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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第3節 - ロアッソ熊本 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

アウェイ連戦の2戦目を迎えたヴェルディ。前節、カマタマーレ讃岐の堅牢な守備ブロックを崩し切れずに惜敗しただけに、ここで流れを変えてホームにつなげたい一戦となった。相手はチーム初の開幕3連勝が懸ったロアッソ熊本。ヴェルディは前節で負傷した杉本竜士に代えて南秀仁をスタメンに起用し、その他は同じ顔触れと布陣で臨んだ。

チームバスがスタジアムに到着する頃からポツポツと降り始めた雨は、試合前をアップが終わるあたりから激しさを増し、ピッチは非常にスリッピーな状態になっていた。その中でお互いにボールが落ち着かず、フィニッシュまで持ち込む形を作れないままターンオーバーを繰り返す。こうした試合で試されるのは我慢強さと状況に合わせて戦い方を柔軟に変化させていく対応力。そこに変化を加えようとベンチが動き方を見定めていたタイミングで、背後に出たボールにウェズレイと相手選手が交錯し、ボールに対して遅れて出る形で相手を倒してPKを献上する。清武のPKは柴崎貴広がコースを読んだが、触ったものの弾き切れずゴールイン。ここから変化を――というタイミングの25分に先制点を奪われた。この際にイエローカードを受けたウェズレイはプレーに落ち着きを欠き、直後の36分にはスペースへ出たボールを追う際に背後から近づく相手をまったくケアせずに追い抜かれ、抜かれ際に相手を倒して2枚目のイエローカードで退場。1点のビハインドを追うための策を講じる前にさらなるハンデを背負って戦うことを余儀なくされた。陣形を立て直したいヴェルディは、船山祐二を下げて田村直也を投入し、高木善朗をボランチに下げて、4-2-2-1の布陣で前半を凌いだ。

選手間のコミュニケーションで落ち着くチャンスとなるハーフタイム、チームは活発に意見を交換し合って、前向きにスコアをひっくり返すための調整を続けた。冨樫監督からも攻撃と守備の両面で細かく指示があり、リスクを負ってゴールをイメージして戦う姿勢を共有して後半に臨んだ。

反撃姿勢を強めたいヴェルディは、澤井直人に代えてアランを投入。突破力のある選手を入れて変化を加える。人数が少ない分、どうしても丁寧な攻撃の構築は難しくなるが、前線で身体を張ったドウグラスがタメを作り、リスクを承知で前線に人数をかける。ターンオーバーして背走する場面も多かったが、最後のシュート場面まで諦めずに守備陣は身体を寄せ続け、スペースへ流れるボールには柴崎が鋭い読みで飛び出してがっちりと後方を固めた。割り切って攻撃に人数を割くものの、無理をして攻めてこない熊本を前に、ヴェルディはフィニッシュに至るラストプレーの精度を高めることができない。バイタルエリアまでボールは運ぶものの、帰陣の早い相手の前にスペースと球際での余裕を失い、結局後半のシュート数は2本で終わった。ボールを保持し、サイドで労を惜しまずに走る選手の存在もあって攻撃に変化をつけることはできたが、最後のゴールをこじ開ける作業に課題を残したまま、10人というハンデの重さを痛感してタイムアップを迎えた。

ジャッジに対してナーバスになっておかしくない場面でも、選手たちは派手な抗議もすることなく、1分1秒でも無駄にすまいと切り替えてゴールに向かった。結果として連敗という形になったが、痛みを伴いながらも手にしたものはある。次節からのホーム連戦ではキックオフ直後から、支えてくれる人々のためにその手にしたものを見せなければいけない。

 

【試合後選手コメント:GK 1 柴崎貴広】

「最初の失点後に一番気を付けていたのは、追加点を与えないということです。その後に退場者を出して一人少なくなったので、最低でも勝ち点1を持ち帰るために、まず失点をしないことをチームとして心掛けていました。数的不利な場面が出てしまうのは10人である以上は仕方ないので、スペースに出されること、背後のケアは常に頭の中に入れてプレーしていました。イバとタムがしっかりとやってくれていたし、失点するような雰囲気はありませんでした。シュートまで持ち込まれてしまうのは仕方ないし、最後のところはディフェンスも寄せてくれて身体を張っていたので点を獲られませんでしたが、獲れなかったことが残念です」

――チーム全体のバランスについては?

「声が届いているかは分かりませんが、ある程度は後ろから声掛けをして、自分の前のポジションの選手を動かしていけばやられることはないので。今後もそういう場面があるかもしれないので、しっかりと考えていかないといけません」

――連敗する形にはなりましたが、次はホームに帰ります。

「ホーム連戦なので、そこで連勝できるようにしっかりと準備をしていきたいと思います」

――PKの場面は惜しかったが。

「ボールには触りました。ただ、惜しかったとしても決められたら一緒なので、次は止められるように、むしろ次はPKがないように試合を進めたいです」

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「早々にPKをとられてなおかつ10人の戦いの中で、選手たちはリスクをとっていく、また戦術の整備をしていくなかで我慢をしながらゴールを目指していくということでしっかりと戦ってくれました。サポーターも後半、自分たちの攻撃の方向に向けてすごく声援をしてくれてすごく心強かったです。最後に点をとれなかった部分というのは、自分の力のなさだと思います。選手たちには、まだここから続く戦いの中で自分たちが次のホームゲームで戦えるまで、しっかりと練習していきたいと思います」

――ドウグラス選手に向けたロングボールを多用した狙いは?

「自分たちが退場者を出して一人少なくなってしまったこと、また後半より自分たちが同点を目指して戦った部分で、長いボールを使うことが多くなってしまった。最初のゲームプランはまったく違ったもので、自分たちはサイドの攻防の中で上手くFWを使いながら背後をとっていこうというのが狙いでした。ドウグラスに長いボールを入れていくというのは、退場者が出て10人になってしまったということで、不利な状況の中でよく身体を張ってボールを収めてくれたと思います」

――退場者を出すまでの段階で、サイドの攻防という狙いは出せた?

「なかなかスリッピーな状況でボールを落ち着いて回す時間が少なかったこと、また相手の2トップの縦の関係のくさびのボールをなかなか潰し切れなかったことが良い奪い方につながらなくて、サイドの攻防というところまではいかなかった。ただ、自分たちが少し我慢しながら時間が来るのを待てればいいなと、あるいは縦の関係のくさびのボールをいかに奪うかといったらシステム上同数の場合少し変化を加えていこうというところで退場者が出てしまったのは、自分の中で誤算でした」

――杉本選手に代わって起用した南選手の評価は?

「先ほども言いましたサイドの攻防というところで、サイドハーフの裏、ないしはサイドバックの裏を、ウチのサイドバックとサイドハーフとトップ下ないしはトップとの三角形の関係の中で上手くボールをさばいてもらう役割でした。前半は自分が思うには左サイドよりも右サイドのほうが空間が空いていて、澤井と幸輝の関係で崩していける形。向こう側が、自分たちのセンターバックから左側に来るボールに対しての守備陣形がすごく締まった状態になっていたので、なかなか南の良さが出せなかったかなと。なので、ひとり少なくなって後半は右サイドに置いて、相手のサイドハーフの裏を上手く使ってボールを動かしていきたかったんですが、なかなかそこまでいかなかったなと。南がどうこうというよりも、自分の采配の部分で悔いが残っています」

 

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