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2024.08.16 トップ

Special Column #27 FC東京

Special Column
『スタジアムの"熱気"は、選手に伝わる。』

スタジアムの熱気は、選手に伝わる。

昨年度の天皇杯3回戦。公式戦で12年ぶりに開催されたFC東京戦は、水曜のナイターゲームにもかかわらず異様なほどの熱狂の中で行われた。試合前、「相手のサポーターを煽るような行為?絶対できないですよ」と話していた選手たちが、PK戦では青赤のスタンドに向けて両手に耳を当てるパフォーマンスや気持ちを込められたガッツポーズを次々と披露した。ピッチで戦う選手に向けられるさまざまな声や雰囲気は伝わり、激しいプレーに変わる。この光景を見て、スタンドで観戦していたバックアップメンバーの選手たちですら、立ち上がってチャントを歌っていた。これまで、そんな姿は見たこともない。その筆頭格だった齋藤功佑は「あのバチバチ感……。スタンドで見ている選手たちも熱くなるものがあった。あの1試合で、負けられない理由を理解した」と振り返っている。

「だからこそ、次の試合が重要だということは理解している。勝つための準備をしていく」

齋藤のように昨季、そして今季と行われた2試合で、『東京ダービー』がどんなものなのか。そして勝たねばならぬ意味について、選手たちは体感した。

122年の伝統があるレアル・マドリードとバルセロナの『エル・クラシコ』も、それぞれの地域にある歴史的な要因から観衆のボルテージは最高潮に達する。そしてそれがピッチ内の熱さに伝導し、世界中の人々が注目する、スポーツ界一番のダービーマッチになった。この『東京ダービー』にもさまざまな因縁と歴史があり、両チームのファン・サポーターを熱狂させる。それは、城福浩監督が「ナショナルコンテンツになりうる」と語るほどのポテンシャルをはらんでいる。

この一戦に向けて、「ようやくあの悔しさを晴らすときがきた」と話したのは綱島悠斗だ。天皇杯ではアルハンのロングスローから決定的なヘディングを放つも決められず、「あれを決めていれば勝てていたかもしれない」との思いにつながった。前回対戦では、目前で同点ゴールを決められて頭を抱えた。「アカデミー育ちとして、10数年前からあのチームに負けるなと言われ続けてきた。いろいろな背景を知って、人一倍、負けられないという思いがある」。

東京Vのファン・サポーターは、相手に矛先を向けるチャントを歌わない。それを一番理解しているのが、ピッチで戦う選手たちだ。「ヴェルディのサポーターは、選手のために力を貸してくれる、共に戦ってくれる。この試合にかかわらず、毎試合がそう。自分たちは結果で示したいし、一緒に喜びたい」(齋藤)。緑を着る者の思いは、確かに伝わっている。

約4万人の動員が予想される今回のFC東京戦。相手のホームであるゆえに、大きな揶揄の声などが向けられることは明白だ。「ほかの試合で味わえない、醸し出せないものがある。それを感じさせる空気を作ってくれると思う」。FC東京の創設に関わり、相手の監督を二度も務めた、『東京ダービー』がこれほどの熱を帯びる要因を誰よりも知る城福浩監督はそう展望した。

東京Vのサポーターとしても、この対戦以上に熱くなる試合はないだろう。これまでもそうだったように、そしてこれまで以上に、勇敢に戦う緑の戦士たちを後押しする“応援”を届けよう。

心からの応援は、選手に伝わる。

(文 田中直希・エルゴラッソ東京V担当/写真 近藤篤)

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