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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第19節 - 東京ヴェルディ vs 京都サンガF.C.

マッチレポート

【試合展開】

前節、敵地に乗り込んだジェフ千葉との一戦で、0-2のビハインドを負いながらも執念の連続ゴールで追いつき、最後まで相手ゴールを脅かし続けたヴェルディ。充実した戦力を抱える相手を前に怯むことなく、むしろ勇敢に戦う姿勢で相手を圧倒した。その勢いを持続したい今節は、ここ9試合負けなしで7勝2分けの4位につける好調の京都サンガF.C.をホームに迎えた。前節、勇敢に戦った代償として平本一樹と安在和樹を出場停止で欠くチームは、左サイドバックに平智広を起用し、左サイドMFに中野雅臣を置き、高木大輔とドウグラスの2トップという布陣を選択した。

好調なチームの勢いはすさまじかった。ボールが前線で落ち着かないヴェルディはマイボールを保持することができず、逆に細かくボールをつないだ京都がテンポよくゴールまで迫ってきた。最初の5分ほどはほとんどボールを奪えず、自陣に釘付け状態。さらにアクシデントがヴェルディを襲う。5分に高木大が相手にチェイスした流れで交錯して後頭部を打ちつけて負傷。一度はピッチに戻ったものの、11分には中野のクロスに飛び込んだ際に右足を痛めて早々に交代することとなった。代わりに杉本竜士を入れ、中野をトップ下に置く4-2-3-1にシステムを変更。ここから主導権を奪い返す戦いを再開した。19分にはこの日最初の決定機を迎える。ゴール正面で相手GKのファールからフリーキックを獲得する。中後雅喜のシュートは壁に阻まれたが、こぼれ球をつないで中野がペナルティエリア内左寄りで相手のプレスをかわしてクロス。クリアし切れなかったボールはフリーの井上潮音のもとへ。井上が右足を振り抜いたシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。その後は一進一退の攻防が続くが、32分に気を付けていた形でゴールを奪われる。エスクデロのドリブルに最終ラインが翻弄され、ワンツーに食いついた瞬間にスペースへ抜け出され、カバーに入った中後も止められずに間合いを詰めた鈴木椋大もかわされてゴールに流し込まれた。その後はヴェルディがボールを持つものの、カウンター気味にピンチを迎える。42分、またも最終ラインのギャップを突かれて山瀬に背後のスペースに抜け出される。しかし、先を読んだ鈴木が前に飛び出して間合いを詰め、シュートを身体に当ててブロックした。

レフェリングにややナーバスになってハーフタイムを迎えた選手たち。冨樫監督からは「得点を決めることで変えられる!」と切り替えを求められ、攻守両面で戦術的なポイントを確認し合って後半のピッチに向かった。

リードしたことで相手に余裕があったのか、後半に入ると一転してヴェルディがボールを保持して相手を自陣に押し込む。しかし、前に出たところを狙われて立ち上がりは立て続けにピンチを迎えた49分には押し込んだ直後にカウンターからイ・ヨンジェにフリーで抜け出される。これも前半同様にタイミングよく前に飛び出した鈴木が身体に当ててファインセーブ。52分にはミドルシュートがポストに当たり、フリーでつめた石櫃のシュートも枠をそれる幸運に助けられる。相手の勢いを受けながらも、決して引かずに前に出たチームの姿勢がようやく結実した。64分、左サイドでドウグラスが粘りながらマイナス方向へパス。バイタルエリアに顔を出していた中後がワンタッチでシュートを狙うと、これが走り込んだドウグラスに当たってコースが変わり、最終ラインで張っていた澤井のもとへ。相手の守備網を突破した澤井は落ち着いてトラップし、ゴールにシュートを流し込んで2試合連続のゴールを挙げた。勢いを失いたくないチームは、高木善朗を投入して攻撃の活性化を図る。すると75分、ゴール左寄りのフリーキックを高木善がゴール前に入れると、ゴール正面に張っていた井林章のもとへ。井林がバックヘッドで後ろにすらすと、これがゴール右隅に飛び込んで逆転に成功した。残る時間は15分。今シーズンこれまでは、ここで堪えきれずに追いつかれる試合が多かったが、今日は攻め手を失わない。78分には澤井がポストに当たるシュートを放つなど、攻める姿勢を失わずに最後までアグレッシブな戦いを続けて2-1で試合を締めた。

