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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第33節 - 東京ヴェルディ vs ジェフユナイテッド千葉

マッチレポート

【試合展開】

3日前に高知で天皇杯を戦い、中2日で迎えたリーグ戦。相手は『オリジナル10』対決となるジェフユナイテッド千葉。毎シーズン好勝負を繰り広げる好敵手を前に、今シーズンリーグ初連勝を意識する一戦となった。天皇杯で怪我を抱えながらプレーする選手を温存したチームは、この試合で現状のベストな布陣に戻した。左サイドバックに安在和樹を置き、中後雅喜が出場停止だったボランチには船山祐二を起用。ドウグラスの1トップに2列目はアラン、二川孝広、高木善朗を配した。

 

序盤はお互いにサイドを起点にして、高い位置でボールを回しながら攻め手を探る展開。深追いはしないものの、中盤では激しくぶつかり合い、主導権争いを展開した。時間が経過していくと徐々にお互いの攻撃の形がくっきりと分かれる。ヴェルディは最終ラインから慌てずにボールをつないで、ボランチを経由してサイドと中央をテンポよく使い分けて的を絞らせない攻撃を仕掛ける。千葉は前線のエウトンに長いボールを当てる流れだったが、これは井林章と平智広がチャレンジ&カバーの関係を徹底して撥ね返し続ける。徐々にヴェルディペースで試合が進む中で、チャンスが訪れる。16分、ゴール前でフリーになったアランが右足を強振。一度はDFにブロックされるも、跳ね返ってきたこぼれ球を再度強烈に叩いたが、相手GKの正面足元に飛んでブロックされる。その後も中盤が相手のプレッシャーをことごとくいなしながら攻勢に出ると、ようやく試合が動いた。24分、右からのコーナーキックで高木善朗がゴール正面で落ちる鋭いボールを入れると、アランがDFを背負いながらジャンピングボレーで合わせてゴール右隅に豪快に決めて先制に成功した。その後も攻撃の形が単調な相手をことごとく撥ね返して試合を進めていたチームだが、前半終了間際にアクシデント。スペースに流れたボールに相手が抜け出しそうになるが、鈴木椋大が前に飛び出してキャッチ。しかし、勢いに乗った相手に頭を蹴られて出血し、すぐには立ち上がれないダメージを負った。

 

治療後にプレーを再開した鈴木だが、脳震盪の疑いがあるため大事をとって柴崎貴広と後退し、ヴェルディはアクシデントで交代枠を使う形となった。ただし、押し込まれる形となった後半は、柴崎が決定的な場面でビッグセーブを見せ、急な出場とは思えない落ち着いたプレーで守備陣を盛り立てた。59分、81分とゴール前でシュートを打たれる決定的なピンチを鋭い反応で防ぐ。ワイドにボールを動かされながらも、そこに食らいついていってクロスをことごとく撥ね返したヴェルディだが、終盤に一瞬の隙を突かれる。井上潮音が相手DFにラフプレーで倒されたにも関わらずレフリーに見逃され、そのままカウンターに移行した流れで左サイドからのクロスをゴールニアで吉田に合わされて同点に追いつかれる。ピッチ内外で井上に対するファウルを主張したが覆らず。アディショナルタイムも含めた残り時間で勝ち越すために前に出たが、逆にカウンターから逆襲を食らう。90+2分には右サイドを割られてゴール目前でシュートを打たれるが、柴崎が残した右足を出してゴールから弾き出した。直後の90+3分に杉本竜士が素晴らしいコントロールからペナルティエリアに侵入するなど終盤はオープンな展開で互いにゴールに迫ったが、どちらも決め切れずに1-1のドローでタイムアップを迎えた。

 

前半の主導権を握った時間帯にリードを奪っておきたかったところだが、判定に泣かされた点も考慮し、後半の終盤まで粘り強く戦い続けた点は収穫だ。急きょ交代出場することになった柴崎が経験値の高さを生かしてチームを落ち着かせ、さらに自身で1点ものの場面を3度に渡って防いだビッグプレーに助けられた。残り9試合となり、リーグ戦はチームの総力が試される。追いつかれた勝ち点1という結果だが、チームの総力に積み上げができた前に進むための材料としたい。

 

【試合後選手コメント:GK 1 柴崎貴広選手】

――負傷明け最初の試合が、緊急出場となる難しい入りでしたが。

「難しかったですが、試合途中ではなく後半頭からだったので、最初からやるという意識で入りは悪くなかったと思います」

――失点場面には関してキーパーとしてはノーチャンスに近い印象でしたが。

「そうですね。ただ、ゴール前に居たのは点を決めた吉田君だけだったので、そこに関して人数は足りていたので、簡単にやられたのはチームとして反省材料だと思います。ああいう失点の仕方はダメですね」

――2つのビッグセーブでチームの勝ち点1獲得に貢献しましたね。

「決定機を防ぐのがキーパーの役目ですし、今日はみんなが身体を張ってやってくれていたので、そこまで危ないシーンだと感じてはいませんでした。それだけにあの1失点が悔しいです」

