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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第32節 - 東京ヴェルディ vs 松本山雅FC

マッチレポート

【試合展開】

4連勝のあと、敵地に乗り込んだオリジナル10対決で、ジェフ千葉と2-2で引き分けたヴェルディ。今節は3週間ぶりにホームに戻り、勝ち点1差で追走している松本山雅FCとの一戦を迎えた。スタメンの顔ぶれはほぼ変わらず、1トップのドウグラスが足に違和感があるため大事をとり、カルロス・マルティネスをスタメン起用した。

 

序盤、お互いに縦に早いサッカーで手数を掛けずにフィニッシュの筋道を探る展開を見せる。ファーストシュートはヴェルディだった。2分、右サイドの深い位置でボールを受けた田村直也が横パス。ニアで渡辺皓太がスルーすると、その後方から走り込んでいた梶川諒太がワンタッチシュートで合わせるも枠を捉え切れなかった。その後は、徐々に松本にボールを持たれる展開に。これまで機能してきた前線からのプレスはいなされ、連続してプレスをかけた後にロングボールを入れられたため、陣形を下げて対応する時間帯が続いた。反撃の一手を繰り出したのは21分、安西幸輝が右サイドで仕掛けると、マーカーを振り切って鋭いクロスをゴール前に供給。ファーサイドに飛び込んだアランが打点の高いヘディングで合わせる。反応が遅れた相手GKの手をすり抜けたが、ボールはクロスバーに弾き返された。その後は攻撃のテンポを握ることはできず、守勢を強いられて前半を折り返した。

 

後半に入っても試合のリズムは変わらない。ボールを持つ時間は増えてきたが、前掛かりになるところをカウンター気味にひっくり返される。最初の失点もその流れだった。54分、カウンター気味に自陣に入ったボールを奪い返しにプレスが機能したが、奪った直後のボールを処理した梶川がパウリーニョのチェイスを受けてボールロスト。その勢いのまま、パウリーニョはミドルシュートを放ち、やや前にポジションをとっていた柴崎貴広が必死に伸ばした手の先を抜けてゴールへと流し込んだ。反撃はこれからと前に出ていくが、背後のスペースをシンプルに使われて守備では後手に回る。5分後には畳み掛けるようにサイドを突破されてゴール前で詰められて追加点を許す。ここでロティーナ監督は交代策を使ってシステムチェンジ。最終ラインを3枚にして前線の枚数を増やして反転攻勢を目指す。しかし、ここ5試合を4-3-3で戦ってきたからか、ビルドアップ時にぎこちなさは拭えず、連係ミスも散見していた。パワープレー気味に前線にロングボールを入れた終盤は、さすがに相手を自陣に押し込んだ。84分には、最終ライン目掛けて蹴り込んだハイボールを相手DFがトラップミスすると、そこを突いたドウグラスがフリーで抜け出し、飛び出したGKの出端を突くシュートで抜いて1点を返す。その後もパワープレーで押し込もうとするが、ゴール前の密集でピンポイントのクロスが入らず、1点差を返せないままタイムアップを迎えた。

 

上位陣の背中が見えてきたところでの敗戦。4連勝の勢いも薄れているように感じられるが、自分たち次第で上へと上っていくチャンスはまだ残っている。ここから続くアウェイ連戦は、上位陣との直接対決となる。過酷な戦いを勝ってこそ、その先の展望が開けてくる。まずは次節、敵地に乗り込んで迎える横浜FCとの一戦で、上昇に向けた再起を期す。

 

 

【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】

――試合を振り返ってください。

「難しい試合でした。勝てれば良かったですが、相手も調子が良く、明らかに自分たちの特長を消すサッカーをしてきました。特に、前からプレスを仕掛けて高いラインを保っていました。特に、今ウチが特長に出ているカジ君、コウタのところをしっかりと潰しに来ていました。本当に今日は自分たちの良さが出なかったです」