味の素スタジアムでは2試合連続となる逆転勝利。澤井も2試合連続でゴールを挙げる殊勲の活躍を見せ、上位から非常に価値ある大きな1勝を手に入れた。次節も上位を争うセレッソ大阪という難敵と敵地で戦う。後半戦に向けて弾みをつけるためにも、この1週間の準備が非常に重要となる。決して驕らず、自分たちの戦いを深めて大阪に乗り込みたい。

 

【試合後選手コメント:MF 14 澤井直人選手】

――2試合連続ゴールに加え、味スタでの初ゴールでしたが。

「中後さんがミドルシュートを打つと思っていたので、キーパーがこぼしたらという気持ちでいた時に、自分の足元にこぼれてきました。ファーストタッチを意識して良いところに蹴ることができたので、それは良かったと思います」

――あの場面では永井選手との練習が生きましたね。

「そうですね。シュートのところはかなり練習していましたし、永井さんには日ごろから感謝しかないです。今、永井さんはああいう苦しい状況にいるので、たぶん永井さんがヴェルディのことを一番思っているので、それを自分たちがもっと引き継いでいきたいです」

――今日は裏への飛び出しが効いていましたね。

「相手の分析の中でそこはウイークになってくるとスカウティングの人が話していたので、それを自分たちが狙っていくという意思統一ができていて、そこは良かったです」

――前節に続いて微妙なレフェリングや先の失点という難しい展開でしたが。

「ここ数試合では追いつくことはできていましたが、なかなか逆転できていなかったですが、この試合はハーフタイムにみんなで整理して、まずは追いついて逆転しようと話していました。非常にデカい勝ち点3だと思います」

――前半序盤の決定機で倒された場面に関して解説してください。

「あそこはキーパーとぶつかって、倒されました。あそこでかわせていれば、間違いなく自分で点を取れていたと思います。ただ、レフェリーあっての試合なのでそこは気にしていません。ただ、あの状況で1点入るか、相手が退場になるかは大きいことだったので、それは悔しいというか…」

――気持ちの切り替えはスムーズにいきましたか?

「次来た時に絶対決めてやろうと思っていましたし、あそこで倒れた自分を悔いたりもしていましたが、倒れないで流し込めれば、良かったという気持ちもありました。ただ、次のプレーで取り返そうと思っていました」

――2試合連続スタメンで2試合連続ゴールと大きなアピールになりましたね。

「いや、まだまだ自分たちはできますし、今日は久しぶりの勝利だったので、サポーターには申し訳ない気持ちです。次節もチーム一丸となって戦いたいです」

――チームとしてやっと光明が見えてきた感じでしょうか?

「そうですね。負けないことが大事だと思いますし、今日のように逆転できるチームは本当に強いチームだと思うので、今後もこういった試合をもっとできるようになれば、今の順位にいるようなことはないと思います。それを次の試合も継続できるようにしたいです」

――サポーターに向けてメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとうございます。次はアウェイでセレッソ大阪との対戦ですが、皆さんの応援の力で勝ち点3を取りにいきたいと思います。僕は出場停止ですが…」

 

 

【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】

――試合を振り返ってください。

「今日は本当に後ろで(鈴木)椋太が身体を張って守ってくれたおかげで1失点で済みました。それがこの結果を導いてくれたと思います。ただ、今日はキーパーに助けられた試合ですし、正直なところ、得点も2点ともラッキーな形でした。僕のも澤井のもラッキーでした。ただ、流れの良い時にああやって点を取れると上手く試合を運べるんだと思います」

――ゴールシーンを振り返ってください。

「当てるだけで何とか枠に飛んでくれという気持ちでした。良いところに飛んでくれて良かったです。狙い通りというか、あれを狙えるほど自分は上手くないので、当てたら良いところに飛んでくれという感じで、まさかあんな良いところに行くとはという感じです」

