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MATCH試合情報

皇后杯 JFA 第41回全日本女子サッカー選手権大会 準決勝 - 日テレ・東京ヴェルディベレーザ vs ちふれASエルフェン埼玉

マッチレポート

【試合展開】

大会3連覇、2シーズン連続の3冠に向けて、1年を締めくくる皇后杯もクライマックスを迎えた。準決勝に進出した日テレ・ベレーザは、ちふれASアルフェン埼玉とNACK5スタジアム大宮で対戦した。

 

E-1に出場した日本女子代表に多くの選手を送り出したチームは、代表から戻ってきたばかりの選手たちの疲労や大会での強度、また直近のAFC女子クラブ選手権2019なども含めた過密日程の影響を考慮してメンバーを選考。負傷で代表を途中離脱した選手もいるなど、厳しいスケジュールの中で厳しい状況にありながらこの一戦を迎えた。

 

レギュラシーズンで対戦のない2部のチームを相手に、序盤は相手の出方をうかがう慎重な立ち上がりだった。時間が経つにつれて地力の差を見せ、ボールをつなぎながら徐々に相手陣内に押し込んでいく。強い雨によるピッチコンディションに敏感になったのか、当初はコントロールに苦しんでフィニッシュまで持ち込めなかったが、20分過ぎを境に相手ゴールに迫っていく。23分には田中美南が、26分と28分には植木理子が、ペナルティエリア内でシュートチャンスを作るが、いずれもゴールを捉え切れない。ギアを上げたチームは、その直後にネットを揺らす。29分、右サイドから宮澤ひなたが低く鋭いクロスボールをゴール前に供給すると、正面の位置に入ってきた菅野奏音が相手DFに詰めてクリアミスを誘うと、そのボールを詰めて先制点をもたらした。追加点こそ挙げられなかったものの、ボールを完全に握って試合の主導権を持つと、個々の勝負でも相手を上回ってゴールに迫り、自分たちのペースを崩さないまま前半を折り返した。

 

追加点を挙げて試合を決めたい後半も、立ち上がりからベレーザペースで試合は進んでいく。54分には中盤の底の三浦成美からループパスが田中に入ると、最終ラインの背後をとった田中がGKの出端でループシュートを放つが、これはわずかに枠を捉え切れない。67分には田中のポストワークから清水梨紗が右サイドのスペースを突破。ゴール右斜め45度から狙うが、シュートはわずか左に逸れた。後半半ばまでは、試合は完全にベレーザペースだったが、ここで疲労の色が見え始める。前線での素早い好守の切り替えから分厚い攻撃を生むのがベレーザの特徴だが、この日は攻撃から守備への切り替えでボールを奪い切れず、徐々に自陣のバイタルエリアまでボールを運ばれる場面が目立ち始める。そして81分、マイボールをインターセプトされてからペナルティエリア内で起点を作られると、祐村にゴールを割られて土壇場で試合を振り出しに戻される。その後も押し返すパワーが出せずに、後半終了間際にはコーナーキックのこぼれ球を拾われて強烈なシュートを打たれるが、これは山下杏也加が鋭い反応で飛びついてはじき出した。

 

相手の反攻に面食らって延長戦に突入したベレーザだが、仕切り直しの立ち上がりも相手の勢いを受けてカウンターからピンチを招く。98分には流れを変えようと、延長から投入された土光真代が思い切りの良いミドルシュートを放つが、ブレたシュートはわずかにゴール左へと外れた。しかし、このゴールに向かう姿勢がチームを蘇らせた。直後の99分、長谷川唯、田中とつないで小林里歌子がスペースを突破。相手ゴール前でのシュートはGKに一度はブロックされたが、こぼれ球にいち早く反応して角度がない位置から右足を振り抜き、ゴール左サイドネット突き刺して勝ち越しゴールを奪った。

 

延長に入ると、途中投入された選手たちの躍動もあってペースを握り返し、相手陣内に入っていく時間が増えていく。ただし、どうしても疲労からかフィニッシュ手前で連携がずれてカウンターを食らってしまう。試合終了間際には自陣に戻り切れないうちにボールを自陣に運ばれ、ゴール前できわどいシュートを打たれる。あわや、という場面も、鋭い反応で山下が飛びついてゴールからかき出して救われた。

 

2部のチームが相手だからといって油断があったわけではない。11月から過密日程の中で戦ってきたチームには、さすがに疲労の色が見て取れた。特に代表活動もあった選手たちの蓄積した疲れはほんの数日では解消できず、普段であれば難なく決め切る場面でも枠を捉え切れないなど影響があった。泣いても笑っても最後となる決勝は、1週間のインターバルがある。今季リーグ後半戦で敗れている浦和レッドダイヤモンズレディースを相手に、万全の状態で臨むために、この1週間を有意義に活用して、悔いを残さずに2019シーズンを有終の美で飾りたい。

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監督コメント

永田 雅人 監督

試合を振り返ってください。
両チームの選手たちに、ベレーザで言えばコンディションがなかなかハードスケジュールな中、延長戦まで最後までよく戦ったなというところです。また、相手チームは、1年積み上げてきたサッカーを隅から隅まで出してきて、そのお互いの選手たちに賛辞を贈りたい試合だなと思っています。