――1失点目は自陣深くでボールを奪われての形でしたが。

「1失点目に関しては獲られた位置、獲られた瞬間の寄せが甘かったです。2失点目に関しても人がいましたが、大事なところを締め切れてなかったので、強引に突破されてしまいました。本当に細かい部分が大事で、前節の千葉戦でもそうだと思いますが、その細かいところを突き詰められるかが、今後の戦いで重要になると思います」

――1失点後に前線と最終ラインの意思疎通がうまくいかず、中盤が間延びした印象ですが。

「特に、前半は押し込まれて平とも話していたのですが、なかなか厳しい試合になりました。相当、前半のうちに消耗してしまい、それが後半に出てしまった感覚です」

――2失点後に3バックに変更しましたが、その意図を聞かせてください。

「3バックは以前からやっているので違和感はなく、攻撃では3バックのサイドが攻撃に参加して厚みを作り、守備ではそれぞれが守るべきゾーンをしっかりと守るという部分はできました。ただ、3バック自体監督としてはやる意図はなかったと思います。タムさんが少し痛めてしまい、あの時点で右サイドバックをできるのが、僕しかいなかったので、ハタを入れるという判断しかなかったと思います。アクシデントによる変更でしたが、今日に関しては良い形でサイドを崩し切れなかったです」

――後半はドウグラス選手の得点まで自分たちの攻撃の形が作れませんでした。

「やっぱり、相手のプレスに対して収まりどころがなく、前に出て行き辛い部分もあったと思います。守備に回る時間が多かった前半の反動が後半に出てしまったと思います。そこは相手のタフさがより大きかったと思います」

――1点を返した後の攻撃もあまりうまくいかなかった印象ですが。

「クロスを上げられていましたが、相手にとって恐いボールは少なかったと思います。相手のセンターバックも大きいので、セカンドボールへの反応という部分をもっと速くして、相手に奪われる前に奪いたかったです。前半を含めてそれを拾われてカウンターを受けることが多かったですし、そこでいかに自分たちが持てるかという部分が大きかったです」

――梶川選手と渡辺選手を飛ばすという相手の対策に関しての解決策をどのように考えていますか?

「とりあえずはやることを変えないことが大事だと思います。今日は相手がインテンシティの高い、タフな展開に持ち込んできましたが、だからと言って自分たちのやり方を変える必要はないと思います。毎回、同じような戦いをする相手ばかりではないので、このままの形を続けていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太選手】

――試合を振り返ってください。

「自分たちが準備してきたやり方があまりうまくいかなかったことが大きかったです」

――前半終盤にシステムを変更した点について聞かせてください。

「最初は5枚で守っていましたが、途中からいつもの4枚に変えました。最初はコウキ君を下げて守っていましたが、うまくいかなかったので変更しました。攻撃のときは4枚でしたが、守備時にコウキ君を下げてわざと5枚にしていましたが、それがうまくいきませんでした」

――守備に追われる展開の試合になりましたが。

「いつものようにボールを奪える感覚がなく、プレスに行っても剥がされてしまう形が多かったです。全体的に相手のロングボールによって後ろに下がってしまい、自分がボールにアタックしてもスタートの位置が低かったです。最初から相手が割り切ってくると難しかったですし、無理にボールを奪いに行かないという選択も必要だったかもしれないです」

――1失点後に前線と最終ラインの意思疎通がうまくいかず、中盤が間延びした印象ですが。

「今日はセカンドボールがほとんど相手に行ってしまい、周りに相手の方が多かった印象です。逆に、こっちは周囲との距離が空き過ぎていたと思います。セカンドボールを拾えなかったことが痛かったです。ボールを奪いに行って蹴られて、戻るという形を繰り返してセカンドボールも拾われていたので、その流れを変えられれば良かったです」

