成長につながると思うんです。『勝ったから良かった』で終わってしまうのではなく、どうしてこういう展開になったのかをしっかりと考えて、今後に向けた糧にしていきたいです」

――2点目を取られた後に、激しいジェスチャーで守備陣を叱咤していましたが?

「最近の試合では、守備に人数を割いて守っているのにかなり点を取られていて、DFから必死にプレーしているのが伝わってこないですよね。技術うんぬんの話ではなく、必死に泥臭くプレーしないといけないと思うし、そういうところから自分たちの良さやチームの力が出てくると思うので。今のチームには、そういう泥臭さがまだ足りません。しっかりプレーしないと恥ずかしいとか、良いプレーをしたいという気持ちが強過ぎる気がします。そうした部分は、変えていかないといけないですね」

 

 

【試合後監督コメント:三浦泰年監督】

――今日の試合を振り返ってください。

「最終的に勝点3を福岡に来て取って帰ることが出来るのは、非常にいいことでもあり、我々の自信につながるものです。さらに、難しい状況の中で先に失点をして、それを跳ね返す力が自分たちにあったということは、これからの自信につながっていくものだと思っています。前半は、自分たちのシステムによって出来るスペースを上手く使われてしまいました。人につくのか、ボールをマークするのか、またはスペースを埋めるのか、そのあたりがルーズではっきりしていなかったので、後半はそうしたマーキングの修正をして臨みました。後半は、点を取るまでに時間もかかりましたが、良いテンポと良いリズムでゴールに向かっていけたと思います。前半はリズムがあまり作れませんでしたが、セットプレーを含めて少しずつチャンスが作れていたので、後半は仕切り直して、新しい試合のつもりでやるしかないということを選手たちに伝えました。選手たちは、後半の狙いをはっきりと把握した中で、加えて自分たちがやらなければならないという自己判断をし、あるいは自らモチベーションを奮い立たせてピッチに立ったことが、最終的にこういう結果につながったのではないかと思っています。選手たちは、非常に難しい展開の試合を集中して90分間とアディショナルタイムを戦いました。苦しみながらも手に入れたこの勝ち点3を東京へ持ち帰って、またすぐに試合がありますので、しっかり準備をしたいと思います。今は、もう次の戦いが始まっているという気持ちでいます」

――2点お聞きしたいと思います。まずは今シーズン、2-0から追いつかれたり、ひっくり返される試合があり、そうした経験を積んでいたことが逆転につながったのではないかと思いますが、その点について、どのように考えていらっしゃいますか? そして、後半に入って4-4-2にシステムを変えたと見ているのですが、意図としては守備面の修正ということだったのでしょうか?

「0-2で負けている状況ですから、当然、守備だけを修正していくというわけにはいきません。限りなく2バックに近い形で攻撃を仕掛けなければいけない。それを非常にコレクティブに、頭を使って、マイボールの時と相手のボールの時を上手く判断していかなければいけませんでした。ただ、そうして相手の背後を上手く突いていけていたと思います。ですから、システムを変更したのは守備の修正だけではなく、攻撃のスイッチの入り方を意識した判断でもありました。もうひとつの質問で、我々がこれまでに2-0から追いつかれるという今日とは逆の経験をして、学んだことがあるのではないかということです。2-0のリードを追い付かれる経験から学ぶことはどうかなと思うんですが、1試合1試合が彼らにとって、チームにとって成長だと思いますし、一歩、一歩、自分たちがやっていることに対して結果が付いてきているのだと思います。何か戦術的に大きく変えたわけでもないですし、他のチームから名前のある選手を獲得してきたわけでもありません。1日1日、彼らはクラブハウスに来て、ピッチに出ていく際にしっかりとした姿勢を持ち、ひたむきさにやってきた。そうした積み重ねが少しずつチームに変化をもたらしてきて、運とツキが少しずつ自分たちに来るようになってきているということです。ここで止まるわけにはいきませんから、これからも、この1戦がどういう結果になっても、どういう状況に変化しても、自分たちは日々の努力と積み重ねを継続していくだけだと思っています」

 

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