新生なでしこジャパンが始動
文=馬見新拓郎
なでしこジャパン候補のトレーニングキャンプが、10月18日から7日間にわたって高円宮記念JFA夢フィールドにて行われた。ベレーザからはGK田中桃子、DF清水梨紗、DF宮川麻都、FW小林里歌子、FW植木理子の5人が参加。東京オリンピックを戦った清水、宮川はもとより、代表候補に復帰した小林、植木も周囲とスムーズな連係を見せ、初招集のGK田中ものびのびと練習に励んでいた。
キャンプ5日目には冷たい雨が降る中、新生なでしこジャパン初の対外試合として八千代高校男子(1〜2年)と30分×3本の練習試合を実施。男子高校生の出足の速さとパススピードに苦しんで合計スコア0−5と敗れたが、速攻が機能した時間帯や惜しいシュートを放つ場面もあった。
ベレーザ所属の5人は、チームで主戦場としているポジションで出場し、清水の積極的なシュートや宮川の攻撃参加、植木の鋭い飛び出しなどが目を引いた。また、ベレーザの選手たちは宮澤ひなた(マイ仙台)、田中美南(I神戸)といった元ベレーザ選手と息の合った連係プレーを披露。時が流れてお互いの日常が変わっても、一度ボールで通じた感覚はそう簡単に途切れないものだと再確認させられた。これまでのベレーザOGがそうしてきたように、代表でもリーダーシップを発揮して、新生なでしこジャパンをけん引していってほしい。
東京オリンピック閉幕からまもなく3カ月となるが、なでしこジャパン同様に各国も2年後のFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023に向けて走り出している。近年の世界大会で存在感が際立つヨーロッパでは、9月に早くも予選が始まり、ドイツ、オランダといった国が連勝している。東京オリンピック銀メダルのスウェーデンも、予選開幕から無傷の3連勝。オランダを強豪に押し上げたサリナ・ウィーフマン監督を招聘したイングランドも、大量得点で4連勝を収めている。FIFAランク1位のアメリカ、東京オリンピック金メダルのカナダが参加する北中米・カリブ海予選は来年初旬からのスタートとなるが、この2カ国は監督が続投したこともあり、危なげなく本戦に出場してくるだろう。
なでしこジャパンが出場する女子W杯アジア予選を兼ねたAFC女子アジアカップインド2022は、1月20日から2月6日にかけて行われる。オーストラリアを除く上位5カ国がW杯出場権を得ることになるが、なでしこジャパンとしては大会3連覇を懸けた大会となる。
キャンプ期間中、池田太監督が「今回呼ばれていない選手も成長の伸びしろがあるので、日々成長してほしいと思っている」と話したように、今後も様々な選手が招集されそうだ。今回代表候補キャンプに参加した5人以外にも、もちろんチャンスは広がっている。毎週のWEリーグ、そして組み合わせが発表された皇后杯の1試合1試合を充実したものにし、再びベレーザの選手が国際舞台で力強く戦う姿を期待したい。