――今日は決勝点でしたが。

「正直、皆にも言われたのですが、パフォーマンスが分からなくてベンチの皆のところにさえ行けなかったです。“もうちょっと時間かけろよ”と言われました。せっかく、勝ち越せていたのであそこは一番の反省点でした(笑)」

――鈴木選手の活躍も見事でしたが、チーム全体で粘り強く戦えていましたね。

「ラインを高くしようと言っていたので、ある程度裏に危ないボールが行くのはしょうがないと思っていました。ただ、ギリギリで踏ん張れたというか、助けられたのか、そこはもう一度振り返らないといけないと思います。次のセレッソ(大阪)はもっと精度が高いと思うので、外国人だったり杉本健勇は上手いので、気を付けてやっていきたいです」

――今日の勝利をどういうふうに捉えていますか?

「良い意味で言えば、負けなしが続いているので、去年みたいに1-0という堅い試合よりも、今は複数得点を取れているので、そこは進歩だと思います。また、今季に関しては間違いなくセットプレーが良くなっています。前節の千葉であったり、今日も試合を動かしたので次の試合でも大事になってくると思います」

――チームの課題であるレフェリングに対する気持ちの切り替えという部分はいかがでしたか?

「個人的に思っている人は多いと思います。個人的にも目の前でそういうことが起こったので、正直切り替え辛い部分もありました。ただ、それでも僕たちはやらなければいけないので、そこで崩れなかったのは失点が1で済んだ理由かもしれません。PKの場面に関しても去年のジュビロ(磐田)戦のようなことがあってはならないと思うので、いつでも最悪の事態を想定しておけということはみんなに言っています」

――ハーフタイムのロッカールームの雰囲気はいかがでしたか?

「失点がまだ1点だったので、何とかなるという気持ちは皆持っていました。そういう意味で前線の抑え方ができれば、千葉戦のような複数得点も取れるとみんな思っていて、そういう意味での落ち着きがありました」

――ここ数試合ではチームとして得点を取れるという自信が出てきているのでしょうか?

「特にセットプレーに関しては、今日は4バックの3人が強い選手だったので、自信はあると思います」

――サポーターに向けてメッセージをお願いします。

「ホームでこういう貴重な勝ち点を得られたことは大きいことですし、今日はサポーターとしっかり喜びを分かち合えたらいいなと思っています。次に繋げられるように戦っていくので、応援をよろしくお願いします」

 

 

【試合後選手コメント:GK 31 鈴木椋大選手】

――前半終盤の山瀬選手との一対一の対応は見事でしたね。

「あそこは最初前に出てトラップが大きくなったところを狙おうと思っていましたが、相手は足元が上手いので、うまく自分が対応できる位置取りをして立っていれば、自分の身体に当たるだろうという気持ちで詰めて、相手もコースがなくてループを狙ったのがミスになって身体に当たってくれました。間合いの詰め方を含めてパーフェクトだったと思います」

――後半立ち上がりのイ・ヨンジェ選手との一対一も素晴らしかったですね。

「後半の立ち上がりにやられてしまうパターンが多かった中で、あそこの1本を止められたことは、チームに流れを持ってくる材料の一つになれたと感じています。その後に2点を取ってくれて、キツい時間も前の選手たちがよく走ってくれました。例えば、(杉本)竜士は左サイドに(ダニエル・)ロビーニョ選手が入ってきて危ないなという場面で、彼が守備に徹してくれたので、そういう意味ではあのワンセーブが良い流れに持っていくキッカケになったのではないかと捉えています」

――ハーフタイムでのメンタルの切り替えに関してはいかがでしたか?

「ちょっとレフェリーにあれ(17分の相手GKの決定機阻止)はレッドでしょと言いましたが、普通に後半に入れました。皆とは、審判と戦ってもしょうがないし相手は別にいると話し合っていて、その中でキーパーである自分は一番冷静にプレーし、斜め上ぐらいから俯瞰してチームを見られるようにというのは、常に意識している部分なので後半は冷静に入れました」

――チームを勝利に導くゴールキーピングという部分である程度満足していますか?