――粘り強い対応もあって相手がフィニッシュの場面でもたつく印象もありましたが。

「開幕時に比べてウチの選手が動けるようになって粘り強くなったという部分での成長。逆に、これをシーズン最初からできればな、という歯痒い気持ちもあります。まだ、残り試合もあるので、この成長を今後に繋げていきたいです」

――先制点を取ってから後ろに重い展開になってしまいましたね。

「それがもったいなかったというか、もう1点取りに行く姿勢であったり、ホームだったのでサポーターの人たちも点を取ることを一番期待していると思うので、特に後半は守備の練習をしている感じもありました。僕としてはリラックスしてやれた部分もありましたが、チームとしては1点に満足することなく、2点、3点と取る姿勢がほしかったです。天皇杯の熊本戦のような感じで畳みかける攻撃というのは、これから大事になっていくと思います」

――後半アディショナルタイムの戦い方に関してはどのように捉えていますか?

「難しい判断でしたが、急いでやるのか、時間を使って落ち着けるのか、という部分は流れや選手の表情を見ながら判断していました。やはり、前線の選手はすぐにボールをほしがっていましたし、後ろはキツい表情をしていたので、上手く時間を使いながら様子を見てやりました。連戦だけに難しい状況でしたし、またそれが来週に同じシチュエーションになった時は、もっと攻撃的にやれると思います。その中で一応勝ち点1を取れたと思うようにしていきたいです」

――後半ピッチに入る時に土肥コーチからどんな声をかけられましたか?

「いつも通り、リラックスしてやれということと、『こういうアクシデントもお前っぽくていいな』と言われました(笑)。 それは僕の人生を含めてだと思いますが…。土肥さんは色々と僕の人生のかなりのことを知っていると思うので(笑)。 土肥さんはあまり固いことも言わないので、楽しめてやれました。もう若くないのでガチガチになったりしたら、若い子に示しも付かないので。ただ、みんなが助けてくれたので、シュートを止めることができたと思います。次の試合もどうなるか分かりませんが、チームのために何ができるかをもう一度考えていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:DF 5 平智広選手】

――試合を振り返ってください。

「勝ちたかったですが、最後に相手に押し込まれて引き分けてしまったので、もったいないというのが正直な感想です」

――先制点を奪った後から受け身になってしまいましたね。

「そうですね。特に、後半は相手にずっと押し込まれて自分たちの攻めるチャンスが、あまり無くて、そういう中で守り切らないと、ああいう展開になってしまいます。同時に追いつかれてからもピンチもあったので、そこはチームとしてどうやって試合を運ぶかを話し合っていかないとダメです。そうなると、ズルズルと押し込まれてああいう展開になってしまいます」

――ピッチ内ではどんな話し合いをしていたのでしょうか?

「後半の頭はチャンスがあれば、攻めて行く感じでしたが、残り時間が少なくなっていく中で、自分たちも苦しくなってきて、何とか1点を守り切りたい気持ちが出ていました。相手に交代枠を使われて押し込まれた中、最後は走り負けたというか、そんな感じです」

――最終ラインとしてはラインを上げたいか、あのままキープして耐えるしかなかったのか、どちらでしょうか?

「少しラインをコンパクトにできれば、相手も嫌だったと思いますし、ズルズルと引いてしまって、後半は相手のフォワードにあまりプレッシャーに行けなくて、最後散らされてどんどんラインが引いてしまいました。ボランチを含めてもっと試合中にどうしなければいけないか、話さないといけないです。後半どんどん下がってしまったことが、もったいなかったです」

――後半はあれだけセカンドボールを拾われると、難しいですね。

「そうですね。前半はセカンドボールを拾えて、ウチのリズムになっていましたが、後半は拾えるシーンが少なかったので、相手のリズムになってしまった面もあります」

――ゴールキーパー交代というアクシデントがあった中、守備陣としてはある程度うまくやれた部分もあると思いますが。

「交代で入った柴崎さんも経験のある方ですし、不安はなかったです。最後は柴崎さんが止めてくれて何とか引き分けたという印象です」

――後半アディショナルタイムの戦い方に関してはどのように捉えていますか?