――後半は繋ぎのミスや連係ミスが目立つ展開になってしまいましたね。

「最後の方は後ろが繋ぎたくて、前が蹴ってほしいというように、全体で同じ考えを共有できなかったです。それが良くなかったです」

――後半のご自身の決定機について説明してください。

「あそこはシュートを枠に飛ばせなかったのは、自分の技術的なミスです。あそこに居られたのは良かったですが、あとはシュートの技術です」

 

 

【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】

――試合を振り返ってください。

「負けたのがすべてだと思いますし、前半のうちに点を取れなかったことが痛かったです」

――互いに攻守の切り替えが徹底された中、中盤でボールを落ち着かせられませんでした。

「前半は特に多く、個人的には1対1の部分で良い感覚があったので、もっとボールを渡してほしかったです」

――1失点後に前線と最終ラインの意思疎通がうまくいかず、中盤が間延びした印象ですが。

「それで相手のペースになりましたし、その辺を突き詰めていかないとJ1は厳しいのかなと思います」

――2失点後に3バックに変更した意図を聞かせてください。

「ウイングバックにもっと積極的に仕掛けろという意味合いがあったと捉えていますが、なかなかボールが来なかったので、もっと要求していきたいです」

――試合を通して後ろへの重さが気になりましたが。

「もっとアグレッシブに前から行かないと点も取れませんし、個人的にはもっとボールがほしかったというのが一番です」

――ドウグラス選手に代わって最前線に入ったカルロス選手の使い方で意識した部分を聞かせてください。

「足元で受けるのがうまい選手なので、できるだけ近い位置でサポートしたかったですが、今日はなかなかうまく行きませんでした。そこはしっかりと修正したいです」

――前半はサイドでの仕掛けが効いていましたね。

「それが自分の特長でもあり、仕掛けることを求められていたので、前半に関してはそれを出せました。点に絡めれば良かったですが、今後も続けていきたいです」

――失点後の繋ぎや攻撃の部分でミスが目立ちましたね。

「焦りがかなり出てしまい、うまく試合運びできず、一番は先制点を与えたことが大きかったです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】

――難しい展開の中での投入でしたが、どんなプランを考えていましたか?

「バランスが悪くなっていたので、自分がトップ下に入って2トップのドウグラスとアランに長いボールを入れて、そこでセカンドボールを拾うことを考えていました。ただ、チーム全体で後ろから繋ぐ意識が強く、僕自身うまく試合に入れず、ボールロストする場面もありました」

――後ろが重く間延びした中、ご自身の仕事量はかなり多くなっていましたが。

「守備でも攻撃でも仕事量は多かったですが、途中からだったので、やらなければいけない気持ちはありました。個人的にはもっと良い形でチームにやるべきことを伝えられれば良かったですが、反省点はかなり多かったです」

――相手の対策によって厳しい展開になりました。

「自分が入った時も相手のボランチ1枚が必ず付かれているイメージがあり、かなり対策されていました。それでも、ドウグラスやアランに入った時に近い距離で受けられれば、剥がせる意識はありましたが、それもうまくいかず、自分が何のために入ったのか、という試合になってしまいました」

――1失点後に前線と最終ラインの意思疎通がうまくいかず、中盤が間延びした印象ですが。

「相手に良い形で攻め込まれている状況で後ろから繋ぎに行ってしまうと難しくなりますし、ゲームの流れを読むという部分で、一度みんなで近い距離を保ってラインを上げてゴールキックだったら前に蹴るとか、流れを取り戻す意味で必要なプレーでもあるので、そういうところを自分が伝えようとしましたが、うまくいきませんでした。その意思統一の悪さが後半に出たので、そこは反省したいです」

――相手の勢いを削ぐ意味でも長いボールを使っていくことも必要だったと思いますが。

「やっぱり、相手のディフェンダーは前に強いので、それを裏返しにしたり、みんなでセカンドボールを拾いに行くとか、もう少し状況判断して、何が相手にとって嫌なのか、ということを考えながらやっていきたかったです」