「そうですね。今日は2本止めて良かった部分もありますが、1点取られてしまったので、そこはまだまだです。あそこで2-0で勝てていれば、“今日は俺のおかげ”と言えましたが、1点取られてしまったので、また練習していきたいです。未だにゼロで抑えたのは1試合だけなので、そこはフィールドの選手に助けられてばかりなので、もっと自分が助けるプレーをしていきたいです」

 

 

【試合後選手コメント:DF 23 田村直也選手】

――試合を振り返ってください。

「前節のジェフ戦で追いついたアグレッシブさは出ていたと思います。失点してしまった部分、危ない部分もあったので、その改善は必要ですが、逆転するんだという気持ちや球際、前の選手も守備を頑張ってくれていましたし、やっていて楽しかったです」

――好調の堀米選手とのマッチアップに関してはいかがでしたか?

「前半の入りで何本かバチバチと行っておいたので、そんなに難しいことはなかったです」

――エスクデロ競飛王を中心とする相手攻撃陣への対応はいかがでしたか?

「後半はボールもゴールも獲りにいかなければならなかったので、そんなに危ない対応はなかったです。ただ、1本裏に行かれる場面があったので、ああいう場面は無くしていかないとダメです」

――チームとしてはセットプレーでの得点が増えてきていますが。

「そうですね。自信も付いてきていると思いますし、そういう選手が増えていけば、チャンスも増えていくと思います。そういう場面で自分は後ろに控えているので、守備を気にしています。とにかく、そういう意味でも全員で取った点だと思います」

――今日は父の日ということでお子さんに頼もしい姿を見せることができましたね。

「そうですね。子供たちが将来、サッカー選手になることを目指してくれれば嬉しいですし、とにかくホームで勝てたことが嬉しいです」

――前節の追いついての引き分け、今日の逆転勝ちと良いリズムで次のセレッソ大阪戦に臨めますね。

「前半戦がもう少しで終わりますが、全然勝てていないので、セレッソは強いですが、チャレンジャーの気持ちで戦いたいです」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「先週、自分たちは0-2から追いつき、追い越すチャンスもありながら引き分けに終わり。その前は、逆に自分たちが追いつかれてしまいました。そういう中で自分たちが今日、どういうものをピッチで見せていくのか、サポーターにどういうプレーを見せていくのか、という部分で今週は非常に良いトレーニングができたと自分では思っていました。本当に上位の(京都)サンガさん相手にしっかりとしたゲームの入りさえできれば戦えるというふうに思っていました。先に失点してしまいましたが、その後も選手たちが粘り強く90分、ゲームをデザインして交代選手も含めて、キーパーの(鈴木)椋太がゲームを整えてくれたのも大きかったですし、本当に全員が、そしてメンバー外の選手たちも良いトレーニングができているので、出場停止選手もいましたが、チームとしてよく戦えたと思っています。ただ、自分たちは次にアウェイで非常に強いセレッソ(大阪)さんとのゲームが控えていますので、まだまだ一息つくことなく、良いゲームをできるように準備していきたいです」

――ハーフタイムでのメンタルの切り替えに関して、ロッカールームでどんな言葉を選手たちに掛けたのでしょうか?

「思っているよりも自分がしゃべる前にみんなが落ち着いていて、自分も変えられるものと変えられないものがある中で、自分たちが変えられるものは何か。それは例えば気持ちの部分であったり、プレーの中で前向きにゴール方向に向かっていく、戦術的な変更やシステムの変更であったりというところで、自分たちは本当にサッカーの中で結果を変えていこうと話しました。先ほども話したように自分が話す前に非常に落ち着いていたので、大丈夫だなと思っていました」

――今日は澤井選手が素晴らしいパフォーマンスでしたが、澤井選手に対する評価を聞かせてください。

「澤井のチームに貢献する力というのは、これまでもずっと皆さんに言ってきたように数字に表れないものです。また、彼は下(ユース)のところから10番で来ましたが、自分は彼の一番ストロングな部分はスペースを見つけて、そこに入り込む力だと思っています。2列目からの飛び出しという危険な部分を出せていた。また、それがゴールに繋がったということは良かったと思います。ただ、まだまだゲームの中でミスもありますし、彼はあんなものではないと思うので、彼とはもっとレベルの高い話をしていければと思います」

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