「追いつかれて相手もより勢いを持って出てきたぶん、結構裏も空いていたので、そこに竜士などフォワードがカウンターでゴールを狙っていくシーンもありました。そういったシーンを1-0の時間帯にもできれば、引いてカウンターから点を取りに行くという形を、1-1になる前にできれば、もっと良かったです」

――こちらの攻撃に恐さがなかった部分で相手の攻勢に繋がった印象もありますが。

「やっぱり、シュートで終わるシーンが絶対的に少なかったと思いますし、上手く回しているようでゴールに向かう恐さがないパス回しだったので、もっと積極的にシュートを打ったり、ミドルシュートでも相手を前につり出せれば、もう一回バイタルを崩せる形にも繋がるので。あとはクロスの質と、中の合わせるタイミングというか、良いクロスが入っても合わないシーンが多いので、そこをもっと突き詰めていかないと、点は入っていかないと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 13 船山祐二選手】

――攻守に奮闘が目立ちましたね。

「そうですかね。疲れました。まあ、相手が巧いぶん、前半はハマった感覚もあったのですが、後半はちょっと1点リードしている中で、自分たちが引き過ぎてしまい、相手に自由にボールを持たせ過ぎた印象もあります。点を取るまでの動きをみんなが継続できれば、もう少し点が取れる匂いもしたのかなと思います。点を取ってから重くなった印象です」

――前半の半ばから後ろに重い展開でしたね。

「そうですね。その中でああやってセットプレーから点を取れて、そこでより重くなった感もあります。攻撃の部分でできていたことができなくなったというか、自分を含めてみんな時間が経つのが長く感じていたと思います。奪った後も良い形で攻撃に繋げられなかったですし、相手のペースになっていたので、1-1は妥当な結果だと思います」

――今日は味方のボールロストへのカバーが秀逸でしたね。

「こういう試合で潮音は少し前目でボールに絡んで、自分がバランスを取る意識を前の日から想像していたので、そこはイメージ通りに入れたと思います。ボールを拾って丁寧に繋いでというイメージは持っていたので、そこはハマりました」

 

 

【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】

――試合を振り返ってください。

「内容は良くなかったにしても、逃げ切らないといけない試合でした。内容も全然良くなかったです」

――前半に関しては先制点を奪うまで良いプレーができていた印象ですが。

「あれを持続していけない今のチーム状況が、今日の失点に繋がったと思います」

――先制後に受けに回ってしまったのは、コンディションの影響かメンタル的な問題なのでしょうか?

「連戦だったので、コンディション面の影響はあったと思います。ただ、ジェフも同じ状況だったので、どっちがコンディションを保てたかという展開でした。そこでもう少しコンディションを保てていれば、勝つことができたと思います」

――今日に関しては先制後の前半の過ごし方に問題があったのか、後半の切り替えに問題があったのか、どちらでしょうか?

「もうちょっと、ボールを持つ時間を作らないといけないですし、やっぱり途中から出た選手がチームの息を吹き返すようなプレーをしてくれたら助かったのですが、そういう感じにもなりませんでした。また、ラインが下がってしまうので、どうしても厳しい面があります。今日に関してはクリアボールをもっと前に蹴ってくれないと、ああいう位置で再びプレーを開始するには戻らないといけないので、そこは個人個人ちゃんとやっていかないとダメです」

――公式戦4連発でストップしたことに関してはいかがですか?

「特に、意識はしていませんでしたが、またゼロから始めればいいなという感じです」

――試合前にはJリーグ通算100試合出場のセレモニーでご家族もいらっしゃっていましたが。

「そこはいつも通りでしたが、勝てなかったので、そこが全てです」

――ひっくり返されてもおかしくない中で勝ち点1を手にしたことについてはどのように捉えていますか?

「今日は1-0で勝たないといけない試合だったので、全く価値がないと思っています」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「本当に良い雰囲気の中、激しい攻防が続く90分間。本当に選手たちは集中してサポーターも声をからし、最後まで戦ってくれました。前半に自分たちが少し優位な状況の中、コーナーキック、リスタートから点を取れて、そこから少し重心が下がってしまい、相手ボールの時間が長くなり、ちょっと苦しい時間が続いた前半になったと思います。そこから後半は少し、自分たちが良い形でボールを動かして起点を作って時間を作っていくという話をして、また守備のところでもう一回選手たちとファーストディフェンスを決めて連動してコンパクトに守ろうという中で、そこからのカウンターを仕掛けていくという中では我慢強く残りのゲームの時間を戦ってくれていたと思います。実際に、チャンスも来たと思います。しかし、逆を言えばその返しの中でのカウンターをなかなか潰し切れなかったこと。また、ボールを動かす中でもう少し、ゆっくりと幅を取りながら時間を使いながら、相手の気持ち的なものを含めて、背後を取れるような動かし方ができれば、良かったのでしょうが、少し苦しい時間が続いて、追いつかれたのかなと思います。少しアクシデントで椋大を変えることになりましたけども、柴崎がしっかりとゲームを整えてくれたこと。そして、チーム一丸となって攻守を続けてくれたことに感謝していきたいです。この勝ち点1は自分たちにとって、次に向かえる1だと思います。残りの試合で自分たちが勝ち点を取っていくためにも、もう一度チームとしてしっかりと、連戦であったことで練習もできていなかったので、もう一回整理して来週に向けてやっていきたいと思います」

――後半に相手を持たせたのはプラン通りだったのでしょうか?

「致し方ないがないかなという中で、やられてはいけない場所。そして、チャレンジ&カバーの部分で、セカンドボールを集中して拾うというところで、自分たちが中央を固めてボールを奪って出ていくというところは、我慢強くできたと思います」

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