MATCH試合情報
MATCH試合情報
【試合展開】
今年の秋口に急遽大会の開催、そして打診があったAFC女子クラブ選手兼2019。昨年のリーグ王者として日本サッカー協会から推薦を受けたチームは、皇后杯も含めた超過密日程も覚悟して参戦を決意した。
パイロット版の大会ということで参加国が限られるが、初代アジアクラブ女王の称号を手にするまたとないチャンス。チームは23日(土)に皇后杯の2回戦を戦うと、翌日24日(日)の夕方には成田を飛び立ち、開催地である韓国の龍仁市に入った。
1日のトレーニングを経て迎えた初戦の相手は、中国のリーグ王者江蘇蘇寧女子足球倶楽部。相手の情報がほとんどない状況で、試合の中で相手の特徴をつかみ、自分たちのサッカーを展開しながらも相手に合わせて軌道修正が求められる、非常に厳しい一戦となった。
立ち上がり直後からボールを保持したのは日テレ・ベレーザだった。持ち味のテンポの速いパスワークと個人技を融合して相手を押し込んでいく。対する江蘇は自陣に守備ブロックを敷き、マンツーマン気味にベレーザの選手について自由にプレーさせない選択をしてきた。
一方で相手の攻撃の狙いはどこにあるのか。それを最初のピンチで思い知らされた。7分、相手陣内でボールロストすると、前線に大きくボールを入れられ、11番のTABITHA CHAWINGAにスピードで抜けられる。土光真代が体を寄せ切る間もないほど高速ドリブルで突破され、GKの山下杏也加が間合いを詰め切る前にシュートをゴール左隅に流し込まれた。
相手の狙いが堅守速攻、それもとびきりの快速FWを前線に擁するという情報を、この手痛い失点で思い知った。そのうえで、ここからどう状況を打開していくのか、自分たちのゲームに変えていくのかがベレーザに問われるところ。
その一手はすぐに示せた。10分、右サイドのゴールライン際で、小林里歌子がドリブルで相手DFを置きざりにししてペナルティエリアに侵入。ゴール前に張っていたDFが思わず一枚寄せてくるタイミングで小林はニアの田中美南につける。田中は一度コントロールし、対角線上のゴール左へと冷静にシュートを沈めた。
失点の落胆も見せずに試合をイーブンに戻したチームは、さらに畳みかけるように攻め込み続ける。31分、45分にはカウンターで失点場面と同じようなピンチを招いたものの、一度相手の狙いを知った選手たちは、攻撃に比重を置きながらもスペースのケアも怠らずに最後の部分で体を投げ出してブロックする。
その一方で、36分には清水梨紗の縦パスをきっかけに、田中、長谷川唯、遠藤純とつないで籾木結花が前を向いてミドルシュートを打つなど、コンビネーションから相手のマークを振り切ってシュートチャンスを作る。アディショナルタイムには、ペナルティエリア際のゴール正面で籾木が前を向いてボールを受け、相手の寄せが甘いとみるや、狙いすまして左足を振り抜いたが、ゴール右上隅を捉えたシュートは乾いた音とともにクロスバーに弾き返された。
ハーフタイムには相手のカウンターへのケアを万全にしつつ、攻撃で自分たちの良さを発揮することを念頭に永田雅人監督から細かい指示が出た。
前半以上に攻撃に勢いを持つベレーザ。相手の11番に対しては、常に数的優位を作って対応できるように、好守両面でポジショニングにこだわって試合を進めていく。
63分には、センターバックの宮川麻都がドリブルで持ち出し、パスを受けに下がってきた田中に対して縦パスを入れると、田中がこれをスルーしてDFを引き付けた背後にボールを通す。そこに田中とスイッチして菅野奏音がスペースへと飛び出してシュートモーションに入ったが、ギリギリで相手DFの足が伸びてミートできなかった。
後半最大のチャンスは76分、途中出場の植木理子が左サイドに大きく開いて相手陣内の深い位置でボールをもらうと、ゴールに向かってペナルティエリア内に侵入しながら相手DFをふたりかわす。相手GKとの1対1でゴール右へのコースを狙ったが、シュートは相手GKが伸ばした足先に当たってゴールからわずかに逸れた。
後半に入って間延びしてきた相手に対して、ベレーザは自分たちのスタイルでゴールを割ろうとゴールへ迫り続けたが、チャンスを決め切れずにドローで試合を終えた。
次戦は、中1日でホスト国韓国の仁川現代製鉄レッドエンジェルズと対戦する。キックオフ時刻が19:00と遅くなり、マイナスに近い気温などの環境要因にも順応しながら、アジア初勝利を目指す。
【RESULTについて】
試合情報のデータ取得の都合から、相手チームの得点者が『オウンゴール』と表記され、メンバーの表記がありません。情報が更新され次第公開します。
試合を振り返ってください。
タフなゲームでした。フィジカルのスケールが高くて、11番の選手と6番の選手の素晴らしいプレーに守備は混乱させられて難しい試合になりました。自分たちがボールを持つこと、そして奪われた後に、その二人へのルートを作らせないことが修正点でしたが、中央突破の時に奪われてダイレクトに11番にボールを入れられてしまったことは、自分たちがプレッシャーやマンツーマンのきつい状況でもペナルティエリアの奥まで入る場面を作るという解決が上手くいきませんでした。あのスピードはここで体感してみて、だんだん対応力ができて試合の中では適応していたのではないかと思います。
FW9田中 美南
試合を振り返ってください。
簡単な試合ではないというのは戦う前から思っていたのですが、想像以上にというか、こうしてマンツーマンでこられた中で国内であれば、それぞれがかわしたり越えていけるけど、海外の選手にマンツーマンで来られると厳しかったりして、その中でもチャンスを作れていたし、後は結果をとるだけだったかなと思います。(ゴールシーンは?)そこで取れたのは良かったですけど、個人的には失点にも絡んでいますし、どこかで取り返さなければというのがあって、振り出しに戻した中で追加点をとってチームを勝たせることができなかったのが、個人としてもチームとしても反省かなと思います。
GK1山下 杏也加
試合を振り返ってください。
相手のデータとか、どういったプレーをするのかとかも、90分の中でしか分からない中で、結果を出さないといけないし、中1日の体力勝負というのもあって、今シーズンで一番難しい大会かなと思います。この試合は勝てた試合だったので、本当は勝ちたかったですが、相手のFWの外国人の方に突破されて、自分たちがしてはいけない失点を許してしまったことで追う立場になってしまいました。ただ、ボールを保持できる時間がたくさんあって、それを後は結果にするだけかなと思います。