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ベレーザは前節アウェイで大宮アルディージャVENTUSと対戦。序盤からベレーザがボールを支配する展開となった。34分には決定機を迎える。菅野奏音が相手陣深くからクロスを入れ、中央の鈴木陽が足を伸ばしたがあと1歩でディフェンスにクリアされてゴールとはならない。その5分後には藤野あおばのミドルシュートがゴール右隅に飛ぶも、これはGKのファインセーブもあって、ネットを揺らすことはできない。後半に入ってもベレーザの優勢は変わらず、メンバーを次々と変化させてゴールをこじ開けにかかる。それがようやく実ったのが78分だった。右サイドから藤野のクロスに中央で交代出場の神谷千菜が頭で合わせて待望の先制点。その後も攻撃の手を緩めることなく相手に襲いかかると、87分にも右サイドから柏村菜那のクロスに神谷がダイビングヘッドを放つもGKのセーブにあう。最後まで攻め続けたものの1点に終わり、試合後松田岳夫監督が「欲を言えば、こういう中で2点、3点取れる、そういうチームを作っていきたい」と話していたものの、3試合ぶりの勝利を挙げることになった。
ただ、内容を見ると「ゴールをこじ開けようというアイディアであったり、ハードワーク、そのあたりはすごくチームとして感じましたし、プラスの要素が大きかったゲーム」と指揮官も評価している。16日から約1週間で行われている3連戦。C大阪戦では苦しい戦況の中でも勝点を奪い、その勝点を前節の勝利につなげた。チームの状態は確実に上向いているだけに、掴んだ流れを離さず3連戦の最後も良い形で締めたいところだ。
今節の相手であるS広島Rは、前節C大阪と対戦している。中断後、未だ勝利のないチーム同士の対戦は、S広島Rが先手を取る。18分に左サイドをコンビネーションで崩してクロス。これを立花葉が体を投げ出して合わせ最後は柳瀬楓菜が押し込んでS広島Rが先制。エンドが変わってもS広島Rはサイド攻撃からゴールに迫り64分、中嶋淑乃のクロスに上野真実が頭で合わせるもクロスバー直撃。そのボールを古賀花野が押し込んで追加点。その後もS広島Rは危なげなくゲームを終わらせ、完封で中断後初勝利となった。
2得点の起点となった左サイドの中嶋のクロスには警戒が必要。得点シーン以外でも、何度も決定機を作り出していた。またWEリーグ得点ランク2位の上野真実にも注意が必要だ。前回対戦ではゴールを決められており、同じようにやられるわけにはいかない。
昨年12月24日に行われた第6節S広島R戦。ベレーザは16分に、山本柚月のクロスを、ファーから飛び込んできた藤野が上手くゴールに流し込んで幸先良く先制。さらに48分には、藤野がカットインから樋渡百花に当て、その落としを木下桃香が押し込んで追加点と流れは良かった。しかし、77分だった。S広島Rの右CK。瀧澤千聖のボールを上野が合わせて1点を返されると、相手の勢いに飲み込まれる形で90分にはセットプレーから松本茉奈加のゴールで同点とされた。
2点のリードを守り切ることができなかった。その衝撃は大きかった。結局、その次のINAC神戸レオネッサ戦に敗れ、3試合勝利のないまま中断期間に突入することになった。今回、そのS広島Rと再戦する。中断期間に取り組んできた1つは、「ゲーム全体を支配する」ということだった。その意味で、前節のような戦いを見せることで成長した姿を見せる格好の機会になるだろう。開幕戦以来となるホームでの勝利へ。結果も、内容も相手を圧倒する姿をファン・サポーターの皆さんに見せる。
池上聖七は初対面の人に怖い人だと思われてしまう。自己分析の結果、
「背が大きくてボーっとしているからだと思います」
考え事をしているわけではない。「基本、何も考えていない」のだと言う。でも、その時間が好き。
これから時間ができたら釣りに行きたいのだそう。「おじいちゃんが釣りが大好きで、小さい頃よく一緒に行っていて、それが楽しかった思い出があります。でも、釣れなくても良いんです。ボーっとしている時間が好きなんで、何時間でもいけます」
だが、どこかのタイミングで「スイッチ」が入る。ゲームの話、同期のメンバーとおふざけをしているときは、ずっとしゃべっているのだそうだ。それでバランスを取っている。
池上聖七は第6節S広島R戦から4試合連続フル出場中だったが、第10節C大阪戦ではベンチスタート。出番は1点ビハインドの後半から訪れた。
「0‐1で負けている中での投入だったので、ディフェンダーだとしても積極的に前に絡んでクロスとか得点に絡むことが求められていると思っていました。そこはいつも以上に意識して入りました」
ピッチに入った途端にスイッチは入った。3バックの左に入ると、常に高い位置を取って攻撃に厚みを加える。すると、61分だった。木下桃香のロングボールを左サイドで受けると、対峙していた相手ディフェンスをドリブルで振り切ってクロス。これを山本柚月が押し込んで、プロ初のアシストを記録することになった。
ベレーザでの出場は主にセンターバックだったため、このプレーを意外に思った方も多いかもしれない。しかし、中学2年生から高校1年生まで、池上はサイドバックの選手だった。「サイドバックはたくさん上がれるし、攻撃に絡めるので楽しかったです」。
そう、彼女は攻撃が大好きなのだ。
「センターバックになった理由は、背が大きくなったとか、あとは複数のポジションをやれる方が良いのかなと思って始めたのですが、最初の方は『上がりたいな』ってムズムズしていました」
それでも、相手のレベルが上がるにつれて、攻撃よりまずはリスク管理。そして「相手の攻撃の起点を潰せたときには楽しいなという感覚になりました」と言うように、すっかり守備の虜になっていた。
それでも、忘れていないものがある。
「今でも毎試合、『点取るぞ!』という気持ちで試合に入っています。ディフェンダーだけど、点を取ったら格好良いんで」
今節、どのポジションで出るかはわからない。ただどこで試合に出ても、攻撃のスイッチはONのままだ。
(写真 松田杏子)