追加点が入るまで時間が掛かりましたが、その要因は?
シンプルに相手がビルドアップから良い位置に立って、良いボール運びをして、プレッシャーがなかなかかけられず、ボールを持たれて深く侵入されてピンチになりました。いつもであればどこかしらの網に引っ掛かってカウンターから深く持っていってチャンスや得点を挙げて、相手コートでボールを持つサッカーをするのですが、相手が良いサッカーをしたというのが追加点をなかなか挙げられなかった一番の要因だと思っています。

前半に点をとって試合終盤になれば体力的に難しくなってくると思うのですが、そこで1点を守り切るのか、もう1点を取りに行くのか、どういったプランがありましたか?
どちらでもなかったです。流れに任せて、カウンターのチャンスがあれば攻めるし、ピンチであれば皆で守る、ということです。ただ、前からプレッシャーをかけてきた背後を突けなかったので、それは上手く状況を見極められていなかったなと思います。

ハードスケジュールの中での疲労は、選手選考に影響しましたか?
今週のこの試合までは、なでしこの選手たちも週半ばに帰ってきて、どんな状態で帰ってくるのかも一昨日やっと顔を見たくらいでしたし、向こうで何分くらい出場したのか、どれくらいの強度でやっていたのか、どのくらいの心的疲労で帰ってくるかは考慮しました。もちろん怪我で帰ってきた選手もいるので、それも含めてローテーションをしながらチームを作っていくということで、今週まではリーグ戦の終わりから皇后杯、ACL、また皇后杯となでしこを挟んでこの皇后杯というところまでローテーションしながらやってきました。出ている中でも、怪我がやや気になるとか疲労がある選手がいながらも、全員でよく戦ったなと思います。

シーズン中にセンターバックでコンビを組んだことのない宮川と松田がしっかりと機能していたように感じる。その点の評価は?
普段は、ひとりの選手が個人の技術や個人の戦術で、ボールがあってもなくても、その状況に対して、どう先読みしてどうポジションをとって、どうボールを運ぶのかというのを主体にやっています。それがある故に、ポジションがズレても根本的なところは変わりません。逆にいつもとは違うポジションをやったほうが能力を発揮しているところが見えたりとか、普段からトレーニングでも色々なポジションをしたり、色々な角度からトレーニングをしたりという影響はあると思います。ローテーションしていくのが当たり前になっているので、皆が変わっていく中で、自分が与えられているポジションで最善を尽くすという設定になっていると思うので、それが色々なことができたり、色々なポジションに対応できたり、色々なコンビネーションが新たに生まれたりという部分につながっていると思います。

なでしこ勢が抜ける中でも、菅野選手や松田選手が活躍していますが、ACLもある中でどういう風にチームを回そうとマネジメントを変えられたのでしょうか?
僕が担当しているチームの中にいる選手に対しては、一人ひとりが向上するというのが監督としての目標なので、そのポジションでチャンスがあれば迷いなく出場してもらい、そこで活躍するためにイメージしてトレーニングをするというスタンスでいます。そこで上手くいかなくても次は上手くいくだろうと。年齢だったり、前にできたかどうかというより、先の期待に対して取り組んでいくというのは、自分としてはあまり変わっていないと思います。ただ、今年のほうが(選手の)出入りが多かったので、それに従ってやったまでです。結果的にメニーナの子がたくさん出るとか、今までレギュラーで出てきた子たちが疲労や怪我で抜けてローテーションでポジションが空く、そこに迷いなく人を入れてきました。でも、それによってベレーザの選手たちのレベルが上がっていって循環していく、下からの選手がどんどんレベルが上がっていくというのは、それがチームの伝統的なものでもあるし、ちゃんと守っていきたいものでもありますし、そういう想いでやっています。

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選手コメント

GK1山下 杏也加

本日の試合を振り返ってください。
相手のプレスでなかなか自分たちが思うようなプレーができなくて、その中で前半に1点取れたのはすごく良かったです。 ただ、1点では足りなかったというか、こういうコンディションの中でやると事故とか色々なものがあるので、点を取れる時に点を取って後ろに少し余裕を持ってくれればこういう試合展開にはならなかったかなと思います。

どんなことを意識してプレーしましたか。
今日は村松(智子)選手がベンチインしたので、ここで終わってはいけないというか次に繋げて、もしかしたらカツオ(村松智子)がピッチに戻ってくるかもしれない試合だったので絶対勝つこと。 あとは自分たちは皇后杯を取れば3冠+ACLもあるんですけど、ベレーザで取れるすべてのタイトルを取ることができるので、今日みたいな試合内容にしないように後ろから心がけるのと、もう少しコンディションを上げて余計な失点をなくせたらなと思います。

皇后杯3連覇への意気込みをお願いします。
相手は浦和ということで、リーグ戦で負けているので良い舞台なのかなとポジティブに考えて、決勝で自分たちが勝って相手に(優勝)カップを見せられるような結果と、後ろはゼロで今日のような内容にはならないようにしたいなと思います。

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MF17菅野 奏音

本日の試合を振り返ってください。
寒い中、代表組が合流してまだ3日くらいしか経っていないなかですごく難しい試合だったんですけど延長までいって、みんなで戦って勝てたことは本当に良かったなと思います。

本日の得点シーンを振り返ってください。
(宮澤)ひなたさんのボールに最初は間に合わないと思ったんで、こぼれてくるのを待っていたらちょうど良いところにこぼれてきたのでそれを押し込んだという形です。

皇后杯3連覇への意気込みをお願いします。
今日の試合は本当に苦しい試合でしたし、次はもっと苦しい試合になると思うんですけど、全員で戦って絶対優勝して終わりたいと思います。

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