節目を迎えて感じるベレーザの役割の大きさ
文=馬見新拓郎
日本初の女子プロサッカーリーグ『Yogibo WEリーグ』が9月12日に開幕した。筆者は開幕節の西が丘を皮切りに、第2節までに広島、大宮、浦和で取材をした。コロナ禍ということもあり、派手な開幕セレモニーこそなかったが、どの地域にもWEリーグ開幕を待ちわびていたという独特の高揚感があった。
特にWEリーグ開幕に向けて女子チームを新設した広島と大宮は、Jリーグで培った長年の経験が、WEリーグの試合運営にも生かされていると感じた。観客との一体感を呼び込む音響システムやスタジアムDJといった演出は、初めて女子サッカーのトップリーグを観戦した少女たちにも強く印象に残ったのではないか。その観客との一体感がまた、選手の背中を後押しているようだった。取材したチームごとに勝敗の悲喜はあったが、会場で観戦した方々の表情を見ると、大きな節目に立ち会った満足感があったように思う。
節目と言えば、ここ数年は女子サッカーとベレーザにも節目が続いている。2018年になでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)が30回目、皇后杯が40回目を迎えた。2019年には東京ヴェルディがクラブ創立50周年を迎え、2021年にはJFAが創立100周年、ベレーザが創部40周年、そしてなでしこジャパンがFIFA女子ワールドカップ ドイツ 2011優勝から10年を迎えた。筆者もそうした節目ごとに、女子サッカーの歴史をたどる原稿を複数書いてきたが、その過程で図書館で古い新聞の縮刷版や資料をめくりつつ、当時を知る女子サッカー関係者に取材してきた中で再認識したのは、ベレーザが日本女子サッカーに果たしてきたその役割の大きさだった。
なでしこリーグと皇后杯の優勝回数は歴代最多、日本女子代表には常にベレーザの選手がいて、ほとんどの時代でその主軸を担ってきた。岩清水梓が「ベレーザは負けてはいけないチーム」と表現する理由が、ここにもあるのだろう。
日本女子サッカー節目のWEリーグはまだ開幕したばかり。選手たちは秋春制という未知の領域にいて、ここからどのチームが頭ひとつ抜け出すのか予想するのは難しい。一つだけ確かなのは、今季もベレーザはトップランナーとしてのプライドを胸に主役となるべく走り続ける、ということだ。