――後ろが重く相手の出足が鋭い中、後方から無理に繋ぐことは少しリスキーだった印象ですが。

「そうですね。ボールが来ても前に人がいなかったり、今日は距離感が本当に悪かったので、後ろに人数がかかり前に人が居ないとか、負けている状況で何が必要なのか、考えながらもっとプレーできれば良かったです。もっと簡単にというか、ゴールに直結するプレーを狙いたかったです」

――6戦無敗中は自分たちの狙い通りに戦えましたが、それができない中での引き出しという部分が必要になってくると思いますが。

「自分たちが研究してそれがハマると良いゲームができますが、相手に研究されてやりたい形をさせてしまったときに、それを引っくり返す力がまだないと思います。途中から出る自分だとか選手で変えるのか、チームの中で変えられる声を出せる人が居るのかという部分で残り10試合に大きな差が出てくると思うので、しっかりと自分の役割と思いながらやっていきたいです」

――試合終盤にはミドルシュートを放つ場面がありましたが、その狙いについて聞かせてください。

「自分の感覚では相手のキーパーが右に寄っていたのでタイミングを外してファーサイドに流し込むイメージでしたが、あれを枠に飛ばせないのが今の自分の実力だと思います」

 

 

【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「私たちにとってとても難しい試合でした。相手のプレッシャーが強く自分たちがプレーするためのスペースが確保できませんでした。最近、自分たちがやるべきサッカーができませんでした。彼らの勝利は妥当だと思いますし、彼らは勝利に値するプレーをしたと思います。ドウグラスのゴールによって引き分けの可能性がありましたが、それはサッカーの内容というよりも魂や気持ちの部分でそういう展開に持ち込むことができました。ただ、選手たちを攻める気持ちはありません。彼らはすべてを出し切り、そのうえで相手のプレースタイルが自分たちを上回ったと思っています」

――ドウグラス選手に代わって先発したカルロス・マルティネス選手に守備面で求めた役割を聞かせてください。

「カルロスとドウグラスの特徴は全然違います。今週、ドウグラスがトレーニングできていなかったので、カルロスを先発で起用しました。ドウグラスは100パーセントの状態ではなく、しっかりと今週は無理をせず、次の試合に100パーセントでいてほしいと思います」

――攻守の繋ぎ役である梶川選手をあの時間帯に代えた理由を教えてください。

「前半はアランのチャンスなどがありましたが、あまりチャンスを作れず、個人的にあまり好きな内容ではなく、相手の方が良かったと思います。その後、ミスから点を取られて、組織が崩れてしまい、それを利用されて2点目を奪われました。良いプレーができなかった解決策としてシステム変更、またヨシを入れる決断をしました。0-2でも0-4でも負けに変わりはないので、より攻撃にリスクを冒す意図がありました」

――システム変更に関してもっと早いタイミングで動く選択もあった中、動かなかった理由と、失点がなければ動かなかったかという、2点について聞かせてください。

「実は前半途中からシステムを変えていました。いつもと少し違うやり方でやっていましたが、前半残り10分でシステムを変更しました。相手がゲームを支配していたからです。後半はまずドウグラスを入れましたが、そこですぐに点を取られてしまい、プランが崩れました」

――カルロス選手にタスクを与える中で最も強調した部分を教えてください。

「まずカルロスはドウグラスと違うタイプの選手です。サッカーでは相手が良いプレーをした場合、それを認めて相手を祝福すべきです。今日は彼らが私たちを上回りました。ドウグラスがプレーしても、カルロスがプレーしてもカズキがプレーしても、それは変わらなかったと思います。負ければ、システムやメンバー選考に関して話が集中しますが、相手が良いプレーをすれば、それを認める。サッカーではよく起こることです。今の順位には満足しています。プレシーズンの段階で考えていた順位に比べて、今の順位には満足しています。それは選手の働きによるものだと思いますし、まず選手たちを祝福し、今後も続けていきたいと思います」

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